第四話 良い子は絶対に真似しないでね!
絶対にやっちゃいけない外道行為をヒャッハーよろしく実行する、そこに痺れたり憧れたりしてはいけない(戒め
シャランポの街へ来てから約3週間、後輩だったヒュリアを奴隷として購入してから7日程。
3人は今日も街の近くの森へと足を伸ばしていた。
最近の冒険者業としては、ギガントターマイトなどの群棲系を率先して狩りパワーレベリング。
そしてフォレストベアやアルトボアなどの害獣系を合間合間に狩るという生活が続いている。
ミシュとヒュリアにはホームセンターで売られている衣類を着せ、その上から街で購入した簡易な鎧や盾で武装させている。
とは言え、鉄製の鎧より丈夫なインナーを着ているので鎧はあまり必要がないのだが。
概念補正という効果を改めて実感する性能である。
二人が持つ鉈やマチェット、ナイフレベルじゃないと切れないと言えば、その丈夫さが想像出来るだろう。
そんな、見た目の為に揃えた装備を身に着けた3人は、森の中を進んでいく。
ソーマたちが率先してギガントターマイトなどを狩るから、森の中はこれまでにない位平和であった。
近場のフォレストベアやアルトボアも狩り尽くしたのか、足を伸ばさないと中々見つからない。
とは言え、繁殖力が半端ない害獣なので、繁殖期が終わればまた無駄に増えるのだが。
「うん…?」
「っと、どうしたのご主人様」
ふと森を進むソーマが、立ち止まって足元を見る。
そこには、複数の足跡が森の奥へ続いていた。
腐葉土の上だからか、足跡がはっきり残っている。
「複数の足跡ですね…同業者でしょうか」
「かもしれんが、妙な足跡だな…探索している動きじゃない」
目当ての場所に一直線に進んでいる足跡に見えるそれ、魔物を探している冒険者にしてはまっすぐ過ぎた。
「気になるな…注意して進むぞ」
「はい」
「了解~」
手斧を腰のホルダーから手にするソーマと、同じように鉈やマチェットを装備する二人。
木々が生い茂る森の中では、長い剣より手斧やナイフの方が戦いやすい。
注意深く足跡を辿ると、森が少し開け、岩山の裾に辿り着く。
「止まれ……冒険者には見えんな」
「ですね…盗賊でしょうか」
「根城にしてるっぽいけど…そう言えば宿の女将さんが、近くの街道で商隊が襲われたって言ってた」
ソーマの指示に静かに伏せる二人、ヒュリアの言うとおり、盗賊みたいなゴロツキ連中が、岩山の崖の下に開いた洞穴の出入り口で二人ほど屯している。
洞穴の入り口脇には焚き火の後も見られるし、少し離れた森の入口には馬が紐で繋がれている。
盗賊の出没情報はギルドにはまだ出ていないが、商人も相手に商売する宿の女将が言うのだ、つい最近この辺りにやってきた盗賊なのだろう。
被害が確定すれば、ギルドから手配書が出る筈だ。
「どうするご主人様?街に戻る?」
「ギルドに知らせますか?馬の数から見て、10人前後は居そうですが…」
「HAHAHA、何を言ってるんだお前達」
流石に盗賊団の相手は危険と考え、撤退前提で話す二人に、ソーマは軽い調子で笑って見せた。
そして、ぐりんと顔を後ろに向け、死んだ瞳で笑った。
「盗賊は殲滅だ」
「「はひぃっ」」
起伏のない冷たい声と、三日月型に釣り上がった口元、そして死んだ瞳に、二人は抱き合って悲鳴にも似た小声で頷いた。
二人共ちょっとチョロインした。
「あー、見張りつまんねぇなぁ、俺もなぁ下で混ざりてぇなぁ」
「文句言ってないでちゃんと見張れよオラァン」
見張りの盗賊、片方は崖に凭れて座り、もう片方は武器の手入れをしながら注意をする。
現在他のメンバーは、洞穴の奥のねぐらでお楽しみの真っ最中なのだろう。
「だいたい、あの女、性格悪くて萎えるんだよな、もっとこう純真な女を無理矢理よぉ…ぐっ!?」
「おいおい、妄想でイクとかやめろよどんだけ溜まって―――へ?」
変な声を上げた相方の方をゲラゲラ笑いながら見れば、そこには頭から斧とを生やした仲間と、その向こうから迫る黒い人影。
敵襲!と叫ぶ暇もなく、その頭を斧で切り落とされる。
それを為した黒い人影…ネックウォーマーで口元を隠したソーマは、無感動に殺した二人を見下ろすと、直ぐに洞穴の入り口脇に隠れる。
二人を殺した音で、中の仲間が出て来るのに備えてだが、お楽しみ中の仲間は物音にも気づかない様子。
とは言えソーマは中でお楽しみ中だなんて知らないので、ギガントターマイトと同じく根刮ぎ殲滅作戦に切り替える。
森の中に潜ませていた二人を静かに呼び寄せ、ホームセンター特有の資材、鉄パイプと板材を取り出すと、静かに手早く組み立てていく。
そしてそれで洞穴の入り口を塞ぎ、鉄パイプで板の天辺と地面を斜めに固定、丁度三角形になる形に補強する。
そして、板に穴を開けると、全員に防毒マスクを配り、自分もマスクを装着。
ミシュとヒュリアが、ギガントターマイトのように毒殺するのだと気付いて少し離れる。
だが駆除剤は身体に毒だが死ぬほどではない、では何を使うのか?
