美しき白鳥
なぜだか冬まで行ってしまいました。
ある白鳥の画像からなのですが、秋はそのものが美し過ぎて、語りにくいからでしょうか。
公園の池に
白鳥が一羽
当たり前に浮かぶ
彼女は美しい
それでも
それを
どうしようもない
美は止む終えなきもの
輝く白い羽
優美に伸びる長い首
柔らかな佇まい
生まれ持った己として
人並みでいられない
注目される不安と誇り
優先的に譲られる
媚を含む順番は
やがて
奪い合いの的となる
美しさが強さを求めるのは
己として生きにくい故に
歪曲されるイメージに抗い
それでも影響されている
頂点の美は犯しがたく
それ故に渇望の的となり
力ある者のステージに
引きずり出されてしまう
さまざまに
顛末あって
時が過ぎ
ふと
斜陽を感じるとき
やっと
安寧の日々が近づく
崩れた美に人は安心して
かつての美に人は緩和する
白鳥よ
必死に生きるお前にとって
冬の厳寒こそが相応しい
冷たき水の上で
誰も見ることもなく
大きく広げた純白の羽こそ
誰にも奪えはしない
お前の本当の美しさだ
霧の深い湖畔
白樺の森に
ひっそり佇む
ひとりの女神がいて
お前に息を吹きかける
旅立つのだ
呼ばれるままに
凍てつくジェット気流に乗り
群れとなって
最果ての湖へと
お前は
そのために
美しいのだから




