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1-⑬ 会見



状況を整理してみた。


先程のやり取りはやはり生配信されていた。

私とバカのやりとりは瞬く間に切り取られて絶賛拡散中である。


とんでもない勢いでカウンターが進んでいる状況だ。 

但し、世の中の圧倒的な支持を集めて。   


野村卓司のファンが私の怒りに感動して支持をしてくれているのはもちろん、一般の良識のある方々も私の味方をしてくれているらしい。


で、問題なのは私が17歳バージョンだったこと。

幸い、私は獅子川だとは名乗っていない。


でも「同じ業界」という言葉は発した。


話題のイケメンについて、ネットの特定班は「同じ事務所の新人タレントではないか」と推測し、これが最も信憑性があるとされている。


「本当にすみません。マジギレでした。反省してます」  


「いいって。本当に嬉しかったんだよ」  


「ああ。私もだ。ありがとう」


「仕方ないよもう/スッキリしたぞ」  


「かっこよかったよー♪」


「で、どうします? 流れ的にウチの新人俳優ってことにするしかないと思うよ」   


「そうだよなあ。むしろ17歳モードの人権を社会的に得られたと思えばいいかな」  


「問題はだ。明日の会見にシシを出せと大波が言ってきていることだな」 


「それはむしろ願ったりです。会見の場でズタボロにしてやる。冷静バージョンで!」  


「いいんだな?」  


「はい」


「よし。明日の会見の設定を決めるぞ。今からシシはウチの新人俳優だ。芸名はシシ。17歳。ここは獅子川さんの家だとバレてる。割り切って獅子川さんの息子さんってことにすればいいだろう」 


「はい」

 

「野村卓司と親交のある獅子川さんが匿ってくれた。その間はウチの新人俳優でもある息子シシが世話をしてくれていた。野村とは兄弟のような関係で、つい無礼な記者と口論になった」


「わかりました。完璧なストーリーですね」


「野村は最近ストーカー被害に遭っていて、自宅には防犯カメラをセットしていた。外も不安なので監視したかったが、警察沙汰にはしたくなかったので、民間の警備を雇い自宅前を警戒をしてもらっていた」


「田城さんすごーい/証拠もつかえるぞ」


「民間警備が過剰反応してしまい、犯人を追跡。証拠を押さえようとしてビル内に侵入してうっかり偶然、証拠をつかんでしまいました。これはやり過ぎでした。ごめんなさい。でーすーがー」


「白木プロと大波さんのしたことは犯罪です。これ以上罪を重ねてほしくはない。それに多くのファンやクライアント、番組制作に迷惑もかけられない。たとえ法的な効力はなくとも開示すべきだと思ったのです!」  


一同立ち上がって田城社長に拍手である。


ストーリーは完璧だ。

よし! いざ会見だ!


―――――――


会見場は都内ホテル。

すでにマスコミはぎっしり詰めかけている。


「それではただいまより野村卓司の一連の報道に対する記者会見を行います」


卓司の入場に一斉にフラッシュが光る。

続いて田城社長、そのあとに私……新人俳優シシが続くと更にフラッシュの嵐が巻き起こる。  

最後に太陽プロの顧問弁護士が着席した。


司会に促されそれぞれが挨拶をしていく。

私の番が来た。

そこで私は改めて自身の素性と今回の経緯を説明した。


「私は太陽プロの新人のシシと言います。昨日は大変お騒がせをしました。まだデビュー前の若輩者です。誰とも名乗らない人にいきなり自宅に侵入されたうえにカメラを回されて混乱してしまい、さらには尊敬する卓司さんを中傷されてついカッとしてしまいました。今回は週刊大波に出席要請をされましたのでお詫びをさせていただく機会と思いご挨拶をしましたが、本来はここにいるべき人間ではありません。これにて退席させていただければと思うのですが、よろしいですか?」


大波の記者が手を挙げる。

こいつは実行犯の男だ。ノコノコ来たんだね。

君、このあと捕まるよたぶん。


「では先にあなたへ少しだけ質問を。あなたと野村容疑者の関係を教えてください」


「だからさあ! なんで容疑者とかいうのかな。何回言えばわかるんだ? やっぱり大波ってバカしかいねえんじゃねーか」


場内がどよめく。

なお今日の私は全くキレておらず、釣り役を演じている。


顔を真っ赤にした記者が狙い通りに釣られてキレる。


「お前が失礼だろうが!」  


「お前が容疑者呼ばわりするからだろ。野村先輩は犯罪者じゃないぞ? 警察介入してないよね? 現時点であんたたちが自分の記事で勝手に騒いでるだけだよね? 何回言えばわかるのかなあ。お前が失礼なんだよ。いま先輩に謝れよ」


「ふ、ふざけるな!」  


「もういいよ。バカだから。あ、すみません。他の記者さんたちもいらっしゃいますので質問にお答えしますね。私の父は出版社に勤務する編集者です。父と野村先輩は家族ぐるみの付き合いで、私にとっては兄のような存在です。そのご縁で先日太陽プロに所属しました。今回はその大事な兄貴が三流クズ雑誌にあらぬ疑いをでっち上げられて困っていたので、父の自宅に来てもらっていました。そこで昨日の不法侵入事件に遭遇してここに至ります。以上です。

なお、昨日の不法侵入については警察に被害届を出しました。なのであえて言うならそこにいる編集長こそ、確実に容疑者ですけどね」

 

会場から笑い声が起きる。


さあ、キレなさい!


「ガキがふざけるな!」


はい、クズ編集長が釣れました。


「あなたか容疑者なのは事実です。ですが野村先輩はそうではありません。次に容疑者呼ばわりしたら名誉毀損で訴えますよ。あんたたちのでっち上げについてはこのあと先輩と田城社長がきっちり白黒つけますから。オレもこれで退席しますのであんたたちもおとなしくしててください」


私は立ち上がる。  


「私はマスコミに勤める父を尊敬しています。ここにいらっしゃるほかの皆さんもプロだと信じています。どうか正しい取材で今回の顛末を見抜いてください。先輩は間違いなく無実です。それはこのあとハッキリします。

そして願わくば……。今回のような事故を防ぐためにメディアがどうあるべきかも改めて考えていただきたいと心から願います。ダメなものはダメです。でもそれを勝手に暴いて晒すのはプライバシーという考え方でも私はどこかおかしいと思っています。どうかプロとしてご判断ください。 

皆さんとは明らかに質の劣るバカにつられてつい冒頭から場を荒らしてしまいました。申し訳ありませんでした。では失礼します」


場内からは拍手が起こる。


火付け役はこれで終わり。

さあ大波をぶっ潰すぞ。

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