星が降る夜(3)
(あれ?)
流れ星みたいな尾をつけて、金と紫の星が降ってくる。
(そうか、星が降るのは今夜だったんだ)
半年に一度星が降る日が今日だったのだ。さっき見つけた魔力星が消えてしまったのも、新たに星が降ってくる前触れだったのだろう。半年間誰にも拾われずに残った星は、地面や動植物に吸収されて溶けていくのだ。
「ミャア」
私は起き上がると、隣で寝ているロキに声をかけた。ロキは眠りに落ちてはいないが、目をつぶっている。
「ミャアー」
「なぁに? どうし――」
まぶたを開けたロキは、目に映った空の景色に息をのむ。ロキは仰向けで寝ているから、視界いっぱいに星が落ちてきてびっくりしたのだろう。
「わ……」
流星がゆっくりと、この星降る森に落ちてくる。
ゆっくりと言っても実際はすごい速さなのかもしれないが、私たちの目にはとても優雅な速度に映った。
空を見ているロキの瞳にも、星の光が映り込んでキラキラ輝いている。
「すごい……」
ロキはただ圧倒されていて、この景色を形容する言葉がうまく出てこないようだった。
私はロキから視線を外し、再び空を見上げる。こちらに近づいてくる星の光は、少しずつ大きくなっている気がする。地面に落ちている時の命星や魔力星は、日の光に負ける弱い光を放っているだけだけど、夜空に浮かんでいる時は強く輝いているのだと知った。
(眩しいくらい)
一つ一つの星は小さいけれど、今は強い光を放ってたくさんの星が降ってきているので、見ていると目が眩みそう。
「綺麗だ」
幻想的な光景を目にして、ロキは感動したように呟いた。ずっと闇の中にいた人間が生まれて初めて光を見たような、そんな顔をしてる。
私も降ってくる星を見たのは初めてなので、あまりに美しい光景に驚いて、ほうけた顔をしているかもしれない。口がぽかんと半端に開いてしまっているのが自分で分かる。
夜の森はもともと静かだけど、今はフクロウの鳴き声も止み、風さえも止まって、動物も虫も植物も、みんな黙って空を眺めている気がする。静寂の中を無数の星たちが進んでいた。
森の東では、リセもエミリオたちと一緒にこの光景を見ているかな。感動して涙ぐんでいるリセの姿が目に浮かぶ。西の方ではハロルドが、北では竜人たちが、森の中ではケンタウロスやドワーフたちも空を見上げているだろう。
「……なんて綺麗なんだろう」
気づけばロキも涙を流していた。仰向きに寝転び、星の光を瞳に写したまま、金と紫がにじむ涙が目尻に流れていく。
「この世界は汚くて、ぼくも含めてみんなみにくいんだって思ってた。でもこんなに綺麗なものもあるんだね」
宝石が雨になって降ってきているみたいに、頭上に光が降り注ぐ。
ロキはその光を見つめて、私に言う。
「他にももっと綺麗なものってあるのかな? 素敵なことってあるのかな? 生きてれば、見つけられるのかな。外に出れば、出会えるのかな」
正直、分からない。外に出てもやっぱり辛いかもしれない。素敵なことなんてないかもしれない。
でもそれも断定はできないから、「やっぱり世界は汚くて醜いね」って分かるまで、外に出て生きてみるのもいいと思う。
ロキはハロルドみたいに達観してるわけじゃないし、子供で寂しがり屋だし、他人との接触を怖がっているだけで心から望んでいないわけではないと思うしさ。
「ミャー」
私も星を見上げたまま返事をする。
星はこの森に近づいてくるにつれ、徐々に速度を落としているようだ。紫と金の小さな光が、ゆっくりゆっくりこちらに落ちてくる。
空には無数の輝きが見えたので、この森は星で埋め尽くされちゃうんじゃないかと思ったけど、意外とまばらに地上に降ってきた。
私とロキの近くには一つしか落ちてこなかったけど、それは寝ているロキの胸にゆっくりと落ちた。
「わ、ぼくの上に落ちてきた。これが星? 初めて見た」
紫色の魔力星は地上に落ちると同時に輝きが収まり、暗闇の中でほのかに光るだけになった。それでも宝石みたいに綺麗だ。
