神様よりも遠い
『実は僕、人間じゃないんだ』
初詣の列の中、送ったメッセージに既読が付く気配はない。
いや読めよ。こんな分かりやすいネタ振り。
ただ文字のインパクトだけを考えたんだ。
ボクっ娘みたいになってて何じゃそりゃって思ったけど。
放物線を描いて賽銭箱へ吸い込まれていく硬貨。
目の前のそれを繰り返し眺めている。
そうだよ。もうすぐ私の願いが神様に聞き届けられる。
実は僕、神様と繋がってるんだ。
って言いたかった。返信が来たら。
お正月はこたつでテレビ見るだけ。
って冬休み前に言ってたよね? 本当に暇なら一言くらい返せるはずじゃん。
せっかくあなたの健康も願ってあげるのに。
返信くれれば「この返信の人もお願い」って言えるのに。
どうやって神様にあなたを説明すればいいの。
100円玉を投げて、二礼二拍手一礼。
私は神様と繋がってる。
早く返信が来ますように。
祈ってあげる。最後のチャンスだよ。
だけど既読さえつかなくて、何だか逃げたくなる。近場で唯一の神社だから。
ねえ神様。
やっぱりいいや。100円返してよ。
話のネタになりそうなスタンプを買うから。
なんて願っても返ってこなくて。
神様って遠いなぁって思う。
そしてあなたは、神様よりずっと遠い。