19/20
未熟な言い訳
青い草原に若い牡鹿が頭を上げて
雲の無い突き抜ける空の永遠に
橙の禿山に年老いたリスが首を垂れて
からからと太陽の落ちる彼方のしじまに
月照らす湖畔にひとり静かな像は
反転の夜に問わず語らず賢者のような饒舌を
ああ……
何処からか聞こえ来る独り言のように
呟いている孤独
来し方を忘れ
今は不確かに
行き方は見えず
少し人から離れ微笑んだままに
何時か待っている決定的な結末を
それでも
どうして詩が離れずに
蹲ることも許されず
背を伸ばすことも憚られ
人並みでありたいと願いながら
失って戻らない日常のありふれた在り様
尽くせぬ言葉なんて
未熟な言い訳だ




