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第29話 待ちに待った給料日

 期限の六ヶ月の内、二ヶ月は準備期間だったこともありほとんどDPは支給されなかった。


 まあ仮に支給されていたとしても、何度も死んだペナルティで全て失っていただろうが。


 それもあって俺にとって今日が初めてのまともなダンジョン配信者としての給料日みたいな訳だ。


(毎日、尋常じゃない数の視聴者がやってきてたんだ。きっと大丈夫なはず)


 モーフィアスから教えてもらった情報では、これまでの運営からのDP支給による一ヶ月での最も多い稼ぎが大体百万DPほどらしい。


 それを数ヶ月維持できれば特級スキルも購入できるので普通に考えれば凄いことなのだろう。


 だが俺にとってはその程度では全然足りない。


 億を超えるDPをあと数ヶ月で稼がなければならない以上、ここで最低でも五千万DPくらいは得られないといけないからだ。


 つまりこれまでの最高記録の十倍以上も稼がなければならない訳だ。


 普通なら絶対に不可能であり無理難題とも言える。

 あるいは荒唐無稽か。


(だけどどんなに無茶でも俺は成し遂げなきゃいけないんだ)


 そう思いながら自室のモノリス前で待つことしばらく。


 遂にその時はきた。


 月頭の午前零時。神サイト運営は一切の誤差なく毎月初めに報酬となるDPを振り込んできたとのこと。


 そして今日もそれが変わることなかったらしく寸分の狂いもなく給料が支給される。


 その結果に如何によっては家族の命が助かるかどうかが決まってしまうのだ。


 緊張して当然だろう。


「……ふう」


 だけどいつまでも見ない訳にはいかない。


 俺は覚悟を決めて運営から振り込まれたDPを確認する。


 果たしてその数値は……


「……七千万DP」


 想像を超えたDPが振り込まれていた。


 現在の保有している分と合わせれば一億DPにギリギリ届かないくらいだ。


「やった、やったぞ!」


 その事実を段々と認識して、俺は思わず歓喜の声を上げる。


「おめでとう。まだ目標を達成した訳ではないが順調なようでなによりだ」

「ありがとう、モーフィアス。だけどここで浮かれて失敗しないようにしないとな。まだ肝心の薬を手に入れた訳ではないんだから」

「それが分かっているのなら私としても安心だよ」


 まだ必要とされている二億DPまで半分ほどあるが、モーフィアスに提示された期日まで給料日はあと二回ある。


 つまりこのペースを維持できれば十分に達成可能な目標ってことだ。


(だとするとあとは中級ダンジョンや上級ダンジョンを死なずにクリアすればいいだけだ)


 今の俺にとって死んでDPを失うことこそが最も避けなければならないこと。


 保有DPが多ければ多いほど失うDPが多くなる傾向にあるようなので、今の俺が死んだらそれこそ数百万DPくらい消える可能性あり得るのだから。


 だからそうならないために新たなスキルなどを購入する必要があるだろう。


(無駄遣いは厳禁だけど、そこで変にケチるのもダメだな)


 幸いなことにこのペースを維持できれば残り二回の給料で一億四千万ほどのDPが手に入るはず。


 つまり目標達成までギリギリのDP状況ではないので必要なスキルを買う余裕くらいはある。


 それに下級ダンジョンでの配信ばかりだと飽きがくるかもしれないし、視聴者を継続して引き込むためにも上のダンジョンでの活動はやはり必要不可欠となるだろう。


 魔物を倒した時に手に入るDPも上のダンジョンの方が多くなるし、それも積み重ねればバカにできたものではない。


 やはり一刻も早く中級ダンジョンに活動場所を移すべきだった。


「戦闘面では折角の特級スキルを活かせるようにするべきか。今の俺のDPなら呪い系のスキルも買えるし」

「いいんじゃないかな。上になればなるほど耐性を持った敵も増えてくるからね」


 これまでの『呪怨超ボーナス』は隠し効果であるステータス増強効果での利用しかしていなかったが、本来は敵に呪い系統の攻撃をする際に威力や付与確率などを上げるもの。


 これまでは肝心の呪い系統の攻撃が可能なスキルなどを持っていなかったので、そちらの方面では活かせなかったがこれからは違う。


(それにやっぱり戦い方に特徴があった方が人気も出やすいみたいだしな)


 特殊な魔法やスキルを扱いダンジョン配信者が人気の出やすい傾向にあるみたいなので、俺もその流れに乗るに越したことはないだろう。


 まあその気持ちはわかる。


 俺だって同じぐらいの実力者で、普通に武器で戦う方と他では見たことのない魔法とかを使う配信者のどちらを見るかと聞かれれば、物珍しい後者を選ぶだろうし。


(だけど呪い系のスキルだけでも色々あるからな。何を買うか悩みどころだ)


 だがこちらには頼りになる相談役であるモーフィアスがいる。


 奴も俺がここで躓くのは目的を達成する上で困るからか、教えられる範囲での情報を齎して協力を惜しまなかった。


「物理的な攻撃はしばらく剣と『斬撃スラッシュ』でどうにかなると思うんだ。だからやっぱり問題は物理攻撃が効かないような魔物だな」

「そのためにも呪い系のスキルを手に入れて別の攻撃手段を手に入れておきたいと。それならおススメは……」


 目標を達成できそうな目途が立ったせいだろう。


 俺は興奮して寝れそうにないこともあって、深夜遅くまでモーフィアスと今後についての話し合いをしてしまい、翌日の早朝の配信に寝坊しそうになるのだった。


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