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晧の章 ボーイズ、放課後を駆ける(5)

 ホバーカーを素材として主翼を作るのはうまくいった。溶接も、何とか自分たちだけでできた。翼がついて、スタージェットはかなり飛行機らしいフォルムになった。


「けど、問題はやっぱりエンジンだな」


 瀬戸が呟いた。そう、機体はそれらしくなったけど、反重力システムの方はまだ方法が見つからずにいた。


 本来なら、そちらをどうにかしてから機体を作るべきだったのはわかっている。でもあまりにも突破口がなく、膠着状態が何か月も続いたので、とりあえず外殻を作ってみようとなったのだ。


 フィルド繊維が手に入ったのは幸運だった。新しいものを購入するのは、三人の資金ではとても無理だからだ。元々飛行機械のために開発された素材だし、スタージェットは上空何万メートルを飛ぶわけではないから、耐久性は充分だ。


 機体づくりに関してはこれがベストなはずだ。三人乗ってもスペースには余裕もある。


 でも、どんなに機体がうまく作れても肝心のエンジン出力が足りなければ意味がない。


「いくら軽金属って言っても、この重さを浮かせるなんて充分すごいけどな」


 主翼のコバルトブルーにそっとふれて、有太は僕と瀬戸を見た。「こないだまで、瀬戸一人も浮かべられなかったのにさ。やべえぜ瀬戸ファクトリー」


 な、と有太が同意を求めるように僕に目線をよこすので、僕はうなずいてみせた。それはその通りだ。


 瀬戸は不機嫌そうにうなって、「俺たちが乗って飛べないと飛行機とは呼べないだろ」と言った。それもその通りだ。


「この形でいけるかどうかもわからないしな」


 瀬戸が主翼を軽くたたいた。飛べば空気の抵抗を受ける。僕たちが乗っていることで抵抗はさらに大きくなる。


 机上での計算はしたが、果たして効率よく飛べるのかは疑問だ。


「あんまり速度出すと、おれたち後ろに吹き飛んじまうよ」


「一応、ベルト作っといたけどな」


 反動を身体に受ける感覚というのも、経験がないからわからない。


 座席を作る空間的余裕はなかったのでシートベルトというわけにはいかなかったけど、一応命綱は作った。腰にベルトをつけて本体とつないでおけるようにしてある。


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