すっ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
中華料理屋に行くと、頓珍漢な曲が流れるんですよ。
一触即発。
我が家の夕餉にて、回鍋肉が出された。キャベツと豚肉の甘辛炒め。それを食べていて思った。
「我が家って青椒肉絲出したことあったっけ?」
「ないよ。食材の千切りが面倒だから。手間のかかる物は外で食え」
振り返って見ると、家庭で作る回鍋肉よりも手間が掛かる気がした。
食べられないと知ると、是が非でも食べたくなるのが人の性というものである。という訳で、ふらりと遠出をし、宴会でひたすらお世話になっている中華料理屋を訪れる事にした。ランチタイムという素晴らしい文化のお陰で、お求め易い料理の数々……。
――厨房のコンロ故障の影響により、一部品々の提供を取りやめております。
そして禁止されているのは、麻婆豆腐、レバニラ炒め、エビチリ、そして青椒肉絲……。
「…………」
まぁ、そんな日もあるさ。気を取り直して、またもメニューを眺める。そういや母が『手間のかかるものは外で食え』って言ってたっけな。じゃあ……と決めたものは一つだった。
「すいません。酢豚一つ」
届けられた酢豚は、ピーマン、玉ねぎ、人参、じゃがいも、それから揚げた肉で構成されていた。橙のタレが光に当たって神々しく輝いている。
まずは揚げ肉から。噛み切らずに口の中に突っ込んで奥歯で圧を込めると、カリカリっとした衣が火花を散らした。温い。当たり前だが出来たてで、そのまま飲み込んだら喉が火傷する事が分かる。黒酢の甘酸っぱさが、舌を覆う。それだけで十分だと言うように。
玉ねぎもピーマンもシャキシャキだった。でも辛くも苦くもなかった。意外とじゃがいもが気に入った。口の中でバターの様に蕩ける。
そう言えば知人がこんな名言を残していた。
「苛立ちなぞ、些細な事だよ。口も胃も満たされればそんな事、とうの昔に忘れてしまっている」
その通り。お陰様で、今まで何を考えていたのか忘れてしまった。何かぐちゃぐちゃと考えていたはずなのに。
お会計お願いします。
タイトルは酢豚の酸っぱさから。
なんとも言えず『すっ』という感想から。
考えていた事も、苛立ちも、色の前ではまぁ無意味。
食べてるうちに全て忘れてしまいます。
久方振りに、お会いしたんですよ。神様らしい神様に。
本日お加減宜しい様で、歓迎して下さいました。
そんな話も出たら書きたいと思います。
忘れかけてますが。