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たったひとつ叶えたいこと
すっきりと晴れた
高い空の下
わたしの陰は寂しい
眩しくもなく
暗くもなく
薄くなった
光は
のびのびと
爽やかに
遥かへと広がり
雲は
淡くて
青く
淡くて
白く
翻り消え
この空の下
どこか
果実が実っていく
痩せた土地でこそ
甘く
甘く
実っていく
まるで
幸薄き
真っすぐに
透きとおる
女になっていくように
実りは必然な結実となる
不幸せよ
痩せた暮らしよ
結実する何かを宿せ
形なき六角の結晶を
この世に現さしめよ
ぼおおおん
遠くで
鹿威しが
轟く
やがて
野焼きの季節が来る
焼けた野の薫り
香ばしい秋の薫り
彼岸花の真っ赤な列
きらきらとトンボの群れ
彩られる華やかな
モラトリアムな
刹那の季節に
ひとつだけ
たった ひとつだけ
叶えたいことが
あって
びょうびょう
風のふく
すすきのはら
真ん中の
たった一つの
髑髏になって
何処までも
何時までも
空だけを眺めていること
からっぽの
めのたまを
から
から
風
が
通り
ます
頭
蓋
の
裏
側
で
少し戸惑って
ふふ
割 れた
後ろ から
ひ
ゅ
っ
出て
行った