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第92話 属性獲得と適応属性

 属性獲得とはこれまた知らない単語だった。


(属性経験値とはまた違うのか?)


 かつて俺の『呪殺ボーナス』が『呪怨超ボーナス』に進化するのに必要だったのが属性経験値だ。


 その獲得方法は今のところ日々のダンジョンでの行動などで地道に稼ぐか、モンスターカードをスキルに使用するかである。


 名称的に近いものがあるし、だとするとこれはその二つはまた違う経験値の稼ぐ方法だろうか。


「近いことは近いけど属性獲得はスキルではなく、本人の属性を増やすものだよ」

「本人の属性? 何だ、それは?」


 モノリスなどで確認できるステータスはHPからLUCと保有しているスキル、そして装備しているモンスターカードの効果だけだ。


 そこに属性などが記されていたことなど一度もない。


「知らないのも当然だよ。これまでのそれは所謂隠しパラメータであり、これまでのダンジョン配信者では知る術などなかったのだからね」


 モーフィアスに促されるままステータスを確認してみると、なんとそこには新たなページが追加されているではないか。


伊佐木 天架


適応属性

火系統『火』

水系統『水』『氷』

風系統『風』

土系統『土』

光系統『光』

闇系統『闇』『呪』

無系統『無』


 これが俺の属性ということらしい。

 それらを見て気付くことがあった。


「この適応属性ってのは本人が保持している、あるいは使用してきたスキルが関係しているのか?」

「その通り。あとはこれまでに受けた攻撃とかも関係しているかな」


 ここに記されている各種属性のほとんどが俺の保有する何らかのスキルにあるものだった。


 一番の多く使ってきたのは『呪いの魔眼』だろうが、試練の塔では多種多様な魔物との戦闘に際して弱点属性を調べて、それを突くように色々な魔眼を使用してきたものである。


 恐らくはそれによって俺の適応属性とやらも気付かぬうちに増えていたらしい。


「ちなみにこれらの様子が解禁されるのは上級ダンジョン以降の予定だったからね。君以外が知らないのも当然の事という訳さ」

「おいおい、まだこんなドデカい隠し要素が残ってるのかよ……」


 モンスターカードとかでも遅過ぎだと思っていたのに、これは更にその後に解放される予定だった訳だ。


 反則技を使用している俺以外が中級ダンジョンを攻略していない現状では、これらが日の目を見るのはそれこそ最低でも数年ほどは先だったろう。


(どうりで俺のような奴を使ってまでテコ入れしようとする訳だっての)


 と言ってもそういう運営だったからこそ、俺は家族の命を救うチャンスを得られたのだが。


「それじゃあ結局、この適応属性とやらはどんな意味があるんだ?」


 適応している属性のスキルの攻撃力が上昇したり、あるいは苦手な属性野攻撃を受けた時にダメージが増えたりするのかと思ったのだが、それに対してモーフィアスは否定の言葉を返してくる。


「そうではないんだ。それにこの適応属性は序盤ではあまり意味のないものなんだよ」


 適応属性が増えても、それ自体が直接的に戦闘を左右する要素となることはないらしい。


 だったら何のための適応属性なのか。


 それはまず特定のダンジョンに入る際に必要となるとのこと。


「上級以上のダンジョンでは特定の属性がないと入れない、現実世界にあるモノリスが見つけられないダンジョンがあるんだよ」

「入場資格みたいなものか」


 そう言えば初めてあった時、モーフィアスは未発見のモノリスが世界にはまだまだ存在するみたいなことを言っていたっけ。


 それも初期に配置した物の半数ほどしか見つかってないとも。


(言われてみれば多くのダンジョン配信者がモノリスを探しているのに、それだけしか見つかってないのは不自然だったな)


 ダンジョン配信者以外でもアイテムなどが現実世界に持ち帰れると分かった時点で世界各国が血眼になってモノリスを探していてもおかしくはない。


 それでも半数近くが見つからなかったのは、適応属性という入場資格を誰もが持っていなかったからだとすればある程度は納得できた。


 もっともきっとその入場資格とやらは適応属性以外でも色々とありそうだが。


 それに特定の適応属性がないと利用できないダンジョン内のギミックとかが存在するのかもしれない。


 ダンジョンに入るために必要なら、ダンジョンを進むために必要になるのもおかしくはない気がするし。


「それ以外だとスキル進化関連で必要になるケースとかがあるんだけど……」

「だけど?」

「……悪いけど、これ以上は話したらダメだそうだ」


 どうやらここで上からのストップが入ったようだ。


 こうなった時はどれだけ抵抗しても無駄なことをこれまでの経験から知っているので、俺は追及を諦めてここまでの情報を整理する。


(スキル進化関連で必要になるって言ったな。だとすると適応属性がスキル進化に必要になるとかか?)


 モーフィアスの序盤ではあまり意味のない要素という発言からして、そういう適応属性が必要になるのは上級とかそれ以降のスキルではないだろうか。


 下級や中級スキルでそれが必要ならもっと早めに公開されて良い情報だし、それなら上級ダンジョン以降で解禁される予定だったという言葉とも合致している気がする。


 それ以外だと適応属性がなければDPは足りていても購入できないスキルとかが存在する可能性もあり得るか。


 入場資格ならぬ購入資格的な感じで。


「……まあいいや。どうせダンジョン配信をしながら調べていくしかないんだからな」


 その時が来ればモーフィアスだって話すことだろう。


 それよりも今は獲得する属性とやらを選択しなければ。


 残念なことに選択できる属性はそう多くはない。


 表示されているのは風系統の雷属性と光系統の聖属性だけだった。


「真なる死神からドロップした物とは言え、下級ダンジョンのランダムカードでは獲得できる属性の種類はそう多くはないから仕方ないね」


 この口ぶりだと、中級以降のランダムカードではもっと多種多様な属性が獲得できそうだ。


「それでどっちの属性を得た方が良いんだ?」

「聖属性は聖光の魔眼を使っている内に獲得できるだろうから、今回は雷属性が良いんじゃないかな」


 その言葉に逆らっても意味があるとは思えないので、俺は素直に雷属性を選択しておいた。

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