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十五夜のひとつの詩
暗い夜に
月は明るい
闇を透けていくのは
曖昧なままであろうとする
静かなささやき
……
むしたちよ
いまは
しずかにしておくれ
おまえたちの月見を
じゃまするつもりは
ないけれど
きこえてくるのは
ひかりふる
よるのこえ
みえるもの
みえるもの
あきらかであるものだけを
しんじてはいけないと
……
暗くて
見えない背中に
川が流れる
あいまいなままは
混沌の海へと
広がっていく
静かな
水平線を
月が照らす
太い光の帯が
速やかに
わたしを捉える
静かだ
こんなに
静かなのに
なぜだろう
どこか騒めいているようだ