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第28話 アルバートの雑談配信 その2

 下級ダンジョンを攻略したことで中級ダンジョンのボスに挑戦することが可能になった。


 となれば次の目標は中級ダンジョンを攻略することである。


 だがダンジョン配信の初心者用とも言われている下級ダンジョンと違って、中級以降のダンジョンは様々な罠やギミックなどがダンジョン内に張り巡らされており、何の準備もなく挑むのは自殺行為に他ならない。


(魔物との戦いだけなら圧倒的なステータスでどうにかなるだろうが、罠を感知したり、解除できるスキルがないとキツそうだからな)


 あるいは魔物が強く戦闘面が苛烈な代わりにそういったギミックが少ないダンジョンを選ぶか。


 その情報収集をダンジョン配信サークルなどでも積極的にやっているのが現状である。


 勿論、その間もアルバートとして配信を欠かさない。


 適当な下級ダンジョンのタイムアタックに挑戦したり、キングスライム以外のボスを討伐してみたりと色々と視聴者を飽きさせないようにやっている。


 そして今日は第二回の雑談配信だ。


 相変わらずコメント欄からは質問攻めされており、その中から適当なものを選んで俺は答えていく。


ダンジョン配信を始めたのはいつ頃?

「これは二ヶ月くらい前ですね」


最初の方の何度もダンジョンに入っては謎に死ぬだけの映像は?

「あれは私がここまで強くなった秘密の一つです。だから無駄に死んでいた訳ではないんですよ」


死んで強くなるの?

「条件を整えれば、とだけ言っておきます。ただダンジョンで死んでもペナルティが与えられるだけですからただ真似するのはお勧めしません」


不正って言われているけどその真偽は?

「してないですよ。というか仮にしててもここで言う訳なくないですか?(笑)」


その証拠は?

「証拠となるか分かりませんが、もし私がルールを破っているのなら運営にBANされているでしょう。未だにされていないのが答えです」


ダンジョン配信者になるまでは何をしていたの?

「別の仕事をしてました」


何の仕事?

「そこに押しかけられても困るので内緒です」


普段は何をしているの?

「基本的には次の配信の計画を練ったりする準備ですね。ここ最近は毎日配信してるので休みなんてほとんどないようなものですし」


これまで戦ってきた中で一番強かった魔物は?

「スライムダンジョンで戦った黒いスライムです。他の魔物とは隔絶した強さをしていましたし」


あの魔物はなんなの?

「私も全てを知る訳ではないですが。死神タイプと呼ばれる特殊な魔物みたいです」


なんでそんなこと知ってるの?

「黒いスライムを倒したことで特別な報酬が貰えたからです。人類初の死神タイプの魔物ということで、ただの討伐報酬だけでもかなりのDPが手に入りましたよ」


それで手に入ったDPってどのくらい?

「まず黒いスライムを倒したことによって手に入ったのは十万DPです。ただ人類初の討伐での報酬ではその数倍以上のDPが貰えました」


 ここでコメント欄が加速する。


 それもそうだろう。


 誰も見たことのない未知の魔物。


 しかもそれが圧倒的な強さを誇っていた上に、尋常じゃないDPが手に入る相手だと判明したのだから。


 調べた限り単なる討伐報酬だけで十万DPなど中級ダンジョンのボスでもあり得ない数字だし、まともに攻略されていない上級ダンジョンの魔物ですら一体で数千から一万くらいとのこと。


「だからもしあの黒いスライムを狩り続けられたら有難いんですが、今のところ遭遇したのはあの一度だけです。だからたぶんですが出現する確率そのものが超低確率とかなんだと思います」


 死神タイプの魔物の情報を世間に流して良いことはモーフィアスにも確認してある。


 そのことにモーフィアスは反対するどころか、むしろ奴の方がそうするように促してくるくらいだったのだ。


 きっとそうした方がダンジョン配信は大いに盛り上がるからと。


(ネットゲームとかでも新要素が加えられると注目を集めるもんだしな)


 しかも今回の情報は倒せれば超高収入が約束されているというダンジョン配信者からしたら非常に美味しいなのだ。


 その多くが食いつくことほぼ間違いなしの情報である。


「死神タイプの魔物は非常に強いですが、だからこそ倒せれば報酬は他の魔物とは比較になりません。だから私はまた出現に居合わせれば積極的に狙っていこうと思いますね」


 またこういった新しい情報を得られたら今後も積極的に配信で世間に公開していくと宣言する。


 その情報を求めた視聴者を集めて、より多くのDPを稼ぐためにも。


(そろそろ月に一度のDPが配布される時期だしな)


 そこでどれだけ稼げるかによって俺の目的が叶うかどうかが大きく左右されるのだ。やれることは何でも利用してやろうではないか。


 そんな腹黒い思いは欠片も表に出さず、俺はその日も大盛況の内に雑談配信を終えるのだった。

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