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わたしを失うとき
虫の音涼し
夕闇に想う
なぜ
失った思い出は
こんなに美しくて
軽やかに夢となり
跳ねまわる
明るい笑顔は柔らかくて
楽し気な手振りで
大げさに驚いている
あの時
お互いに知らなかったのだ
永遠の冷たさなど
お互いを失う真っ暗な穴など
今だって夜の空の上に
あの日と同じ静かな星
同じでない わたしだから
随分と汚れてしまった
本当に手にしたいものから
逃げてばかりの回り道で
わたしを失うとき
それは眠りに似ているか
やっと黙って
誰も傷つけずに