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第57話 凝り性の運営と二つの機能拡張

 運営の奴らはチュートリアルという言葉の意味が分かっていないのか、はたまた想像以上にアホな奴らばかりなのだろうか。


 ここまでこないとチュートリアルが終わらないとか、最初の難易度設定からミスりまくっているとしか思えない。


(チュートリアルだぞ! 普通は下級ダンジョン、それも最初の方で終わるべきもんだろうが!)


 どんなに譲歩しても中級ダンジョンで終わるようにしておけと文句を言いたくなるというものだ。


 だってこれでは世界のトップクラスのダンジョン配信者以外――それこそ中級ダンジョンで活動しているような中堅どころですら――まだまだ初心者という括りになってしまうではないか。


(いやでも上級ダンジョンの難易度とか、そもそもこんな山奥にモノリスを設置したりとか、運営に妙な拘りみたいなもんがあるのが分かってたことか……)


 はっきり言ってダンジョン配信を流行らせたいのなら無駄な要素だと思うが、妙なところで変な凝り性を発動させてしまうという点は分からなくもない感じがした。


 こう、クリエイターとかが拘り過ぎて自分の作品に妙な一捻り加えてしまう感じというか。


 とは言えこの場で何を言っても根本的なところに変更は加えられないだろう。出来るならとっくの昔にやっているだろうし。


(てかモーフィアス達運営が協力者を選別したのも、こういう用意していた機能とかがまるで活かされることがなかったからだな)


 思っていた以上にダンジョン配信者の攻略ペースが遅くて、自分達が丹精込めて用意した仕掛けが利用されるところまで全然進まない。


 誰にも見向きもされない、もしかしたらそれは使われて酷評されることよりもずっと辛いことだったのかもしれない。


(だからそもそもの難易度設定が間違ってるんだっての! こんなイカれたバランス調整でダンジョン配信を始めるとかバカ運営か!)


 一昔前にあったクソみたいなソシャゲの運営でもあるまいし、と心の中でボロクソに神サイト運営を貶しておく。


 だってこれはそうされても仕方のない有様だろう。


 とは言え、後で文句を込めた改善案を運営に提出するくらいしか今の俺に出来ることはない。


 ならば今は滅茶苦茶ツッコミを入れてやりたい気持ちを抑えて、まずは拡張されたという機能とやらを確認してみるしかない。


 運営に文句を垂れるよりもその新しく拡張された機能を上手く利用して攻略を進めた方が建設的だと思ったのだ。


(拡張された機能はステータス強化とスキル強化か。スキル進化とはまた違うのか?)


 まずこれらの拡張された機能などは上級ダンジョンの魔物の情報と同じように、資格のない者が聞いても分からなくなるようにしているらしい。


 だから仮に配信でそのことを口にしても、資格のない視聴者には音声が届かないようになっているようだ。


 逆に言えば、視聴者の中にレベル30を超えている人がいれば、条件に該当するその彼ら彼女らだけには聞こえるのだろう。


(……この感じだと、どうせこの後にも条件を満たすことで更に拡張される機能とかがあって、それも資格がないと聞こえないんだろうな)


 以前にモーフィアスの語り方から俺も察していたっけ。


 追加コンテンツ的なものがまだまだありそうだと。だとするとこれもその内の一つということか。


 そして俺の役割は、そういった今のままではいつまで経っても使われることのない機能やシステムなどを動かすことでもあるのだろう。


 それこそダンジョン配信界隈に刺激を与えて活性化を促すために。


(まあそれはいいさ。利用されることも分かった上でこの選択をしたんだからな)


 今更手を引くことなど出来ない以上はどれだけ文句があっても飲み込んで進むしかないのだから。


 その気持ちでまずはステータス強化の方を確認すると、どうやらこれはDPを消費することで最大50まで全てのステータスを上げることができるようになる機能らしい。


 ただしこれで強化したステータスは死亡した際に一定確率で失われてしまうようだ。


 だから頑張って稼いだ大量のDPを消費してSTRを50強化しても、運悪くそのすぐ後に戦闘で死亡して一瞬でおじゃんになるとかもあり得るらしい。


(強化した数値が多いほど失う確率も上がるのが厭らしいな)


 僅かな強化なら要求されるDPも少ない上に失う可能性は低くなるが効果も薄い。


 それでは意味がないと強化の度合いを増そうとすると、要求されるDPも加速的に増えていく上に死んだときに失うリスクまで大きくなる訳だ。


「ま、今の俺にはデメリットでもなんでもないな」


 元々今の俺はDPを失えない以上、一度でも死んではいけないのだ。ならば強化を失うリスクなどあってないようなものである。


 という訳で迷うことなく一つのステータスにつき100万DPを消費して、全てのステータスをマックスの50ずつ強化する。


 全部で800万DPも掛かった訳だが、それに見合うだけの強化なので問題はない。


(むしろステータスが劇的に上がったことで『呪いの魔眼』とかの威力もかなり強化することができた。これなら他のスキルを買うのも遅らせられるだろう)


 要は死なない限りはレベルが50上がったようなものだし。


 ショップを見る限りでは戦闘用の特級スキルは数百万DPするのも割と普通なことを考えると、死なないで活用し続けらればかなりお得な買い物となるだろう。


 ステータス強化が思っていた以上に有用な機能だったこともあり、俺は次のスキル強化についても更なる力を得られることを期待するのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 確かにダンジョンの現状をソシャゲ(スマホゲー)やブラウザゲーとして考えるなら、「ちょっと運営クソ調整過ぎんよ~」とプレイヤーからのお気持ち表明メール大量投函不可避です…
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