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夜だけの夢
またまた季節感ありません。
酔っ払いの詩です。
若い女が
ひとり
上質な琥珀の液体に
初めて唇を浸した
……甘くて痺れる感じ
一口含めば
……凄いバニラの香り
柔らかく舌で転がせば
……沁みてくる熱い強さ
陶然と世界が満ちる
しどけなく
しかし静かに
チェイサーを飲めば
ああ……
わたし乾いているんだ
こんなに水が美味しいなんて
ビルの谷間の風は
昼間の嘘だけを運ぶ
本当の夜の騒めきは
風の止んだ静まりに
愚かなのは男と女
嘘なんてバレてしまうのに
男は信じるふりをして
女は開き直って
男には
夜でしか
叶えられない夢がある
失った日の憧れを
取り戻そうとして
幻想に取り縋る
女には
夜にしか
見せられない夢がある
理想化された性として
女神じみた振る舞いを強いられながら