ロキの上に魔力星が落ちてきたのも何かの導きかもしれない。今日はもう眠って、明日になったらこの星を使ってロキを竜人たちに会わせよう。
胸の上の魔力星を大事に両手で包んだまま眠るロキを見ながら、私もまぶたを閉じたのだった。
翌朝。ロキが泉で顔を洗い、昨日残しておいた桃を食べ終わったところで、私は地面に置かれていた魔力星を口に入れた。
星が降った後なので、今朝からきっと大勢の人間たちが森に入って星を拾っているだろう。北では竜人たちもドラゴンと共に森に入り、星を探しているはず。
「あれ? 三日月ってば星を食べちゃったの? まぁいいけどさ」
ロキは桃を食べて汚れた手を洗い、それを服で拭きながらこちらを見て言う。
呪文や魔法陣の描き方を知らないロキは、魔力星を食べても魔法は使えない。でも私は使える。難しい魔法は使えないと思うけど、私の頭で思いつくくらい単純なものなら大丈夫だ。
私は森に入ってきているであろうドラゴンたちに届くようにと思いながら、魔力を声に乗せて鳴いた。
「ミャーーン!」
なるべく大きな声を出したけど、狼の遠吠えと違って私の声は遠くには届かない。
だけど魔力を乗せた今、私の声は不思議な震えを帯び、森に反響しながら広がっていく。とっくに鳴き終わったのに、遠くの方で「ミャーーン!」と私の鳴き声だけが進んで行っているのが聞こえる。
「ミャーーン!」
「三日月? どうしたの?」
「ミャーーー!」
本当にドラゴンたちの耳に届くか分からなかったので、何度か呼んでみた。竜人ではなくドラゴンに届くようにと思ったのは、ドラゴンの方が耳が良さそうだからだ。声が届くというイメージがしやすかったし、イメージできないと魔法は発動しないだろうから。
エレムかニカか、一度会ったことのあるドラゴンが今日も森に来ているといいな。そうしたらきっと私の声に気づいてくれる。
(少し待っても誰も来なかったら、もう一度鳴こう)
魔力はまだたくさん残っているので、何度も挑戦できる。
「誰かを呼んでたの?」
「ミゥ」
ロキも私のやろうとしていることを多少察して、少し緊張気味に周囲を見回した。
ちゃんと声が届くか分からなかったけど、魔力の効果でしっかりドラゴンたちには聞こえたようだ。思ったよりも早く、ドラゴンたちは上空に姿を現した。
「ミャン」
「え? ……うわっ! 何、あれ!」
私が上を見上げると、ロキもそちらに顔を向けて目を丸くした。
私たちの頭上高くを旋回しているドラゴンは全部で十頭近くいたので、ロキが驚くのも無理はない。数が多かったので私もちょっとびっくりした。
(なんかいっぱい来た)
ドラゴンたちは鞍をつけて竜騎士を乗せている。地上に近づいてきた彼らを見ると、知り合いを見つけることができた。
青いドラゴンに乗って、長い銀髪を後頭部の高い位置で縛り、褐色の肌を持つ女性竜騎士は確かキーラだ。黄色いドラゴンのニカと、ニカに乗っている、こちらも褐色の肌に短い銀髪の若い竜騎士イサイもいるし、紫のドラゴンに乗っている落ち着いた黒髪の竜騎士はセドという名前だったはず。
それにあの片目が塞がっている銀色の大きなドラゴンはエレムだし、エレムにはドラグディアの王様のレオニートが乗っている。
今日はレオニートの妻であるレイラはいないみたいだけど、代わりに他の竜騎士とドラゴンが五組ほどいて、全部で十組近くの集団になっている。威圧感がすごい。
「三日月、どうした? 大きな声で鳴いていたようだが」
地上に降り立つと、レオニートはエレムに跨ったまま私に尋ねてきた。
レオニートも私の声が聞こえたのか、あるいはエレムから私の鳴き声が聞こえるって教えてもらったのかもしれない。エレムは人の言葉を喋れるからね。
「……こんなところに子供?」
そして私の大きな体の陰に隠れていたロキを見つけて、少し驚いている。
周りを竜騎士やドラゴンに囲まれているので、ロキは怖いのと人見知りで言葉が出ないようだ。
