2-3 バスケ
初日のハプニングは学食事件だけであとは楽しく過ごせた。
明日はバスケをするので帰りに駅前の大きなスポーツショップに寄ってウェアとバスケットシューズを買うことにした。
木花と咲那にウェアを選んでもらい、バッシュは自分で選んでいい感じのやつを買った。
久しぶりの運動だが大丈夫かな。
前ならアキレス腱断裂コースだ。
でも若返ってるしなにより能力解放がハンパない。
目立ちすぎないように気をつけよう。
翌日、放課後。
着替えてから体育館に行くと5人のメンバーがバスケットコートに集まっていた。
「あ、獅子川さん! 来てくれたんすね!」
「えー、本当にシシ?」
「うわー、シシだ! ウチにいたんだな」
「サンサンできるやん!」
「よろしくー」
「待たせちゃったかな。2年の獅子川です。彼女は木花咲那です」
「婚約者です/妻だな」
「いや、忘れてくれ」
とんでもない美人のとんでもない発言に戸惑いながらもメンバーが自己紹介をしてくれる。
「 改めてよろしくお願いします! 田村です。高校からなのでまだ初心者なんです」
「オレはキャプテンでポイントガードの福岡や」
「沢村。ポジションはテキトー。よろしく」
「オレはセンターの大山。よろしくな」
「センターの家成です」
「貴重な体育館の日や。とりあえずやろーや」
女神は端っこで体育座り。もうね、天使だぞ。
スカートは気をつけろよ。
だめだな。イスに座らせよう。
まずはランニング。
それから準備運動。
なんか懐かしいなー。
で、ランニングシュート。
6人しかいないから忙しいな。
でもそんなのもいいんだよ!
何を隠そう私の高校バスケもどんどん辞めるやつが出てしまい、最後は7人だった。
それでベスト4まで進んだので周囲を驚かせたのを覚えている。
ランシューが終わり、2対2にうつる。
基本のコンビプレーだが、これを見たらだいたいのセンスはわかる。
バスケの試合は5対5だが、プレー自体は1対1か、2対2の局地戦の積み重ねだ。
で。
このチーム、結構面白いじゃん!
まるでバスケマンガみたいに個性が揃ってる。
高校の同好会なんて試合もそうそう出来ないから自分たちの実力にピンときてないんだろうな。
「やばー。楽しいなー」
「シシくん入っちゃえよ」
「大歓迎。上手い」
「入ってくれやー」
「3対3が出来る!!」
「ぜひですよ!」
――そこにちっさな風鈴の音。
「なにぬるいバスケやってんだよ!」
ダミ声が響く。
あー、来ちゃったんだねー。
やってきたのは昨日のバスケ部。
言っていいかな。靴を脱げ。
バスケ勝負の展開ならいいかな。
でもこいつらウザいからなあ。
三っちゃんオチはいやだなあ。
「なあ、学校にバスケ部ふたつあんのウザいんだわ」
「試合やろうぜー」
「負けたほう廃部な」
「土下座したらいれてやるよー」
「よお、獅子川ー。昨日はどうもなー」
お、ラーメン、息を吹き返したのか?
「……オレはまだ仮入部だよ。オレに絡みたいなら外でいくらでも遊んでやるよ」
「おいおいいいのかよ、お前CMとか出てんだろ」
「大変なことになんじゃねえのか?」
「大丈夫かよおい」
あーね。
そこに気づいて勢いづいて出直してきたんだね。
「……ええわ、ほな試合やったるわ」
「あー? いいのかー? 同好会が部に勝てると思ったてんのかよ」
キャプテンもいいやつだなあ。
オレの仕事庇ってくれたのか。
こいつらはシメないとだな。
「あのさあ、なにやらチマチマ調べたみたいだけどさ。だったらオレが本気で芸能やってないのわかるよな?」
「は?」
「ラーメンくんはCM盾にすりゃオレを脅せると思って息を吹き返したのかな? だったら見当違いだよ。お前らにデカい顔されるくらいなら秒で芸能辞めてやるよ。違約金くらいオレ個人でいくらでも払えるしな」
「え?」
「でももしそんなことになったらむしろウチの事務所からお前ら訴えられるんじゃないか? 今の発言なんて社長が聞いたら喜びそうだよ。お前ら億単位の違約金払えんのか?」
全員ブルブルだな。
子犬かよ。
どうしようもないな。
「まあいいよ。キャプテンも試合やるって言ってるしな。お前ら負けたら廃部っつったよな。それ条件ならやってやるよ」
それを聞いて、急に顔を明るくするバカたち。
「な、なんだよそれでいいのかよ」
「よし言ったからな!」
「同好会の実力知らねえでよ」
「明日ウチが体育館使う日だからよ」
「そこで試合な」
「ギャーッハッハ。バカだなおまえ」
おいおい、そんな笑い方リアルでするやついるのかよ。
「バカはお前たちだよ。ちょっと一緒に練習しただけで分かったぜ。こいつらはめちゃくちゃセンスあるよ。明日大恥かくのはお前らだから」
「楽しみにしてるぜー」
「観客集めねーとなー」
楽しそうにバスケ部は体育館を出ていった。
「あ、ごめん。勝手に試合の約束しちゃったな」
「それはかまへんよ。オレが言い出したことや」
「勝てますか? 初心者のボクがいるからあいつら勝てると思ったんだろうな」
「……ねえ、シシくん。キミかなり動けるだろ」
突然、沢村が声をかけてくる。
「どうだろうな。それなりに自信はあるよ。てか沢村くんこそヤバイよね」
「んー。あんまり本気になったことなかったけどね。この展開は燃えるな」
楽しいな。
私はドリブルをしてワンハンドのダンクを決める。
うおーーー!
歓声があがる!
女神も立ち上がって喜んでいる。
へへへ。いいとこ見せたぜ!
歩いてみんなのところに戻りながら話しかける。
「エースの沢村くんはかなりの腕だよ。ポイントガードはスピードもあるし、なによりバスケをよく知ってる。パワーフォワードとセンターも高さがある。あと、田村くん。キミは動きは素人でもシュート練習めちゃくちゃがんばってるだろ。その外角シュートは立派な武器になる。オレ抜きでも多分勝てるぜ」
みんなはだんだんと自信に満ちた顔つきに変わっていった。
そのあとは3対3でお互いにみんなの動きのクセや好みを把握することに集中する。
あんなやつら相手ならこれで余裕だな。
マジでオレ抜きでも勝てると思うぞ。




