第76話 忘れていた特別な報酬
ローファンタジーランキング24位まで上がりました!
やったー!
推しとのコラボだなんて畏れ多いと拒絶していたサクラをどうにか説き伏せたのは良かったのだが、それですぐに実行に移す訳にもいかない。
何事にもその前に色々と準備する必要があるからだ。
(それにいきなりサクラだけとコラボしたら、その周辺にいる奴も怪しまれることに繋がりかねないからな)
だから何人かの候補を見繕っておいて、その中の一人にサクラを紛らわせるような形にするつもりである。
それならサクラの傍にいる俺が怪しいと思われる可能性も少なくなるはずだし。
それにそもそもどんなコラボ配信にするのかも考えないといけない。
単純な力の差を考えれば一緒にダンジョンを攻略しても俺がキャリーすることになるだけだし、俺はそれで良くても視聴者的にそればかりでは面白くないだろう。
「という訳で、忘れてた特別な報酬とかにその切っ掛けになるような何かがあるといいなっと」
サクラは帰っているので俺は一人、呪怨ダンジョンのロビーでモノリスを確認している形だった。
「えーと、何々。【人類初の上級ダンジョン攻略おめでとうございます! その類い稀なる活躍を記念して、あなたには無料でモノリスを利用した転移が可能になる機能を付与させていただきました! 今後はこの機能を使ってより多くのダンジョン攻略及び配信を期待しております】か。……え、結構ヤバくねえか、これ」
転移という文字から分かるかもしれないが、どうやら俺はモノリスを使えば別の場所に一瞬で移動できるようになったらしい。
と言っても今回の付与された権限では現実世界での移動まではできないようだが。
「一度でも触れたことのあるモノリスの中になら、どこからでも転移できると」
現状なら自室にある呪怨ダンジョンが中にあるモノリスに触れれば、山奥にある試練の塔のダンジョンのロビーとかまで一瞬で移動できるらしい。
ただし外に出る際は入るのに使用した呪怨ダンジョンからしかできないようだが。
(なんか現実世界でも移動が可能になるのは特級ダンジョンを攻略した後って書いてある気がするけど今は見ないでおこう)
だって今の俺でも特級ダンジョンは絶対に攻略不可能だとモーフィアスに太鼓判を押されているのだから。
だとすればその辺りのことを考えるのはそうなった時で十分だろう。
今のところ俺以外で上級ダンジョンですら攻略できそうな奴はいないのだし。
「まあでも実際有難い機能だな。試練の塔に挑むためにまたあの険しい山道をわざわざ歩かなくて済むんだから」
どうも本来のこれは上級ダンジョンを攻略した後に大量のDPを使って解放できるようになる機能らしい。
だけど俺は特典として無料で与えられたと。
そんな風に特別な報酬とやらの確認は終わった訳だが、残念ながらこれはコラボで活かすのは難しいだろう。
だからそれ以外でも何か変わったことはないかと調べた結果、まず七色の騎士を倒したことによりレベルが41まで上がっていた。
流石は上級ダンジョンのボス、たった一度倒しただけなのにかなりレベルが上がっているではないか。
そしてレベルが40を超えたことによりモンスターカードの装備枠が一つ増えて、合計二つまでのカードを装備できるようになっていた。
これなら幽玄のデュラハンの弱点である光系統をカバーすることもできるし、あるいはより一層闇系統や呪属性に特化することも出来るようになった感じである。
「だけどこれもコラボには使えないと」
非常に役に立つものだが、レベル30以上になった相手じゃないと会話もできないし視聴者にも聞こえないのなら配信の内容にする訳にもいかない。
そうして次に目を向けると、なんと試練の塔という普通のものとは少し違った特殊なダンジョンを攻略したことによる報酬として二つの新たな情報が齎されていた。
その内の一つ目は、なんと試練の塔での死神タイプの魔物を出現させる方法である。
どうやら一階層から百階層まで一度もギブアップや死亡することなく攻略することで、最後のボスの後に七色の騎士が超強化されたような死神タイプの魔物が出現するようだ。
「って、誰がやるか!」
七色の騎士ですらあれほど苦戦したのだ。
それも買い込んだ大量の回復アイテムなどを駆使して辛勝である。
それよりもずっと強い死神タイプとの戦いなんて勝てないのが目に見えているので今は絶対に御免だった。
ただ死神タイプの魔物については倒せば何らかの恩恵がありそうなので狙える奴なら狙ってみたい気持ちもある。
だからこれは更なる力を付けた時にでも挑戦するとしよう。
「ったく、役に立つ情報は多いっけど全然良い案が浮かばねえな」
そう愚痴りながら確認した二つ目の情報には実に面白い内容が書かれていた。
「闘技場の実装と解放条件だって?」
そこには本来なら禁止されているダンジョン配信者同士での戦い。
それが可能となるという、視聴者が非常に喜びそうな情報が幾つも記されていた。
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