狂犬たちの美学
またまた番外編です。
季節感の欠片もない。。
アンチェイン(2001 監督:豊田利晃)より。
出演者の数名の方々にあの時期お世話になったことがありました。
脳障害を負って
引退した選手がいる
一勝も出来ず
引退した選手がいる
人生を賭けたタイトルマッチに破れ
潔く引退した選手がいる
生まれの屈託を
生い立ちの屈託を
己の中の暴力の開放として
リングへ上がることを選び
様々に顛末あって
無念の内に去っていった
彼らは
生きていくことは闘いなのだと
その生きざまで語る
白々と道を行く
普通という肩書への渇望
後ろ指を指された
常識からのはみ出し者としての
悲しい自覚
生きているんだぞ
俺だって
命がけで
生きているんだぞと
一挙一動で
語る術として
リングの上に
己の輝きを追う若者は
今も数限りなく
そこにまだ栄光はなくても
汗の数だけの希望があって
ひたすらな己に対する期待があって
必ず訪れる残酷な結末を
むしろ迎え撃つように
息切らし生き急いでいる
無謀であろう
愚かさも含み
しかし
純粋な真っすぐは
間違いなく
この世の光であるから
彼らの雄姿を見て欲しい
その目で
しっかりと確かめて欲しい
時に弱気になり
また顔を上げて
荒い息で
倒れてもまた立ち上がる
その姿を
「どんなに
努力しても報われないことがある
そんなことは分かり切っている」
なんて
命がけで努力して
残酷な結末を
わが身で味わった者しか
語る資格はないだろう!