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百面鬼

「ねえ、聞いた?あの人さあ……」


お恵の周りの女友達は、例にもれずに噂話が大好きだ。古今東西この手の話には陰口悪口の類が混じり、ただ楽しく、とはならないので俺は時折距離を置いていた。しかしお恵が、何か不思議がっていた。


「そんなことあるかなあ」


あの人、そんなことすると思う?って俺は知らん。人の見てないところではそういうところもあるんじゃねえの?悪いことしてるわけじゃないんだったらほっとけばいい。よく知ってるヤツがそういうなら、そうなんだろう。丸越がクスクスと笑いながら姿を現さないのが、少し気になった。お恵と別れた後に、してやられたな、と丸越が得意になっていた。何が起きているか、わかったらしい。


「百面鬼だ」


それは、誰にでもなる。どんな話に現れてもその場にいないのなら顔を無限に持っているのと同じ、見たことのないような者でもあれば、見たことのある者であることもある。どのみちこの場にいない百面鬼をどこの誰と言うのはせんのない話、これが将軍であろうと絵巻物の中の者であろうと、自由な姿となる。百面鬼が無限の顔を持つための手段は、姿を現さないこと。そのため、無面と呼ばれることもあり、どちらにしても大して変わらず腕のいい者であれば呼び出すこともできる……それはどんな妖術だと聞けば、できる者は簡単にできるのだそうだ。この町の娘の中に、百面鬼を呼び出している者がいるのだろう……恐ろしいのは、娘だな。そういうと丸越は、そうだな、と珍しくうなずいた。


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