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エナジクト──漆黒のバーサーカーと至高の最弱ヒーロー  作者: ノミオ
第二章──覚醒と暴走、ついでに入学
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きゅうくらりん -2

それからほのかちゃんに手を引かれるまま電車で渋谷に向かい、ここに人口の全てが集結してるんじゃないかと錯覚するほど、人がひしめき合っているスクランブル交差点を命からがら渡り切る。


そして私はついに、テレビでしか見たことのない、しかし密かに憧れていた、呪文めいた注文が必要なおしゃれなチェーンの喫茶店へと足を踏み入れた。


「大丈夫アイちゃん。なんか汗がすごいよ?」


「う、うん……大丈夫、ダイジョブ……」


ここ、ハーフの私が入って大丈夫なのかな? 

地元ではスーパーで買物する時ですら無視されたりしたのに。こんなオシャレなお店で注文なんかしたら……速攻追い返されそうな気がする。


考えあぐねいている間に、ほのかちゃんとアキラちゃんがレジへと向かっていく。私もギクシャクしながらそれについていった。


「いらっしゃいませー」


店員さんがにこやかに挨拶をしてくれる。私は店員さんの顔を見ないようにしながら、手元にあるメニューを見つめ、とりあえず目についたメニューを指さした。


「こ、これ……ください……」


「はい! キャラメルフロペチーノですね! サイズはどうしましょう?」


「一番大きいやつで──」と言いかけて、財布の中を確認する。あんまりお金が入ってなかった。


「あ……やっぱ普通のやつで」


「かしこまりました~!」


レシートを渡され、そわそわしながら呼ばれるのを待つ。すぐにカウンターに呼ばれ、緊張しながら受け取りにいった。


……あれ? なんか、サイズが大きい気が? 不思議に思いながらちらりと店員さんを見る。


「お客さんのだけ、特別にサービスしておきました」


内緒話をするように店員さんが言ってきた。


「え、なんで、ですか?」


「そのバッジ、ホルダーさんですよね?」


店員さんが私の胸元を見る。つられて見ると、制服のブレザーの胸元にバッジがついていた。

確かこれ、冬華が「外に出る時はつけておいてね」ってつけてくれたやつだっけ。これ、もしかしてホルダーの証なのかな?


「は、はい。一応ホルダー……です」


「やっぱり! 私子どもの頃、ETに襲われてた所をホルダーの人に助けてもらったんですっ! それからハーフの人に対する偏見も無くなって、今じゃ一番の親友はハーフの子なんです!」


「……そうなんだ」


「いつも市民を守ってくださってありがとうございます。これからも、頑張ってくださいね!」


店員さんが満面の笑みを向けて私にフロペチーノを差し出す。


そっか。ホルダーになるってこういう事なんだ。私……これから頑張ろう!


「はいっ!」と元気よく返事をして、私は店員さんからフロペチーノを受け取った。


席につき、三人でフロペチーノを飲みながら、スクランブル交差点を行き交う人の波を見下ろす。

ほのかちゃんとアキラちゃんはテランで、小学校からの幼馴染でずっと仲良しらしい。

『二人で絶対一緒の学校に行きたい』と決めて、必死で勉強して曼荼羅高校に入ったらしい。いいなぁ。仲のいい幼馴染。憧れる。


華やかな見た目に反して、二人ともとっても気さくで、しばらく話していると私も次第に緊張も解けてきて、普通に話せるようになってきた。

当然なんだけど、私は二人の質問攻めにあった。どこに住んでるのかとか、家族はどんなだとか。

私は入学前に渡された『刃金アイの個人情報』を必死で思い出しながら、なんとかそれに答えた。


「ねえ、今日ソラちゃんは~?」


「ソラは用事あるって。あいつ忙しいからな~」


「そっかぁ~ざんね~ん」


「あの、ソラちゃんって?」


「私達のいつメンだよ~。高校は離れちゃったけど、いっつも三人で遊んでるんだぁ~。今度紹介するねっ」


「これからも遊ぼうぜ。四人で」


「へ? 四人って……私も一緒に遊んでいいの?」


「当たり前じゃ~ん! だって私達、もう友達でしょ?」


ほのかちゃんがにこりと微笑み、アキラちゃんがうんうんと頷く。

途端に、ぱあと私の頭の中に花が咲き乱れた。


うわ~! 入学早々友達できちゃった~!

私、めっちゃリア充女子高生じゃん!?  た、楽しい~!!!


テンションマックスのニッコニコでフロペチーノを飲んでいると、スクランブル交差点の真ん中で、誰かが立ち止まるのが見えた。黒いスーツに真っ黒サングラス姿の男だ。


何あの人、怪しさ満点じゃん。メン・イン・ブラックごっこでもしてるのかな?


男が顔を上げ、サングラスをずらす。心底不機嫌そうな顔で眉間にシワを寄せ、睨みつけるかのように私を見上げていた。


え、感じ悪……って、あれは──!?


「ぶっ!」


「ちょっ大丈夫アイちゃん!?」


「アイ、ハンカチいるか?」


「ご、ごめん二人とも。私、ちょっと用事思い出した……また今度っ!」


「え!? ちょっとアイちゃーん!」


ほのかちゃんの呼び止める声を背に受けながら、私は急いで階段を駆け下り、スクランブル交差点へと走った。

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