EP2 ここは熱い街、ボルケーノサンド
昨日は色んなことがあって、あまり眠れなかった。
宿屋のおばさんに挨拶をして、朝食を貰う。
フランスパンとカリカリのベーコン。どうやらボルケーノサンドの特産品はこのカリカリのベーコンらしく、焼かずとも元からこの状態らしい。
カリカリのベーコンを生み出しているのは真っ赤な色の豚。ボルケーノポークって言うらしい。
マイト「おばさん、ありがとう。美味しかったよ。色々教えてくれて、どうも。」
おばさん「あなた、忘れ物があるわよ ほら、この十字架のピアス」
マイト「あれ?つけてたんだけどなあ。ありがとう、おばさん。じゃあ、また。」
いつも肌身離さずつけていたピアスを忘れるなんて、余程疲れているのだろうな。クルスとのお揃いだから、無くす訳には行かない。
程なくして、ボルケーノサンドに着いた。………にしてもなんなんだ、この暑さは。汗が止まらない。
マイト「あっついなあ…ソルトとは比べ物にならない…あそこは涼しかったなあ」
やあ、兄ちゃん、ソルトから来たのかい?と、急に言われた。このおじさんの名前はフレイズと言うらしい。
マイト「ああ、そうだよ。ソルトから来たんだ。ソルトの掟で、一人前になったら最初に来るのはボルケーノなんだ。」
フレイズ「へえ…そんな掟があったのか。だからソルトから来る剣士は強いのだな。納得したよ。」
マイト「僕以外にも先に来た人が沢山いるの?」
フレイズ「うーん…沢山って訳では無いな。5人くらい。」
マイト「5人?!うちの街は結構大きいのに?!」
フレイズ「ああ、5人だ。どうやらタイナって化け物に喰われたりしたやつもいるらしい。」
マイト「タイナか………さっき始末してきたよ。これで安心出来たらいいんだが。」
フレイズ「…………そうか。」
なんだったんだ?今の間は。タイナを始末してから、右目が少し変わった。ほんの少しだけ、心や思考が見えるようになった。なんなんだろう。
あまりしたくはないが、覗いてみた。……………知らなかった方が、良かったのかもしれない。タイナを始末するのは、一人前としての条件、らしい。
でもなんでフレイズがそんなことを……… 頭が痛い。右目を使いすぎるのはやめにしよう。
マイト「教えてくれてありがとう。街の主は誰なんだ?」
フレイズ「マグボルだ。会いに行くといい。今後の事を言ってくれるんじゃないか?」
マイト「マグボルか。ありがとう。」
照りつくような暑さを耐えながら、進んでいく。
道中色んな人に声をかけられた。美青年だの、珍しい子、だの。美青年って言われたのは嬉しかったな。
浮かれてるな、気を引き締めよう。
マグボルと会うのは、楽だった。この街の人は熱い人ばかりだが、優しい。…ソルトとは段違いに。
マグボルの知り合いの人が、話をつけてくれた。
マグボル「君がタイナを始末したマイト君だね?」
マイト「ええ、そうです。お目にかかれて光栄です、マグボル様。」
マグボル「なんだか照れくさいからその呼び方はやめてくれ。ほら、肩の力を抜いて。友人と喋るように話しかけてくれ。」
マイト「え?ああ…ありがとう。これからどうしたらいい?」
マグボル「そうだなあ。最近近場のボルケーノ鉱山が荒れていてね。そこのモンスターの群れを片付けてくれないか。もちろん金は出す。ここの剣士は手馴れてるやつがいなくてねえ。」
マイト「そんなのでいいの?分かった。」
マグボル「そのお金でアイスダイヤに行くといい。少し寒いが、綺麗な場所だ。これが、地図だ。無くさないようにね。」
少し右目を使おう。…どうやら嘘はついていないらしい。喜んで引き受けよう。
マイト「分かった。終わったら、報告しにくるよ。」
その前に、ボルケーノポーク、ボルケーノバードを見に行こう。
ボルケーノバードはとても綺麗だった。綺麗な赤色で、羽は燃えている。飛んでいる姿は空想のフェニックスのようなものだった。
ボルケーノポークは、真っ赤なポークって感じで、そこまで大差はなかった。だが、身は脂が乗っていて、どの時期も美味しいらしい。クルスの為に氷魔法で一頭分を凍らせて、貰った。少し高かったが、クルスの為だ。喜んでくれるといいが。
郵便物を運んでくれる、ジャンボラビットにボルケーノポークを渡して、ボルケーノ鉱山に向かった。
着いた、と同時にまた話しかけられた。
名は、サイラと言うらしい。
サイラ「貴方がマイトね。最近仕事にならないの。どうにかしてくれないかしら。どうにかしてくれたら…私と… うふふ、坊やには早いかしら」
マイト「色仕掛けする相手を間違えてるぞ。まあ、とりあえず分かった。」
サイラ「つれないわねえ… 腕が立つとは聞いたけれど、ちゃんと危なかったら帰ってくるのよ。」
この人は見透かす理由はなさそうだ。本当に困っているのだろう。
ボルケーノ鉱山は、サンドより三倍は暑い。よくこんな所で仕事出来るな………
入口辺りは安全に仕事出来そうだが、貴重鉱石がある奥の方には見た限り、魔物がたくさんいる。流石に骨が折れそうだ。
ボルケーノ地帯の魔物は、常に炎を纏っていて、更に青い炎だと、上位個体らしい。
見る限り、上位個体しかいない。どうしたもんかなあ。
すると、同業者がいた。名はハイル。やけに顔が綺麗だ。歳を聞くと、同い歳だった。
ハイル「奇遇だな。あんたの名は聞いた事がある。そういや昔、ソルトで大会があったはずだ。その時俺も出ていた。俺は二位で、あんたは一位だったな。」
マイト「…! ああ、あの時の。君がいるなら安心出来る。これから一緒に行動しないか?」
ハイル「同じ事を思っていた所だ。じゃあ、これからよろしく頼むぜ、相棒。」
なんだか照れくさいが、こいつは疑わなくてよさそうだ。
二人でなら、楽だった。だが、やはり上位個体は強い。かなり刃こぼれした。
ハイル「あんたの剣、特殊なんだって? 俺のも特殊なんだ。一本余ってる。ほら。使え。」
マイト「いや、俺はこれ以外使えないんだ。錆びてしまう。」
ハイル「この間、こんな文献があった。特殊な剣を持つ同士なら、錆びないんだと。だから、使えるさ。」
本当だった。錆びない。使い勝手もいい。より楽になった。
ハイルは二刀流だった。昔見た時より、剣技が上達している。複数での戦闘なら、ハイルの方が上かもしれない。
そんなこんなで、奥地まで辿り着いた。二人とも、流石に消耗している。
休もう、と思ったのも束の間だった。
主が出てきたのだ。
さあ、どうしようか。どう戦おうか。




