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剣聖と心  作者: 黒白
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EP1 旅立ちの日、街

今日は旅立ちの日。

もう立派な一人前になった。この街の名はソルトマリン。名の通り、塩が特産品で、綺麗な港がある。

港を眺めていると、妹がやってきた。

妹の名はクルス。いつも十字架のネックレスをつけている。何故着けているかは教えてくれないが、どうやら意味合いはあるらしい。

クルス「ほんとにマイトお兄様、行っちゃうのですね。寂しいです。私も出来たらついて行きたかったなあ。」

可愛いらしい事を言ってくる。昔から僕にべったりだ。本音を言うなら、僕だって少しは寂しい。

けど、この街の掟がある。一人前になったら、剣士として国、世界の為にならなくてはいけないのだ。

産まれてからずっと、剣技を叩き込まれてきた。それはクルスも同じだ。僕達兄妹は、昔から才能があると言われてきた。クルスは乗り気じゃなかったが。

僕達兄妹は、親の顔を知らない。クルスには言っていないが、僕達は捨て子、って訳だ。

だからこの街の人達皆が僕達の親であり、家族であり、大切だ。

ガイおじさんとセイおばさんに挨拶を済ませて、僕は街を出た。

次はいつ帰ろう。そんな事を考えながら、歩いていく。

次に行く街はボルケーノサンド。

名の通りとても熱いらしい。人も、街も。静かな街でいたから、少し不安だ。

道中、倒れている人を見かけた。揺さぶってみると、返事があった。どうやらこの森の奥に化け物がいるらしい。あまり寄り道をするなよ、とガイおじさんに言われたが 腕試しくらいはいいだろう。

進んで行くと、特殊なゴブリン、オークが襲いかかってきた。どうやらここの主は、肉体改造をさせ、自我を奪い取るみたいだ。そして、寿命も。

だがそんな事は気にもならない。この剣の前には意味が無いのだから。

僕の剣は特別、らしい。どうやら僕以外が持つと、重たいし、とてもじゃないが使い物にならないと。クルスにも持たせてみたが、錆びてしまった。

そしてもう一つ。僕はこの剣以外使えないのだ。

所謂、呪いらしい。ああ、だから両親は僕を捨てたのだなと。忌み子だから。

過去の話は思い出さない方がいいな。とりあえず奥まで進もう。

奥には人の形をした化け物がいた。いや、化け物と言うには相応しくない、美人がいた。

あんた、ここで何をしてるんだ?と問う。

そうすると名と、している事を答えた。

名はタイナ。している事は森の統治、言った。

タイナ「…ああ、忌み子って言われていたのは君のことか。誘われちゃったねえ。」

タイナはけたけたと嫌味深く嗤った。

それと同時に、悟った。あの倒れていた青年は、タイナが化けていたのだと。

タイナ「ボルケーノサンドに行くんだろう? だから道中化けたのさ。君は人に優しいらしいからねえ。何で知っているのかって? 街の人が君を始末したいと私に言ってきたからさ。」

足が震えている。信じていた人達は、僕の事を……

それと同時に怒りが湧いた。

今ここでこいつを仕留めないと、クルスが危ない。

街の人達はこんな風に青年達を…… 考えると吐き気がする。

マイト「悪いな、タイナ 僕は君みたいな……人の皮を被った化け物が1番嫌いなんだ」

タイナ「へえ、言うじゃないかい 私の正体も知らずにねえ…」

マイト「そんな事はどうだっていい! 僕はあんたを始末する!」

タイナ「やってみな!! いつまでその強気が持つかな!」

そう啖呵を切った瞬間、ゴブリンとオークの群れが現れた。気づかなかったが………よく見てみると街の人達の特徴がある。そうか………タイナに変えられたんだな。早く楽にしてあげよう。

マイト「このゴブリンもオークもお前がやったんだな」

タイナ「ああ、そうさ…最も、指示したのは街の人じゃない。君には辿り着けない人達だよ。」

体が震えた。こんな道徳のカケラもない事が色んな街や森で起きているだなんて………

ゴブリンとオークは全て始末した。心は痛むが…仕方ない。

タイナ「へえ。その速さで。中々やるじゃない」

マイト「今度はあんたを……」

一撃で仕留める。奥義を打つ。

マイト「終わらせる…紫電御剣流…断罪!」

タイナ「なに?! 」

タイナには何が起こったか分からないようだった。

まあ、無理もないだろう。本気を出せば、こんなものだ。

ボルケーノサンドに向かおうとした、その時だった。

タイナ「強くなったわね……クルスはほんとに可愛らしくなったわ。」

マイト「………あんた、誰だ」

タイナ「………私は貴方の叔母にあたる。そう…セイおばさんよ。」

動揺した。確かにセイおばさんは昼間や夕方、いない時が度々あった。

マイト「何でこんな事を……なんの為に!」

タイナ「貴方を強くする為よ。そう、罪悪感で心がぺしゃんこになるわね。あはは。忌み子、本当に貴方は忌み子。」

タイナ「マイト、これから先、もっと悲しい事が起こるかもしれないわね。もっと強くなるのよ。」

頭が真っ白になった。あんなに優しかったセイおばさんは、本当は化け物だったってこと。ああ、息苦しい。早く出よう。

森を抜けて、すぐ走った。誰にも止められない位の速さで。そうしないと、耐えられないから。

気づくと、ボルケーノサンドにそろそろ着きそうだ。

今日はこの宿で休むとしよう。宿の中で、色々考えよう。…右目はもう、閉ざそう。これ以上、見たくないものを見ないように…悲しみを背負いすぎたくない。

宿のおばさんに就寝を伝えて、眠った。

これが、旅立ちの日だった。

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