ダーリンダンス-6
「はぁ~まったく何なわけ? てぃあめ~っちゃ忙しいんですけど! さっきの状況見たら分かんでしょ! 今日は星亜くんの生誕祭なのっ! あんたらに構ってる時間とか、一秒たりとも無いんだが!?」
ティアラちゃんは不機嫌全開でエナドリをストローで飲みながら、キャンキャンと子犬のように永月に抗議する。永月の眉間のシワがいつもより深い気がする。ていうか表情がやばい。
「こっちだって貴重な時間を割いてテメェに会いに来たんだ。単刀直入に言う。ホスト遊びなんてクソみてぇな事してないで、さっさと任務に戻れクソガキ」
「ハァ!? クソガキ!? アンタ今てぃあのことクソガキって言った!? ねぇどういう事!? ちょっと説明してよそこのイモ女!」
「い、イモ女ぁ!?」
それって私のこと!? 確かに陰キャの自覚はあるけど、最近リア充な友達もできたしちょ~っと垢抜けたかなって思ってたのに。
ショックを受けていると、孔雀さんがぐびりとストゼロを煽り、ティアラに話しかけた。
「ティアラちゃんやっほ~」
「あ、孔雀さんいたんだ! やっほ~♪」
「え……ちょっと待ってください。孔雀さん、ティアラちゃんと知り合いなんですか?」
「うん。たまにご飯行ってるよ~。ね? ティアラちゃん」
「うん!」
「「だったら最初からそう言えやっ!!」」
思わず永月と突っ込む。
いやいや孔雀さん、なんでそういうの冬華に報告しないの!?
私達冬華からティアラちゃんの捜索依頼を受けてたんですけど!? とんだ無駄骨じゃん!
「じゃあ孔雀さんが説得してくださいよ! 捜査に戻ろうって!」
「ん~まあそうかぁ……ティアラちゃん。そろそろ仕事しない? 頑張ったらホスト行く資金稼げるよ?」
「え~やだ。てぃあ副業でガンガン稼いでるし、そっち忙しいから!」
「イケメンがいいならほら、俺とか秋人とかがいるよ?」
「顔が良いだけじゃダメなの! てぃあは星亜くんがいいのっ! 星亜くんが好きなの!!」
「だってさ」
「諦めんの早すぎでしょ!? もうちょっとがんばってください!?」
「……もういい。このまま引っ張って連れてく」
「痛っ!?」
永月が苛立ったようにティアラちゃんの腕を掴み引っ張る。するとティアラちゃんはその腕を振り払い、叫んだ。
「嫌!! てぃあぜ~ったい行かない!! 今日は星亜くんの生誕祭なの!! 星亜くんがてぃあのこと待ってるの! 星亜くんはてぃあがいなきゃダメって、そう言ってくれてるの!!!」
「こっちだってテメェが必要なんだよ! ただでさえ人員が少ねえんだ! つべこべ言わずさっさと戻れこの地雷女!」
「いーーーーやっ!!!」
キン。
と金属音が鳴る。てぃあらちゃんの足元にころころとなにかが転がった。それを見て、私は思わず目を見開く。
「え、これ……手榴弾!?」
やばい! そう思った瞬間には、バァンと音を立てて手榴弾が爆発した。
すぐにバリアを張る。破片が爆発音とともに周囲に飛び散った。
爆発が止んでからティアラちゃんを見る。
どこから出したのだろう。ティアラちゃんは右手の指全てに手榴弾をぶら下げて、こちらを睨んでいた。
「なるほどな。それがテメェの能力か。地雷女そのものじゃねぇか」
「そうだよ。てぃあは爆弾ならなんでも出せるし、好きなタイミングで爆発させることができるの。もし次てぃあに触ったら、あんたを木っ端微塵にしてあげるからっ!」
「上等だ。そっちがその気なら、受けて立ってやるよ」
永月が刀を出現させる。そして鞘から刀を抜き、ティアラちゃんに向かって構えた。
「ちょっと永月!」
「刃金、コントロールXだ」
「でも!」
資料によるとティアラちゃんはSランクだ。永月は最近ランクがAに上がったとはいえ、当然ランクは下。勝ち目があるのだろうか。
「おーおーなんかやる気だな。やれやれ。好きなだけやり合え。俺はそれをアテに飲んでるからさぁ~」
「ちょっ!?」
私が躊躇っている間に孔雀さんがコントロールXを発動する。周囲から人の姿が消えた。
「よーし観戦ついでに呑むか~」と孔雀さんは近くにあった非常階段に座り、ビニール袋からスルメと缶ビールを取り出し、酒盛りを始めてしまった。
いやいや、先輩であるアンタが後輩の喧嘩を止めなくてどうする!?
唖然とそれを見ていると、二人は互いに構え、睨み合っていた。
「おい地雷女。俺が勝ったら大人しく任務に戻れ」
「てぃあが勝ったら?」
「そん時はテメェの奴隷にでもなってやるよ」
「あーはははっ! 国民的アイドルの永月秋人がてぃあの奴隷!? それめ~っちゃおもろいじゃん!? いいよ! その勝負、受けて立つ!」
「ちょっと二人とも!」
止めるまもなく永月が駆け出す。ティアラちゃんは永月めがけて手榴弾を投げつけた。
「点火っ!」
ティアラちゃんがそう叫ぶとバァンと手榴弾が爆ぜる。永月はバリアを張りそれを防いだ。
「大したことねぇな」
「あははっ! 今のは一番威力が弱いやつだが!? 次はバリアで防げるかっな~!」
ティアラちゃんは手に持っている手榴弾を全て投げつける。永月の目前に4つの手榴弾が迫った。
「点火ぁ!」
4つの手榴弾が一斉に爆発する。ドカァンと爆音が耳を穿ち、爆風がこちらまでやってくる。私もバリアを展開して身を守った。
周辺のビルの壁が黒焦げになり、ガラガラと崩れ落ちる。あまりの威力で周辺のビルの1階部分は完全に吹き飛んでしまっていた。いつ崩れてもおかしくない。
しかし、肝心の永月の姿はそこにはなかった。
「は? どこ行ったの? 力加減間違えて、消し炭になっちゃった~?」
「んなわけねぇだろ」
「!?」
ふと頭上から声がする。見上げると、永月はビルの屋上から私達を見下ろしていた。
「なんなのあんた! 逃げるとか卑怯じゃん!? ちゃんと戦えっ!」
「アホか、こんなクソみてぇに狭い場所でやり合ってられるかっての」
たん、と永月が駆け出す。ティアラちゃんもそれを追うように飛び上がり、ビルの屋上に飛び乗った。
「待てこのモラハラ男!」
「ついてこいよ、クソ地雷女。仕留められるってんならやってみろ」
↓の★マークでのポイント評価、ブックマーク、感想、いいねなどもらえたら嬉しいです!