答えは、ソーマの手の中にある容器…酸性洗剤と塩素系洗剤である。
先に片方をどぼどぼと小さな穴から蓋の内側へ流し込み、複数を流し込むと残りの片方を流し込む。
穴の真下、蓋の内側には穴が掘られており、そこに液体が溜まり、混ざっていく。
洞穴はどこかに繋がっているのか、入り口から中へと風が流れているのも確認済みだ。
『離れろ、肌に付いても危険だからな』
ソーマのその言葉に、ギガントターマイトを駆除する毒の威力を知ってるだけに慌ててその場を離れる二人。
二人が離れたのを確認して、自分も風上の方へ少し離れるソーマ。
少しすると、洞穴の中から盗賊たちの叫び声や争うような声が響き始める。
そして何人かが入り口まで辿り着くが、入り口は混ぜるな危険洗剤をたっぷりと流し込んだ穴がある大本だ。
内側からもがき苦しむ声やうめき声、そして木製の蓋を叩く音がするが、ソーマは冷静に様子を伺う。
もし盗賊が蓋を突破してきたら手にした斧でその生命を刈り取るつもりで。
だが、塩素ガスに犯された盗賊はその粗暴な力を発揮する事も叶わず、やがて叩く音も途絶える。
暫くしてから支えにしていた鉄パイプを蹴り飛ばすと、蓋が勢い良く倒れてくる。
その原因は、皮膚が焼け爛れ、コヒューコヒューと掠れた呼吸を繰り返す盗賊。
蓋に寄りかかっていたのだろう、その重みで蓋が勢い良く倒れたのだ。
『……』
その盗賊を無言で殺し、洞窟の中を伺う、入り口まで逃げ延びてきたのは4人で、残り3人は呼吸困難なのか肺水腫なのか、胸や喉を押さえて絶命していた。
残りの盗賊が出てこない様子なので、洞穴の入り口にバッテリー式の送風機を設置、洞穴に風を送って換気すると共に、混ざった洗剤に水を入れ、更に重曹を取り出す。
『ご主人様、手伝うよ』
『ヒュリアは何をすれば良いですか』
ソーマが作業を始めたのを見て、風上からやってくる二人。
『これで水を周囲に撒いてくれ、ヒュリアはこの液体にこの粉を入れろ、全部入れて構わない』
水を入れた噴霧器を用意し、それでガスの水溶作業をミシュにやらせる。
ヒュリアには洗剤に水を入れて更に化学変化した液体に重曹を入れて中和させる。
重曹で埋めても構わないと伝え、洞窟の中を見る。
中で物音はせず、どうやら塩素ガスで全滅したらしい。
『こっちのマスクの方が安全だな…二人共、一通りやったらこっちに付け替えろ』
『はーい』
『分かりました』
大本は中和し、ガスも水溶作業しているとは言え、洞窟内にはまだ大量の塩素ガスが残っている。
口と鼻を覆うタイプではなく、全面を覆うタイプの防毒マスクを出すと、二人にそれを装着させる。
さらにフード付きのレインコートを二人に着せて、完全防毒スタイルに仕上げる。
露出なんて一切ない特殊部隊みたいな出で立ちになった美少女二人、凄く勿体無い気もするが今は安全優先である。
自身も着替えてマスクを付け替えると、LEDライトと斧を片手に洞窟の中へ。
『変だと思ったら直ぐに洞窟の外に出ろ、まだ毒が充満してても可笑しくないからな』
ミシュに噴霧、ヒュリアにブロアーと呼ばれる送風機で風を送らせながら洞窟を進むソーマ。
少し下ると直ぐに小さな小部屋があり、そこに3人倒れて死んでいた。
入り口まで逃げてきたのもそうだが、半裸なのに気付いてしまったなと顔を顰めるソーマ。
『捕虜と言うか、慰み者になっていたのが居るな…』
巻き込んで殺してしまったかと少し後悔、住み着いたばかりの盗賊だからまさかもう人を攫って来ていたとは思わなかったソーマ。
奥へ進むと、牢屋代わりなのか木で格子が組まれた場所と、その前で全裸で倒れている盗賊、こちらはまだ生きている。
そしてその牢屋の中で蹲って藻掻いている女性が一人。
「たす、たすけ…がはっ!?」
