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2-4 試合



そして放課後。


体育館には大勢のギャラリーが集まっていた。

観客席は満員で立ち見も出ている。


巷で噂のシシがバスケの試合をやるからな。

そりゃ人も集まるわな。


で、それに勝って気持ちよくなりたいんだよな。

絡んできた5人がスターティングメンバーのようで、嬉しそうにニヤけてやがる。


だがそうはいかないんだよ。

ブザマをさらすといい!


よく見ると控えの部員たちは複雑そうな顔をしている。

どうやら諸悪の根源は彼らだけのようだ。

部としてはちょっとは救いようがあるのかもな。




こちらのスタートは田村くんの代わりに私が入った。


「トドメを刺すのは田村くんだからね。余裕の展開ですぐに出番を回すから。準備してなよ」


「ハイ! シシさんもがんばってくださいね」


コートに入ると黄色い歓声が起こる。

まあ、ちょっと気持ちいいぞ。


負けじと女神が応援してくれる。

うん、いちばん刺さるなあ。

私は手を振ってそれに応えた。


試合は10分4クオーター制。

審判はバスケ部の顧問がやってくれるようだ。

てかコーチ。きっちり締めてくれよ。

のびのびさせすぎだよ!



センターサークルに10人が集まる。


「おい、ラーメン。約束は覚えてるよな?」


「あ? お前らの土下座だろ?」

「ちげーよ。廃部だよ」

「勝てるはずねえだろ」


うやむやは嫌だからな。

ちゃんとしとくか。


「みなさーん! この試合はホリ高のバスケ部統一戦です! 負けたほうを廃部にするというルールで『彼らの方から』試合を申し込んできましたー!」


「おおおおお!」


会場が盛り上がる。


「はい、もう後には引けないよ」


「てめえ」

「廃部になんのはお前ら同好会だろうが」

「勝てると思ってんのがすげえよ」

「頭悪いよな」


ガヤうるせぇ。


「はいはい、すぐに分かるぜ。ほら始まるぞ」


ボールがトスされる。


ジャンパーは家成くん。

元バレー部だというだけあって垂直跳びは大したもの。

ファーストオフェンスは同好会だ。


ボールを回し、最後に私のところへ。

館内が盛り上がる。 


ディフェンスはラーメン。


さて1対1……と思ったら、沢村が切れ込んでくる。

いいじゃん!


逆に動いてノールックでビハインドパス。

パスはすんなり通ってレイアップが決まる。


歓声があがる!


「なにいまのー!」

「どこからパスした?」

「なにあれなにあれなにあれー!」  


ワンプレーで格の違いを見せつける。

場内は早くも盛り上がる。


さて、ディフェンス。


ろくにアイドリングのパスも回さず、ラーメンがドリブルインしようとする。


ぬるー!


軽くスチール。

福岡くんがダッシュするのを見てからこぼれたボールを追う。

私はそのまま福岡くんを見ることなくボールを後ろへ放り投げる。

きれいにランシュー!

はい、4-0


館内がさらに歓声に包まれる。

「なんなのかっこいい」

「「「きゃーーーー」」」


ありがとう。パスふたつでそんなに反応してもらえるとは、バスケファンの目も肥えたんだなあ。


焦ったバスケ部の攻撃に、大山くんのハエ叩きが炸裂。


お、いいとこにきたー!

美味しいー! 


私は軽くドリブルをふたつほど。

フリースローレーンからテイクオフ。

憧れのMJのダンクを再現する。


静まりかえる体育館。

直後、震えるような大歓声が巻き起こる! 


バスケ部は呆然。

審判に促されて試合を再開するがまったく動けてない。


その後も一方的な試合が続く。


10本目のダンクをぶち込んだところで私は田村くんと交代する。


第1クオーター残り2分でスコアは44-0


福岡と沢村にアイコンタクトを送る。

ふたりは軽く顎を引いて返してくれた。


「さあ約束の時間だ。スリーポイントラインで待ってろ。福岡か沢村からエグいパスがくるぞ。絶対に入るから自信持って撃ってこい! トドメを刺してこいよ!」


「ハイッ!!」


私の交代に部のやつらは少しだけ顔を緩める。


「よし、ここからだ」

「素人の1年坊主を狙え」


おー、フラグをありがとう。

いけ、田村!


パス回しから福岡がドライブイン。 

敵を引きつけながら鮮やかなパスを田村へ届ける。


田村がそれを受けてシュートを放つ。

高く綺麗な軌跡を描いて――3pシュートが決まる。


館内に歓声があがる!


呆然とするバスケ部を尻目に、田村くんは3本連続で3pを決めたのだった。


第一クォーター終了。

53-0


信じられないといった表情でへたり込むバスケ部。


「どうするんだ? エグいスコアだな。0点ってバスケのスコアじゃねーぞ。200点取られるまでやんのか?」


「ぐっ」


「あのなあ。たった2年ちょいくらいしかできねえ高校バスケだろ。なに勿体ないことしてんだよ。バスケが好きなのにわざわざ同好会作らなきゃいけなかったのはアイツらのせいか? 違うだろ」


「……すまん」


「謝るなら同好会にだ。それとまだ部に残ってくれてる同期や後輩たちに感謝を忘れんな。まだ半年以上あんだろ。すっきり謝って出直せ」


「……わかった」


そのままコートでごめんなさいセレモニーが行われた。

同好会メンバーは部に戻ることになり、体育館は拍手に包まれたのであった。


なんだよ、三っちゃんだったじゃねーか!

まあ二度とない青春だ。

みんなで楽しめばいい。

まあ、オレは2周目を楽しませてもらうけどな。


そこにオレの女神が飛び込んでくる。


「かっこよかったよーー! /頼む、我慢できん。いま抱いてくれないか」


ありがとう木花。大胆すぎるが好みだぞ咲那。

バスケはやっぱり楽しいな! 



女神にいいところを見せて浮かれていた私はなにも気づいていなかった。


その試合は当然なんの制限もかけてなかったので観客は噂のシシくんを携帯動画で撮りまくる。 


そこで繰り広げられた高校生離れしたスーパープレーはすぐに拡散されることとなる。


私はバスケの全日本合宿に呼ばれることになるのであった。

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