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エナジクト──漆黒のバーサーカーと至高の最弱ヒーロー  作者: ノミオ
第二章──覚醒と暴走、ついでに入学
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BRAIN-3

ガシャアン!


永月の身体がフェンスに叩きつけられる音がグラウンドに響く。

私はそれを、信じられないような目で見た。


今まで中継で永月とETが戦うのを何度も見たことある。

大抵は永月の斬撃によって一瞬で片がつくか、そうでなくても永月が圧勝するばかりだった。

そんな姿を見て、世間は口を揃えて言っていた。「永月秋人は公安第6課最強、いや、全ホルダーの中で最強だ」と。


もしかしてこのET……あの永月秋人ですら歯が立たないくらい、めちゃくちゃ強いんじゃ──。


「永月さん!!!」


フェンスに背を預けたまま座り込んでしまった永月に駆け寄り、声を掛ける。う、と呻く声が微かに聞こえた。

俯いた額からボタボタと血が落ち、グラウンドの砂を赤く染める。私は青ざめ、すぐに冬華に呼びかけた。


「冬華! ねえ冬華! 聞こえてる!? 永月さんが大変なことに……! 早く応援の人を──」


「耳元でギャーギャー騒ぐな……クソ馬鹿野郎」


「永月さん!?」


驚いて見ると、永月がよろよろと立ち上がった。

その額からは未だ血が流れ続けていて、着ているスーツもボロボロだ。


「待ってください! 怪我してるのに! 冬華に頼んで応援を──」


「今のは少し油断しただけだ。それに……応援なんて待ってる時間あるわけねぇだろ、カスが」


永月が校舎へ歩み寄ろうとするETを睨みつける。


そして額から流れる血液を指先で拭い、刃先に染み込ませ、「チッ、これじゃ足りねえか」と独りごちた。


「後処理がクソ面倒くせぇから使いたくなかったが、そうも言ってられねぇ……エナジクト──『第一解放』だ」


永月はそう呟き、刃先に指先を押し付ける。さっきよりも深く切り込んでいるようだ。

ブツンと指の腹の皮膚が切れ、ぼたぼたと血が流れ落ち、その血が刀に流れ込んでいく。

すると刀が力を得たようにいっそう輝き、永月の右の瞳に、青い炎が宿った。


「おい、クソET」


ETがその声に反応して振り返ろうとするその刹那、永月が踏み出した。


ザクン!


瞬きする暇もないほど、視認できないほどの時が経ったのか。

はたまた経たなかったのか。


その判断すらつかないくらいの刹那が過ぎ、いつの間にかETの目の前に移動していた永月が、何かを払うように刀を振り下ろす。


その刃から飛んだ飛沫は赤いではなく、青だった。


ETの硬質な背中、その皮膚に。

ゆっくりと切れ込みが入り、そして青い血が吹き出す。


『ギャアァァアアア!!!』


ETが悲鳴をあげ、段々と地団駄を踏む。どうやらかなり効いているようだ。

そして永月に向き直り、大木のような腕を振り下ろした。

ギラリと光る爪が永月へと触れようとしたその瞬間──。


「ギャーギャーうるせぇな。今から楽にしてやるよ──くたばりやがれクソ野郎」


永月が再び刀を構え、そしてETの頭上まで跳躍した。


ザシュ! ザンザンザン!


目にも止まらぬほどの斬撃の雨がETの全身へと降り注ぎ、甲羅のように硬い皮膚に深く刻み込まれる。

タン、と永月が着地する音がした直後、ETの身体中から青い血が噴水のように噴き出した。


『ギャオオオン!!!』


痛みに耐えかねたようにETは喚き、ついにその巨体をグラウンドへと横たえた。


倒れた巨体へと永月はすかさず飛び乗り、串刺しにするように刃を突き立て、柄の部分にあるスイッチを押した。


刃の部分が伸び、ETの身体に深く突き刺さる。そして引き抜くことが不可能なほどの『かえし』が現れた。


「第一解放──刺突爆雷しとつばくらい!」


ズガアァン!


ETの身体に突き刺さった刀を起点に大爆発が起きた。

一瞬にして爆炎と砂埃が巻き起こり、視界がゼロになる。


やばい……巻き込まれる!


腕で顔を覆い、衝撃に備える。が、耐えきれない熱や破片の飛散はやってこなかった。


腕の隙間からチラリと前を見ると、まるで何かに守られるように砂塵や爆炎が遮られていた。

どうやら永月が校舎と私にバリアを展開してくれたようだ。


しばらくして爆炎がおさまり、視界が開けてくる。

そこには黒焦げになったETと、その上に立つ永月の姿があった。


「やった! ついに倒したっ!」


私は思わずそう叫ぶ。しかし次の瞬間──。


「なっ!?」


ETが起き上がり、永月がバランスを崩す。そして──。


バキィ!


ETの鋼の様な尻尾が永月の背中を直撃する。永月は受け身も取れぬまま吹っ飛び、校舎の壁へと叩きつけられた。

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