助けを求める盗賊を斧で一撃、慈悲など一切ない一撃に盗賊嫌いは相変わらずかとヒュリアは主人の背中を見つめて心を痛める。
『ご主人様、この人助かるの…?』
『ここまでガスがあまり届いてないから助けられ……あん?』
ミシュが噴霧で水を撒きながら問いかけると、ソーマが慰み者にされていた女性をライトで照らし、怪訝な声を上げる。
「だずげで…だずげでぇ…」
『げ、こいつ…よし、放置だ放置』
『え?』
『この女…確かあのギルドの…』
涙と鼻水と男の体液で塗れた女が、掠れた声で助けを求めるが、ソーマはあっさり放置を決めた。
戸惑うミシュだが、ヒュリアには見覚えがあった。
『全く、クズ受付といいこいつといい、なんで違う国まで来てんのに遭遇するかねぇ…』
やってられないとばかりに殺した盗賊の足を持って小部屋の方へ歩いて行くソーマ。
『え、何?ご主人様の因縁相手?』
『確か、マスターの仲間になった日の夜にアイテムボックスなどを持ち逃げした女です。そしてマスターに強姦と強盗の濡れ衣を着せようとして、逆に証拠を突き付けられて詐欺師として指名手配された筈…』
『ふーん、じゃぁ殺そう』
『えっ』
問いかけるミシュに、自分が知る限りの情報を思い出して伝えるヒュリア。
先輩がそんな事をする筈が無いと衛兵に証言しただけに良く覚えていたのだろう。
そしてその説明を聞いて、ミシュは鉈を抜いて牢を破壊した。
『えって、え?何、助けるの?』
『いえ、指名手配されてますから衛兵に突き出せば賞金が…』
『別に首だけでも賞金貰えるし、ご主人様裏切った悪女なんて生かしておく意味ないじゃん?』
何を当たり前な事をと言いたげなミシュに、戸惑うヒュリア。
『良い?ヒュリア。私達が今生きて、美味しいご飯を与えられて、ベッドで寝て、毎日お風呂に入れるのはぜーんぶご主人様のお陰。つまりご主人様が私達の命なの。そのご主人様を裏切って傷つけた相手だよ?なんで生かすの?意味があるの?ごめん私、村娘だから頭悪いの、ちゃんと理由を付けて説明してくれる?』
全面形防毒マスク越しに、ヒュリアの瞳を覗き込んでくるミシュ。
その瞳には、普段の活発とした明るさも、ベッドの中での蕩ける愛らしさもない。
ただただ、心酔し深愛している主人、ソーマへの一途な愛情という狂気しか無かった。
ゾッとする寒気を感じるヒュリアだが、同時に彼女の言葉は理解出来た。
理解出来ると言うことは、頭ではもう納得しているのだ。
ただ、真面目で心配症な性格が邪魔しているだけで、ヒュリアもまた、ミシュと同じ思い。
つまりは。
『そう…ですね、生かす意味、無いですね。ヒュリアもまだまだです、マスターの害になる存在を生かして衛兵に引き渡すなんて…』
『ヒュリアは真面目だからねー、仕方ない仕方ない。と言うわけで、死んでよ悪女さん?』
「ひぃ…だずげっ、だずげでぇ!?」
鉈を振り上げるミシュに、ソーマを騙した悪女が涙を流して懇願する。
『イ・ヤ♪』
だがいっそ恐ろしい程に愛らしい笑顔と声で、ミシュは鉈を振り下ろした。
「別に殺さなくてもそのうち死んだぞ」
「いーの、私が許せなかっただけだから」
盗賊を始末し、証拠となる首を処理。
洞窟から金目の物を持ち出し、ついでに馬も確保。
盗賊は討伐者がその持ち物を貰っていい事になっており、馬や武器も含まれる。
それ故、ある程度の腕前の冒険者には盗賊狩りは良い稼ぎになったりもする。
まだ仲間が居る可能性もあるので、汗を流すのは交代制にして、現在ミシュがドラム缶風呂で寛いでいる。
そんなミシュにソーマが告げるが、ミシュは素知らぬ顔で蕩けている。
「…いい女だな、お前は」
「毎晩言われてるからねーご主人様に」
苦笑して肩を竦めるソーマに、あかんべーして笑うミシュ。
そんな二人を、馬の世話をしながら眺めていたヒュリアは納得した。
