うみの中で深呼吸
「泡がプクプクと出ているのが見える。
海底でユラユラ揺れる生き物の目を見るとたいてい魚の目してる。周りの生き物を軽蔑した目、そういう目をなんとか掻い潜って進む。
そういう目が僕にここが海の中なんだと気づかせて急に息苦しくなる。
涙が出てくる
でも海の中だから平気。時々、強い太陽の光がここにも降り注ぐ。
そうするとあの生き物は死ぬ、たくさんの泡を吐いて死ぬそして生まれ変わる。
明日にはまた生まれ変わってあの生き物は元に戻ってるけど、それでも海の中は平和になる。
一匹の弱った生き物がいる、弱ってるから失敗ばかりする。それを見て他の生き物は軽蔑の目をして彼の周りを囲む。
きっと恐ろしい事がこれから起こるんだと僕は知っていた。
軽蔑の目をした生き物達は彼の周りで優雅に踊りながら彼の鱗を剥がしていく、優しい顔をしたり、怒った顔して代わる代わる一枚一枚順番に、みんな公平でなくてはいけないのだ。 弱った生き物は受け入れる様に踊り倒れた。お母さんに作ってもらった巾着袋を大事に握りながら。」
「それで、その生き物は死んじゃったの?」
「今でも生きてる、そこでは何度でも生まれ変わることができるから」
「かわいそう」
「そうだね」僕は言った。