五+犯人視点
どうも考えは深夜まで続いていたらしい。時間を忘れて考えていたようだ。気がつけば眠っていて、目が覚めたときには昼になろうとしていた。
もう二時間もすれば、僕は小花と会う。慌てて飛び起きる。シャワーを浴びながら、小花の言った言葉を思い出す。
『泰都君、明日なんだけど、少し時間をくれないかな? 話したいことがあるんだ』
この話をしたのは、放課後の廊下。
僕が帰ろうとしたときのことだった。周りはざわざわと人が行きかっていたから、その中のどの人物がこの話を聞いていたのかはわからない。
まだ犯人が誰かなどは目星もつけられなかったが、約束の時間が近づいてきた。所詮気がつくだけの人間だったと思い知る。
小花の話はなんなのだろう。もしかしたら、このストーカーについての話かもしれない。
僕は、家を出た。
――彼が家を出ていく。
彼はあの子と付き合うつもりなのか。だとすれば、もう後には引けない。脅迫状まで送ってしまった。
自分のしていることが、正しいとは思えない。
それでも、心を制御することは、今の自分にはできないのだ。
願おう。
自分の気持ちの置き所を獲得できるように。
それで誰かを、傷付けるのだとしても。