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絶滅する季節  作者: につき
16/20

夜空と呼んでいる

宇宙には三つの光がある


一つめは

宇宙の主 恒星の光

赤に青に白に

例えようもなく銀河を彩る

自ら燃える膨大なエナジーは

遠い 遠い 星まで届く


あっ

例えば

蠍座のアンタレスは

553年前の姿を今に届けている

宇宙は巨大なタイムマシン

星空を過去の光が満たしている

何時だってわたしたちは未来だから

今のわたしたちの時間は

遠く 遠く アンタレスに刻まれて

光となって放たれる

553年後のみなさん、こんばんわ


二つめは

宇宙の悲しみ 惑星の光なき光

光を求めて恒星を巡る

誰だ?

力に従うのは嫌なことって

巨大なる重力は崇高な力で

全てを支配する

生かされていることは

想像を超えている


直近の太陽に唯々諾々のわたしたちは

遠い銀河の果ての果てなんて

見えもしない

聞こえもしない

思いもよらない

だって

わたしたちの時間は

未来にしか続かない

時の波は 遠い銀河の過去を運ぶ


「おーい 今 何処かにいる 誰か。」

その声が届いたとしたら

……僅かな人工の光が、気まぐれにある星へ届いた。

その星には命があって、声を解する者がいた。

……これは、200年以上も前の光です。

どうやら、文明の光のようですが。

なんて危うい光だろうか。

きっともう、この文明は滅びている。

そうなんだろうか。


三つめは

控えめな輝き 衛星の光

月は

太陽の鏡

地球の影

クールビューティーに

いつも 横顔を向けて

ある日 夜空の右目になって

わたしを睨みつけた

……(声ならぬ声)

わたしは、その猫目から

夜空の広さを知った


月が

アンタレスを隠すとき

太陽と月とアンタレス直線となる

わたしたちに

そのことの何が分かるのというのか


この無力な

地球という星へ降り注いでいる

恒星からの遥かなる光を

隠された衛星の哀しみを

数限りない惑星の屈託を

わたしたちは十把一絡げに

夜空と呼んでいる

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