1-9 はいさ~い
ゆっくり星を眺めたあと、部屋に戻って創造神さまにフルーツ盛り合わせを送りながらぼんやりとつぶやいた。
「ここに住みたいなあ」
それを聞いた3人が目を光らせる。
「住みたいぞ!/住みたいよ」
「住むのだー♪」
「まあ夢だよなー」
「「「えー」」」
ん? あれ?
全然住めるな。
一度来たんだからこれからは転移で来れるじゃん。
お金ならその後も増えてるしめちゃくちゃあるぞ。
別荘ではメンテナンスが大変だけど、こういうところを年間で借りちゃえばいいのか。
「よし! 住むぞ!」
「本当に?/本当か?」
「やったー♪」
ふたりは喜びのあまりプールに飛び込んだ。
ナビィは空高く飛んでいってしまった。
しばらくしてみんなが帰ってくる。
ようやく落ち着いたようだ。
「この旅行で泊まった場所でいちばん気に入ったところに住むことにする! 最終日に多数決で決めような」
みんな喜び爆発である。
私も楽しみだ!
初日、二日目とまーったり過ごした。
さすがにずっとコテージにこもるのも勿体ないので、チェックアウトしたあとに近くの竹富島へ行ってみることにした。
船で10分。
なんだかとても落ち着く風景だ。
古民家のごはん屋さんでお昼ごはんをいただいた。
ここでも女神はたくさん食べて周囲の注目を浴びるが、認識阻害が効いているので目立つのは私だ。
勘弁してください。
島をぐるりと散策して船で帰る。
何もないのがいいんだな。
竹富島はいいところだった。
さてこのまま空港に移動して次は宮古島だ。
石垣島からは30分。
飛んだら着いたくらいの感覚だった。
こっそりタンドラを出して宿へ向かう。
空港を出てすぐに市場があったので立ち寄ってここでも食材をしっかりと買い込む。
着いた宿は石垣島より少し広くて開放的なコテージだった。
それでいてプライバシーは完全に守られている。
ここでも女神たちは吠えて喜び、管理人さんを笑わせていた。
もちろんここも温水対応のプライベートプールにサウナつき。
ここも飲み物はオールインクルーシブでお得感がある。
バーベキューができる広い庭もついていて、なんとそこから誰にも会わずにプライベートビーチに出られるのがポイントが高い。
私的にはこっちに一票だな!
宮古島はクルマで渡れる離島がいくつかあり、そんなドライブも楽しめそうだ。
石垣島は栄えてるエリアもあったがここは本当になにもない島だ。
それがまたこの島の魅力なのだろう。
実のところそれほど美味しいごはん屋さんを見つけれられなかったのたが、離島に渡る橋の近くで美味しい宮古そばの店を発見した。
あまりに美味しくて次の日もランチはここにしたほどだ。
ますますこの島の魅力に取り憑かれてしまった。
2日滞在したあとは伊良部島に移ってそこでもコテージに泊まった。
ここも洗練されたいい宿だったがお隣との距離が近くて少しポイント減かな。
めちゃくちゃ居心地は良かったのだけど。
さてひたすらのんびりまったりした沖縄ツアーも本日が最終日。
みんなで住みたい場所を話し合い、全員が宮古島で泊まったコテージを選んだ。
宿の作りは石垣島も良かったのだが、開放的な作りとなにより広めの庭にプライベートビーチがついていたことが決定打となった。
帰り道にもう一度コテージに寄って長期滞在をしたい旨を伝えたら、ちょうどオーナーが来ていたそうで、会わせてもらえた。
「え? シシさん!?」
「卓司!?」
なんとオーナーは田城さんのプロダクションに所属している俳優の野村卓司だった。
何を隠そうタンドラは彼が譲ってくれたのだ。
顔見知りだった私たちは思わぬ再会に喜んだ。
長期契約の打診だから55歳モードにしていて良かった。
そうじゃなきゃややこしくなってたな。
「こんな高いとこを年契したいとかどんなお金持ちかと思ったら。シシさんそんなに稼いでるんだね!」
「いやたまたま好きに使えるお金が入っただけだよ。でも卓司のコテージだったとはな。さすがだな。本当にいいところだったよ」
「嬉しいですよ。そんなに気に入ってくださったから長期契約を打診してくれたんですもんね」
「そうだぜ、しっかり浮気してあちこち泊まった上でここに決めたんだ」
「それは嬉しいな! ともかくシシさん相手ならこんな値段じゃ契約できないよ。この半額でいい」
「いやいやそれはさすがにやり過ぎだ」
「それでもちゃんと利益はあるから。この金額じゃなきゃこの話は受けられませんね!」
「まじか。そこまで言ってくれるならいいのかな。なんだか申し訳ない。ありがとう。東京に戻ったら田城社長にもお礼を伝えておくよ」
「まあまあご縁ですよ。お気になさらず。……(ところでシシさん独身でしたよね。彼女さんですか?)」
「あ、紹介するよ。木花咲那。オレの彼女だ。彼は野村卓司くん。有名な俳優さんだよ」
「あ! こないだシシのDVDで観たぞ!/ショウが無人島に持っていく5本に入ってる映画に出てた人だ!」
「シシさんのベスト5入りですか! 光栄です」
「あと彼女じゃないよ/妻だ」
「!?」
「いやまだ入籍してないから。でもいつかはね。まあそんな付き合いだよ」
「ますますこの値段じゃダメだなぁ。もう少し割引を……」
「卓司。だめだぞ。さっきので確定な」
こうして私はご縁もあって宮古島にセカンドハウスを持つことになったのだった。