「そっか…良いんだ、我慢しなくても……ヒュリアも、マスターのものだもの…」
ミシュの愛の熱病が感染ったのか、ヒュリアも熱っぽい視線をソーマに向けていた。
今夜はたっぷりおねだりして、愛して貰おうとほくそ笑むヒュリアに、世話をされていた馬がビクビクと怯えていたが、誰もそれに気づく事は無かった。
突発的な盗賊討伐を行い、盗賊の首を証拠に賞金を得て、更に持ち物や馬を売り払った夜、借りている宿の部屋のグレードに似付かわしくない羽毛布団に包まりながら、天井を見上げるソーマ。
この羽毛布団も、ホームセンターで売られている商品を具現化した物である。
元のベッドの布団では硬くて寝辛いので、マットレスと布団、毛布、羽毛布団と一式具現化して使用している。
寝転がる両側には、ソーマの腕と肩を枕に眠るミシュとヒュリア。
男の夢を体現する状態にありながら、ソーマの瞳は依然死んだままだった。
衣類も食も能力で困らない、住居も仮とはいえそこそこな宿に泊まって生活出来ている。
元の世界からすれば極上の美少女二人を奴隷として侍らせている。
だが、ソーマの捻れた心と死んだ瞳は元に戻る事はなかった。
脳裏を横切る不快な記憶は、昼間ミシュが殺した悪女のこと。
別に後悔がある訳ではない、むしろ久しぶりにスカッとしている、感謝すらしている。
感謝の気持ちをミシュにたっぷりベッドの上の行動で伝えたのと、妙に積極的におねだりしてきたヒュリアのお陰で、心地よい疲労感に包まれている。
だが同時に、後ろめたさに似た思いを抱いていた。
奴隷と主人という立場で、二人を好き勝手している。
その行為は、あのギルドの糞ったれ共と同じではないのか、皆殺しにしたいと思う盗賊共と同じではないのか、と。
他者を利用してうまい汁だけを啜る連中と、他人を犠牲にして欲望のままに生きる奴らと、同じではないのかと。
二人を大事に思う、生来の人の良さ故の葛藤。
その人の良さ故に、この世界に来てから貧乏くじばかりを引いて苦労してきた。
それ故に、性根がネジ曲がり、瞳から光が消えた。
初対面の人間には、常に警戒している、自分を利用しようとしているか、自分を騙そうとしているかどうか。
それ故に、自由な立場の人間を信じられない。
ミシュとヒュリアのように、立場を縛られた、裏切らない相手ではないと信じられない。
精神的な病気だな…。
二人の頭を撫でながら内心呟いた言葉は、正にその通りだった。
この世界でソーマが信じられ、受け入れられる存在は立場が縛られて裏切らない存在に限られる。
つまりは奴隷、そして契約。
奴隷は皆、逃げ出さない様に奴隷紋と呼ばれる呪文が刻まれている。
犯罪奴隷や借金奴隷などは更に首輪等で分かりやすく行動が縛られている。
この世界の奴隷は、大きく分けて3種類。
労働奴隷、自ら或いは親兄弟によって奴隷商へ売られ、購入者によって衣食住を保証され労働に従事する立場。
借金奴隷、戦闘奴隷や技能奴隷など、専門職を持った者が仕事の損失によって借金を背負い、支払いに専念する為に労働奴隷と同じ立場で働く。
犯罪奴隷、犯罪者が死刑や投獄以外で贖罪の為に落ちされる立場。
どれも奴隷と付くが、扱いは前者2つと後者では雲泥の差が存在する。
犯罪奴隷に自由はなく、基本死ぬまで過酷な労働に従事するか、危険な場所の開拓に送り込まれる。
罪の種類によっては労働に従事すれば許されて自由になる事が出来る、詐欺や軽犯罪的な罪が該当する。
殺人や強盗、強姦は問答無用に重罪であり、その場で処刑される事も多い。
無論、軽犯罪でもその場の都合で殺す事もある、捕らえるのが困難、あるいは抵抗された等の理由により。
ミシュが殺した女も、詐欺や偽証やら口先関連の犯罪者であり、一応捕らえて衛兵に突き出せば報奨金が貰える。
