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第30話 いざ中級ダンジョンへ

 念願の給料日から数日後、準備を終えた俺は遂に中級ダンジョンへと足を踏み入れていた。


 場所は渋谷のハチ公前にあるモノリスから行けるダンジョンだ。


 下級ダンジョンの大半はスライムやゴブリンなどの基本的には一種族しか出現しないのだが、中級以上のダンジョンはその縛りはなくなる。


 単純な広さも大きくなって多種多様の魔物が現れることも攻略の難易度を上げる要因となっている。


(流石にここからは一日で攻略は無理だろうからな。迅速さも保持しつつ確実に攻略を進めるしかない)


 これから俺が挑もうとしている昆虫系の魔物が多く出現する世間ではインセクトダンジョンなどと呼ばれている場所だ。


 出現する魔物で代表的なのはアント系の集団で襲ってくる蟻の魔物やマンティス系の強力な鎌から強力な斬撃を放ってくる蟷螂の魔物だろうか。


 そういった虫系の魔物の多くには火属性のスキルが有効な場合が多い。


(一応火属性のスキルも持ったし大丈夫なはず)


 ちなみにどうしてインセクトダンジョンを選んだのかと聞かれれば、一番大きな理由は家から近かったからだ。


(毎日行くことを考えるとあんまり遠くはキツイからな)


 学生の身分からしたら毎日ここまでくる交通費だってバカにならないのである。


 勿論理由はそれだけではない。


 虫系の魔物を嫌う配信者が多いという例に漏れず、ここも他の中級ダンジョンと比べると他の同業者は割と少ないほうなのも理由の一つだ。


 俺の正体がバレないように今はアルバートの状態ではなるべく他者と深く関わりに遭いたくない。


 だからなるべく他の配信者がいないところを狙った訳だ。


(新しいスキルも扱いに慣れるまで時間が掛かるかもしれないしな)


 そうして新たに幾つかのスキルを得た自分のステータスを確認する。


氏名 伊佐木 天架

レベル 4

HP  111

MP  108

STR 110

VIT 109

INT 113

AGI 109

DEX 107

LUC 113

保有スキル 

特級スキル 『呪怨超ボーナス』『ボーナス超強化』『千変万化』

上級スキル 『魔眼移植』『呪いの魔眼』『発火の魔眼』

中級スキル 『鋼の心(アイアンハート)

下級スキル 『斬撃スラッシュ』『軽身』


 まずキングスライムなどを倒したことでレベルは4まで上昇している。


 それによって各種ステータスも同じ数だけ上がっていた。


 なお黒いスライムは大量のDPを獲得できる代わりに経験値は皆無だったのでこのレベルとなっている。


(もしあいつが強さに相応しい経験値を持ってたならどこまでレベルが上がったんだろうなあ?)


 正確なところは分からないがあの強さから察するに10くらい上がってもおかしくはない気がする。


 まあ現在のステータス的にはレベルによる上昇は誤差でしかないから上がらなくても問題はないだろう。


 それよりも重要なのは新しく得た上級スキルのことである。


 新たに得たのは魔眼と呼ばれる、見ただけで敵などに特定の効果を発揮するスキルだ。だから『呪いの魔眼』では呪いを、『発火の魔眼』では文字通り火を見た場所に発生させることができる。


 ただこの色々な種類のある魔眼系は使用するのに別の準備が必要となる。


 それが『魔眼移植』というスキルであり、これがないと各種魔眼スキルを習得しても実際には使えないという事態に陥るのだ。


 なおそれらのお値段は『魔眼移植』が百万DP。


 『呪いの魔眼』『発火の魔眼』が五十万ずつ。つまり合計で二百万も使って新しいスキルを手に入れた形だった。


 それ以外でも装備やアイテムなども中級ダンジョンを攻略するのに相応しいものを取り揃えたので、なんだかんだ三百万DPくらい使っただろうか。


 今の俺は七千万DPを得たことで億に近いDPを保有しているから、これもそれほど大きな支出ではないかもしれないが、それでも普通のダンジョン配信者からしたら規格外の買い物となるのだろう。


 あるいはここまでの買い物ができる奴は他にいないか。


(なんにせよ買った以上は戻せないんだ。有効活用するしかない)


 それらの新しいスキルなどを駆使して、決して無駄にすることなくその分だけエキサイティングで他にないダンジョン配信をやってみせる。


 それによって更に多くのDPを稼ぐためにも。

 目標である二億DPまではまだまだ届かないのだから。


「さて、行きますかね」


 ロッカールームでアルバートに化けて俺はインセクトダンジョンのロビーに出る。


 その途端に周囲から視線が集まるが、これまでに何度も経験しているからもはや慣れたものである。


 そんな視線を一身に浴びながら、俺は自身にとって初の中級ダンジョンであるインセクトダンジョンへと入っていった。

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