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第52話 十階層での戦い

 上級ダンジョンの魔物から得られる経験値は中級までの魔物とは比べものにならないくらい多かった。


 なにせここに来た時は11だったレベルが、この数時間だけで19まで上がっているのだから。


 レベルは上昇すればするほど次に行くまでに経験値が多くなる。


 それもあってトップ層でもレベルは30ほどだと聞いているくらいだ。


 それなのに俺はこの調子だとすぐにそれに追いつけそうである。

 この感じだとまだまだ簡単にレベルアップできそうだし。


(まあそもそもレベル10辺りで中級ダンジョンに挑んでることが異常だった訳だしな)


 あまつさえ攻略してしまう、なんてことも。


 この数時間の配信内容としては言葉にすれば簡単だ。


 まず一階層のブラッディウルフを無傷で倒せるようになったら二階層に進む。


 そしてそこで待っていた全身から炎を吹き出す亀のようなバーニングタートルという魔物と戦った。


 勿論、最初は情報がないこともあって苦戦する。


 だがそれでも上級スキルや特級スキルが有るので流石に低階層の魔物に負けることはなく、どうにか勝利した後はまたしてもギブアップしてロビーに戻った。


 そして改めて一階層からやり直して、無傷でバーニングタートルを倒せるようになったら三階層へと歩を進める。


 ようはその繰り返しである。


 それで最初のセーブポイントがある十階層まで辿り着くのに要した時間は三時間ほどだろうか。


 そこまで一切休むことなく戦い続けている。


(結構疲れてきたな)


 既に百戦は超えただろうか。


 数えてられないほど戦うのは前々から分かっていたことなので最初から数えていないがそのくらいはやったはずである。


 多少の傷やダメージはショップで買える回復薬でどうとでもなる。


 だが活動し続けることによる疲労などは安いものでは回復しないのだ。


 ちなみにHPを5回復させるだけの最も効果の低い回復薬でも5000DPはするので、それを掠り傷にも遠慮なく使用するのには視聴者には驚かれたものだ。


 だが死ぬ訳にはいかない俺からしたら強敵との戦の前に万全な状態を整えるのは絶対条件だ。


 だから僅かなHP減少でもそれを使っているのである。


 それを怠って死ぬことで失われるDPを考えれば、その程度の出費など問題ではないのだし。


 それに上級ダンジョンの魔物は一体だけでも数千のDPが手に入るのだ。


 それだけで十分に最低ランクの回復薬の費用くらいは賄えるのである。


「さて、時間は掛かりましたがようやく十階層まで辿り着けましたね」


 相変わらず檻の中で挑戦者を待っている魔物。


 ただし今回は中ボスだからか、これまでと違って一体だけではなさそうだ。


(ブラッディウルフ二体とバーニングタートルが一体か)


 そいつらとはここに来るまで散々戦ってきたので対処方法は分かっている。


 ただ複数体を同時にするのは初めてなのでその辺りは気にしなければならないだろうが、


(中ボスがそこまでの階層で出てくる魔物が複数になるだけならいいんだけど、上になればなるほどそうはいかないんだろうなあ……)


 それに今のところ外から檻の中が見えるので戦う前に敵の正体は分かるが、上の階層だとそれも出来なくなる気がする。


 だってモーフィアスから聞いた運営の方針からして、挑戦はしてほしいけどそう簡単に上級ダンジョンを攻略されたくはないプライドみたいなものが感じられたし。


「さて、それでは行きます」


 コメント欄が初めての複数体の出現に盛り上がっているのを確認しながら俺は戦闘開始の合図を送る。


 火属性の攻撃を無効化するバーニングタートルには『発火の魔眼』が通用しないが、それも分かっていれば対策のしようはあるというもの。


『氷結の魔眼』


 まずは新たに購入した水の上位属性である氷属性の攻撃が可能な魔眼と水属性が付与された弓矢を駆使して遠距離から一気にバーニングタートルを落としにかかる。


 こいつは水とその上位属性全てである水系統の攻撃が弱点なこともあって、出てきた瞬間を狙って放たれたそれらによって大きなダメージを受けていた。


 本来なら鈍い動きの代わりに高い防御力を誇るバーニングタートルなのだが、弱点属性の攻撃を受けると一時的にその防御も脆くなる。


 更に炎を吹き出していた甲羅も沈黙して攻撃手段も限られるとなれば楽勝な相手だ。


 元に戻られると厄介なこともあって、そのまま脆くなったところを狙って『呪いの魔眼』による追撃も叩き込んで開始数秒でバーニングタートルを始末する。


 ただしその隙を狙って二体のブラッディウルフがこちらに接近を果たしていた。


 しかも今の俺の装備は水属性弓矢だ。


 ブラッディウルフの弱点は付けない上に、そもそも弓矢ではそこまで近づかれると対処し切れない。


武装換装ウェポンシフト


 だから俺は更に別のスキルを発動する。


 それを発動した瞬間、手にしていた弓矢が消えて黄金色に光る剣と盾がその手に握られていた。


 その弱点である光属性を付与された盾に触れた瞬間、ブラッディウルフは大きく弾かれた上にその場に倒れ伏す。


 こいつらは血属性という闇の上位属性に特化しているせいか、光属性及びその上位属性である光系統に滅法弱いのだ。


 その隙を逃さずこれまた光属性が付与された剣で止めと刺すことで戦いは終了した。


 これまでどの階層でも一度で無傷でクリアできたことはなかったが、これまでの戦闘経験とレベルアップ、そして用意した対策のおかげもあって初挑戦でも完勝である。


 ただしまだまだ先は長い。


 なにせ試練の塔は百階層まであるのだから。


(かなり疲労も溜まってきたし、そろそろ《《あれ》》を使う頃合いか)

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