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晧の章 ボーイズ、夜天の夢を見る(2)

 眠る前には色んなことが頭に浮かんでくる。


 学校の図書館には専門書はないから、週末、町の北にある大学図書館に行こうかと僕は思った。パパの会社は大学と共同開発しているから、大学図書館の本を自由に借りられる。


 実践的かつ、僕にもわかる本はあるだろうか。あればいいな、と僕は毛布を顔の半ばまで引き上げた。眠気が、鼻のあたりで香るように広がった。


 昼間のできごとを思い出して、僕は毛布のはしをぎゅっとにぎった。


 図工室でのできごと。ニックの見下ろすような表情。工場の真ん中に置かれた、作りかけのスタージェット。有太のザ・ランプローラーと、瀬戸の仕方なさそうな笑み。


 僕もわずかにくちびるの端が上がるのを感じた。


 よかった。瀬戸が笑うとどうしてこんなに心が浮き立つんだろう。珍しいからだろうか。


 でも、僕は有太の笑顔だって好きだ。つられて一緒に笑ってしまうような笑み。


 瀬戸は困ったような顔で静かに笑うけど、有太は爆発したみたいに笑う。僕はどっちも好きだ。三人でいると、おかしいことも三倍になる。


 明日、さっきパパに聞いたことを二人に話そう。試したいことがいくつかある。


 少しずつだけど、きっと僕らは夢に近づいている。見たかったあの景色に。あの夜間飛行に。


 僕は目を閉じる。


 夢の中に、スタージェットは出てきてほしくない。初めて乗るのはこの世界の、今僕たちが作ろうとしているあのスタージェットがいい。


 瀬戸と有太と僕がそろって乗り込むところを、僕は思い描く。コバルトブルーの三角の翼が脳裏をかすめたところで、僕は眠りに落ちた。


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