見ようとしない愛
長編というより中編です。
【縁】 血縁的、家族的なつながり。親子・夫などの関係。
そのようになるめぐりあわせ。
人は生きていく上で一生一人ということはない。遅かれ早かれ必ず誰かと出会い、歩んでいく。
だが、世の中にはそれに気づかず自分は一人だと思ってしまう人がいる。自分を想っている人など居ないと……
時に縁は非道なものへ姿を変えるときがある。一つの言動で好意的な感情が悪意に変わり人間関係をおかしくしてしまう。
それが家族だろうと。
「アンタなんかいらなかった。
お金も無いし子供産んどけば何か良いことあるかもって思ったけど、やっぱ失敗だったわ」
そう母から言われ、僕は6歳で施設に入った。
僕ぐらいの子や僕より大きい子、そして大人。後に施設の園長さんだと知った。
園長さんは僕に「大丈夫よ。 もう何も心配することはないのよ」と言った。
僕は母に愛されてないのなんて物心つく前から分かっているし、ご飯だって気まぐれで食べられない日の方が圧倒的に多かった。
そういうときは冷蔵庫の中のものを食べるのが当たり前で、さすがの母も死なれては困るのか何も言わなかった……もしかしたら気づいてないだけかもしれない。
実の親でさえ子を捨てるのに他人などどう信用すればいいのか、親にさえ愛されない僕はどう生きていけと言うのだろうか。
周りの人達が僕に優しく接してきてもお腹の中では何を考えてるか分からない。
誰ももう信用しない。
その内、周りの人達は僕を腫れ物のように扱い始める。僕の前では笑顔だが、僕の事を見るときの目は心配しつつも冷たいものだった。
「あの子……ああいう環境で育ったせいか周りの子達より賢いというか大人びてて、目が冷たい感じがして少し怖く感じるんだよね」
僕がそういう態度をわざとしてるからしょうがない。
ただ、本人が居ないとそういう事を平気で言うが、本人の前では決してそれを見せない。
それが大人の凄いところでもあり怖いところだと思った。
慣れてきた頃には時より里親さんとなる人の元に行ったりすることが増えてきていた。大体の場合は気に入ってもらえ家族となるのだが、僕は喋らないなどの態度をとるため、施設に戻されるのだ。
親に恨まれながら育った僕を誰が愛してくれるの?いつか嫌われるぐらいなら最初から嫌われた方が何倍も良い。
僕は【愛】という言葉が嫌いだ。
暗い感じで、出てくる人が怖く冷たく感じるかもしれませんが、主人公は周りがそう見えてしまうのです。
下手ですが、続きを読んでくださると嬉しいです。