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心と絆  作者: 灰岸猫丸
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新しい家

 玖桜風間|{くおうかざま}は生まれつき体内の色素が崩壊していた。そのため肌はゆきのように白く、瞳は夕日のごとく真紅に染まり。髪の色は銀一色だった。

「麻奈美、今日からここが俺達の家になるそうだ」

  大きすぎず小さすぎない教会を見上げ、横にちょこんと立つ妹に声をかける。

「・・そう」

 虚ろで空虚の瞳がこちらに向き、なんの感情も持たない返事をした。

 妹がこうなってしまうのも当然といえた。色素が崩壊した兄妹など不気味なだけだ、父と母、両親に毛嫌いされ、周りからは迫害される毎日。

 そんな生活で、何年も過ごせば感情など消え去る。

 俺が耐えれた理由は1つ、妹である麻奈美を守りたかったからだ・・おかげで家から追い出されたけど、後悔はしていない。

「行くぞ」

「・・・」

 麻奈美の手をきゅっと握り締める。勇気を出すために。

 壁に取り付けられたチャイムを鳴らすと、すぐ小さい女の子が出てきた。

「こ、こんにちわ」

「こんにちわ」

 挨拶は大事だ、気持ちが楽になる・・相手が挨拶してくれた場合のみだが・・

 軽く落ち込んで、地面にしゃがみこんでいると。

「ど、どうぞ」

 いい子だ。素直にそう思う、むしろ俺に挨拶してくれた人が今まで何人いたことか。

 女の子に従い、奥に進むと1人のシスター姿の女性がが待っていた。

「ようこそ、あなた達が玖桜兄妹ね。写真で見たことあるけど、風間くんが14歳で麻奈美ちゃんが10歳であってる?」

 にっこりと微笑み、歳と名前を確認してきた。

「えぇ、合ってます」

「・・・」

 終始無言の麻奈美を見つめ、いきなり猫だましをかました。

・・・麻奈美はぱちくりと瞬きを繰り返した後、急に立ち上がり玄関に向かって猛烈に走り始めた。

「ちょっ!? 何してんですかあんた!」

「大丈夫よ、ちょっとしたお茶目だから」

 シスターの言葉を無視して麻奈美を追いかけると、ドアの前で先程の女の子に捕獲されていた。

必死に逃れようと麻奈美は暴れているのだが、一向に抱きついた女の子を振りほどけていないようだ。

「・・なにしてんの?」

 この光景は意味がわからない。そもそも女の子は最初から玄関に配置されていたが、逃げることが分かっていたのだろうか?

「すみません、院長が何かしたのですね」

 心底すまなそうに謝る女の子・・さっきまではおとなしい子だったのだが、考えを改めるべきだな。

手足をバタバタさせ、暴れまくる麻奈美を後ろから抱きつき完全に押さえ込んでいる姿を見て、そう思う風間だった。

「ふふふ、逃げられないわよ? だって私が育ててる子供だもの」

 嬉しそうに笑うシスターの顔面に拳をめり込ませたくなったが、幼い子達にそんなショッキングな光景を見せるわけにはいかないと、必死に我慢する。

 ただ、容姿のことに一切触れてこないことに感謝もしていた。


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