国が違ってもそういう犯罪者の情報はギルドを通じて国に提供されている。
あのまま捕らえても塩素ガスの影響で死んだだろうし、盗賊の仲間として首を提出したので普通よりも稼ぎになった。
捕らえて犯罪奴隷として間違っても贖罪して自由になんてなったら、ソーマにとって悪夢だ。
まぁあの腐った性格から考えると自由になっても直ぐにまた同じことを繰り返すか、労働従事中にも同じことして罪が伸びてそのまま死ぬまで奴隷で居るか。
どちらにせよ世の中の迷惑だった事だろう。
それを始末したのだから、ミシュは褒められて然るべきだ。
やはり明日欲しいものを買ってやろう、そう考えて頭を撫でる。
「うぅ~ん…ごしゅじんさまぁ…」
「ますたー…もっと…」
蕩けた声で寝言を呟く二人、これが媚びなのか本心なのか、今のソーマには分からない。
分からないから、裏切らない限りは大事にする。
もし裏切ったら、その時はあの悪女達と同じ扱いである。
尤も、ミシュもヒュリアも裏切るなんて考えが毛頭存在しない。
今の自分達の生活の基盤は全てソーマであり、ソーマが居なければ成り立たない。
ヒュリアは冒険者だった経験から自立も可能だが、ソーマとの生活を味わった今ではそんな事考えもしない。
元々尊敬していた先輩であるソーマの奴隷として毎晩可愛がられ、衣食共にこの世界とは文字通りレベルが違う。
そして冒険者としての稼ぎも、一人でやっていた時とは雲泥の差。
ソーマはちゃんと二人に働き分の給金を支払っている。
この辺りは他の労働奴隷も同じだ、衣食住の分を差し引いた金額を支払う購入者が多い。
偶に現物支給をする雇用主も居るがまぁ仕事に依る。
例えばソーマ達が泊まっている宿も、下働きとして子供の労働奴隷を雇っている。
彼らに仕事の報酬として客がチップを支払うのは極普通の事だし、そのチップは貰った奴隷の物になる。
場合によっては貰ったチップを主人に預け、管理して貰う事も多い、学がない子供は無駄にしてしまう事が多いからだろう。
ミシュも最低限の学しか無かったので、最初は貰った給金をどうすればいいか分からず、ソーマとの買い食いで消費していたりする。
そんなミシュだが、彼女はヒュリア以上にソーマに依存している。
ソーマに捨てられたら死ぬと明るく公言しているが、その目は本気だ。
先の見えない労働奴隷と言う立場、買い手が見つからず売れ残る日々、それから救ってくれて、極上の食と衣類を与えてくれたソーマ。
仕事は確かに大変だしキツいが、村での畑仕事や兄弟の世話に比べたら楽な物だ、昆虫型の魔物を相手するのは辛いが。
何より、本当に大事にしてくれている。
冒険者が女性の労働奴隷を買う理由なんて情婦が殆どだ。
仲間や戦力が欲しければ戦闘奴隷を買うし、雑事をさせるなら男性を買う。
大抵の冒険者は娼婦で発散するが、金に余裕がある冒険者は専用の情婦として労働奴隷を買う。
一見汚い関係に思えるが、奴隷側は抱かれる、奉仕することで報酬を得ていると考えると、労働として考えられる。
何より、情婦になれば衣食住は購入者が保証しなければいけないのだ、扱いは自然と上がる。
故に、ソーマが少し危惧している、嫌々抱かれているのではないか、と言うのは全く無かったりする。
ミシュは元々情婦としての扱いをされると考えて売られてきたし、ヒュリオは憧れの先輩である。
二人同時は気恥ずかしいという面が強くてちょっとイヤイヤしちゃうが、抱かれる事に拒否は全く無い。
嫌なら終わった後に自ら縋り付いて眠るなんてしない。
女心が分からないソーマには、分からない事だが。
どの世界でも、女と言うのは現金な物である。
シリアス感を出したかった、あと主人公のためになら手を汚せるヒロインって胸キュンだよね(言い訳




