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第51話 耐久配信開始

 試練の塔では魔物を倒して先に進めば次の階層に出る。逆に来た道を戻ればどの階層からでもロビーへ直行する形で戻ってくることになる。


 だから各十階層に配置されたセーブポイントを解放して、そこから再開できるようにするのが大切になってくるのだった。


 だって今回の俺のような奴が再挑戦するにしても。また一から始めなければならないので。


 もっとも今の俺にとって本来なら大切なはずのセーブポイントは割とどうでもいいのだが。


「皆さん、先程ぶりですね」


 一瞬だけロビーに戻ったことで配信の映像が途切れたかもしれないが、直ぐにダンジョンに戻ってきたのでそれも一瞬のことだろう。


「分かっていたことですが上級ダンジョンの魔物は非常に手強いです。正直に言えば今の私では実力不足と言う他ない。このままではボスを倒すことは疎かそこまで辿り着くのも難しいでしょう」


 サブカメラも解禁したおかげか視聴者も問題なく今の戦闘シーンを追えたらしい。


 その甲斐もあって中級ダンジョンの魔物とは隔絶しているブラッディウルフの恐ろしさや強さは、画面越しでも十分に伝わっているようだ。


「ですので、ここから私は何度も同じ階層を周回することで経験値を稼ごうと思います。そしてそれによって上に挑めるだけの力を手に入れる予定です」


 今の俺のレベルは11まで上がっている。


 これは中級ダンジョンの中ボスやボスを攻略したことによるものだった。


 中級ダンジョンに挑んだ時のレベルが4だったことを考えると、この短期間にしては異常と言える成長速度だろう。


 だけどそれでもこの11という数字は決して高いとは言えない。


 何故なら以前に確認したトップダンジョン配信者のレベルが大体30前後だったからだ。


 中級ダンジョンのボスを倒せておらず、中級ダンジョンの魔物を倒すことで経験値を稼いでいる彼らですら俺の倍以上のレベルとなっている。


 つまり俺のステータスはともかく、レベルは上級ダンジョンの適正レベルに全く到達していないということに他ならない。


 ならばどうするか。その答えは単純明快である。


(まずはレベル30を目標に低階層で魔物を倒しまくる。上級ダンジョンの魔物なら中級よりも経験値もずっと多いはずだし、休まずやり続ければかなりの速度でレベルアップできるはずだからな)


 そうすることで足りないステータスをまずは補うのだ。


 また上級ダンジョンの魔物を倒すことでもDPは手に入る。


 中級ダンジョンの魔物一体ではどんなに多くて500DP程度だったのに対して、ブラッディウルフ一体だけで3500DP手に入ることを考えれば、単純な稼ぎ効率は何倍も良いのは確認できているし。


 それに上級の魔物を倒すことで特典によるDP報酬も得られるのも大きい。


 中級までは先駆者がいたので大きな特典は既に誰かの手に渡ってしまっていたが、ここから先は未踏の地なのだ。


 つまり俺が全て独占することも可能な訳である。


(どうも人類初の討伐だけじゃなく百体倒すとかでも報酬があるみたいだしな)


 下級や中級ダンジョンの魔物を誰よりも早く百体倒したダンジョン配信者に大きな特典が与えられたことがあるそうだし、きっとそれは上級ダンジョンでも同じだろう。


 ならば初の討伐だけなく百体、あるいは千体の特典も俺の物にしてやろうではないか。


 そうして特典などで二億を超える大量のDPを確保した後に新たな特級スキルなどを獲得して、最速で上級ダンジョンを攻略する。


 それこそが俺の立てた計画だった。


「それでは再戦と行きましょうか」


 再度試練の塔に訪れた形となった俺を一階層の敵であるブラッディウルフが檻の中で待ち構えている。先程と全く変わらぬ形で。


(まずはこいつを完封できるようにならないとな)


 それが出来たら次の階層に進みながら永遠と周回を繰り返す。


 一つや二つのレベルアップではそう変わらないだろうがこれが十、そして二十と積み重なれば話は変わってくる。


 なにせ『呪怨超ボーナス』と『ボーナス超強化』によって100のステータスが上がったことで俺は規格外な力を手に入れたのだから。


(なんなら100レベルに到達するまでぶっ続けるのも覚悟してるからな、こっちは)


 それで更に規格外となり、それこそ怪物じみた存在として扱われようと知ったことではない。


 家族を助けることと比べればそんなのは些末事でしかないのだから。


「視聴者の皆さんにはしばらくの間、同じような映像を見せ続けることになるはずなので、その点に関しては心苦しい面もありますが、それでもこれは上級ダンジョン攻略のために必要な事なので、温かい目で見守ってくれると嬉しいですね」


 そうダンジョンカメラに告げると、俺はつい先ほどと同じように檻を開くように念じる。


 そしてこれまた同じ形でブラッディウルフが檻から外に出てきた。


(今度は一撃もくらわねえぞ)


 その速さも知っているのだから、早々攻撃が当たるとは思わない事だ。


 そう考えながらブラッディウルフとの戦いを繰り返すこと十三回。


 ようやく無傷で完勝することに成功するのだった。

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