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瀬戸の章 ボーイズと流星の夜(1)

 黙っておく、と言ったからには、このビー玉をくれた人物について口外するつもりはなかった。有太にもだ。


 色々考えたが、結局、取引のある中で一番大規模な企業から報酬としてもらったことにした。


 自力で開発できなかったことに晧がこだわるのではないか、という危惧はあったが、そんなものはすぐに吹き飛ぶことになった。ビー玉の取り付けが難航したからだ。


 彼が「使い方は分かるね」と言ったのは覚えている。


 俺はビー玉のあまりの小ささに気を取られていて、その発言を重視しなかった。そういう言い方をするなら、すぐに分かるようなことなんだろうとたかをくくったのもある。


 もう、流星群の夜まで日がない。当てもないこないだまでより、目の前にパーツがあるのに使いこなせない方が心に堪えた。


 俺は自分の見通しの甘さを呪った。


 大きさが全く違うとは言え、同じ増幅器なのだからターボとビー玉を取り換えれば済むと単純に考えていたが、そうではなかった。


 ビー玉には配線を繋ぐための接続口がなかった。分解するわけにもいかず、仕組みも分からないものとどうやってエンジンと連結させればいいのか、俺には分からなかった。


 どうにか取り付け、これなら動くのではと思えたのは当日の夜更けだった。この日は晧も流星群が終わる夜明けまで外出を許されていて、俺たちは三人で苦闘していた。


「でき、た……」


 放心したように晧が呟いた。「はず、だよね?」


 俺は返事をしたつもりだが掠れた声しか出ず、すぐ隣にいる晧にすら聞こえたかどうかは分からない。有太もとっさに言葉が出ないようだ。


 ビー玉は完全な球体で継ぎ目も見当たらず、事態の突破口はなかなか見つからなかった。


 お手上げ状態で、やけになって電波を当ててみたら反応があった。どうやら、無線で使うものらしい。


 俺は脱力して崩れ落ちそうになった。ホバーカーやバイクのエンジンはもっとアナログなので、全く思いつかなかった。


 ここで知識を発揮したのは晧だった。晧は自走機械を遠隔操作で動かすプログラムに凝っていたことがあり、その時の技術が役に立った。俺や有太は専門外だったので、晧の言う通り作業を手伝ったに過ぎない。


 完成……うまく頭が回らず、ぼうっとしてしまう。俺たちは全員で顔を見合わせたが、有太が真っ先に我に返って叫んだ。


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