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プロローグ
午前四時。暗闇い部屋の中に、ブラウン管の光がぼうっと光る。
画面に映るのはドット絵のテレビゲーム。古めかしい電気信号が幻想を映し出す。
部屋中に蔦のテクスチャのように散乱しているのは、レトロゲーム機やカセットやコントローラーなどの過去の空気を内包した遺物。
青年と少女がくらやみの中、一緒にゲームをプレイしている。
少女は廃墟のなかにあっても尊厳を忘れない、とびきり高級品のお人形のような佇まい。
ブラウン管の幻の反射を受けて、表情に妖しい光りを帯びている。
少女は青年の目をまっすぐ見据えて、言った。
「ねえ、景くん、私と一緒に『裏中野ブロードウェイ』を攻略してほしいの」