私はそんなロキに大丈夫だよと声をかけ――正確には「ミー」と鳴き――、それからしっぽを真っすぐ持ち上げてエレムのところに歩いていく。
「ミャーア」
「子猫よ、どうし――ウッ」
私が胸と首の境目辺りに頭突きをすると、エレムは衝撃で息を詰まらせた。
「何をする……」
少し咳をしながらエレムはこちらを睨んだ。
頭突きは猫の愛情表現の一つだから、思わずやっちゃった。ごめんね。
私はニコニコしながら今度は自分の頬をエレムの顔や体に擦り付ける。エレムは私より大きいから遠慮なくスリスリできる。
「エレム、随分懐かれたな」
レオニートが笑って言う。
「子供のドラゴンでもエレムにこんなことしませんよ。子猫は怖いもの知らずですね」
セドも面白がっている様子で言った。
私の喉からゴロゴロ、ゴロゴロと変な音が出ている。なんか勝手に出ちゃうんだけど、これ何の音だろう。喉からこんな音が出てるの私も初めて聞いた。
私が喉を鳴らしながらスリスリしていると、エレムはため息をつく。諦めて私のスリスリを受け入れているエレムに代わって、レオニートが話しかけてきた。
「それで三日月は何故鳴いていた? ドラゴンたちを呼んだのか?」
「ミャー」
私は我に返ってスリスリを止め、レオニートを見る。レオニートたちはやはり、星が降ったタイミングを見計らって森へ入っていたんだろう。レオニートからはしないけど、護衛の竜騎士の何人かからは星の気配がする。すでにいくつも星を拾っているようだ。
でも山ほど拾っている様子はない。昨晩星はたくさん落ちてきたように見えたけど、地上に落ちた星は強く発光してるわけじゃないし、小さいし、木や草の上に落ちたら見つけにくいし、そう簡単に大量には集められないのかも。すぐ近くにあっても、私みたいに星の気配が分からないと見つけられなかったりするもんね。
「ンーミャ」
私は自分の目的を伝えようと、竜人やドラゴンに囲まれて居心地悪そうに小さくなって立っているロキに顔を向けた。
「あの子供か」
するとレオニートは、私が助けを求めた意味をすんなり理解したようだった。
「迷子か何かか? ドラゴンなしで子供がこんな森の奥まで入って来るなど信じられないが……いや、三日月がいれば可能か」
「森で迷ってたこの子を三日月が助けたんですかね」
イサイはニカの背から降りながら言い、次にロキに話しかける。
「なぁ、君。どうしたんだ? 迷子か?」
話しかけられたロキは緊張して縮こまっている。イサイたちはみんな頭に角が二本あるし、そばにドラゴンもいるし、彼らが竜人だととっくに気づいているだろう。
ロキはイサイの二本の角に視線をやった後、下を向いて怯えた声で答える。
「迷子じゃないです……」
「じゃあ何でこんなところにいるんだ? 家はどこだ?」
「アルバ村です……」
「アルバ村?」
「あ、あの、オルライトの……」
イサイはまだ若いし身長もそんなに高くないし、明るい雰囲気で竜人にしては威圧感のない方だと思うけど、ロキは怖がっていた。
「ミー」
私はロキを勇気づけようとそばに寄る。
イサイは自分が怖がられていることに気づいたようで、代わりにキーラをこちらに呼び、ロキと話をするよう頼んだ。
「キーラさん、お願いします。女の人の方が怖くないでしょ。俺はキーラさんおっかないけど……ウッ」
余計なことを言ったせいで、イサイはキーラから脇腹にパンチを受けていた。速すぎてよく見えなかったけどたぶんパンチだったと思う。
「私たちはあなたに危害を加えたりしないわ。どうしてここにいるのか話してちょうだい」
キーラはロキに話しかけたが、ロキはやはり怯えていた。まぁ、パンチしてた人だからビビるよね。
「一目見ただけで、これまであなたがどういう環境で生きてきたか分かるわ。角だって右側は先が欠けているし、左側なんて根元から折れてなくなっているじゃない。竜人の角は硬いから、執拗に攻撃を加えられたりしない限り折れないはずなのに……。何があったのか話して。私たちは同胞を見捨てたりしないわ」
「……同胞って、同じ種族の仲間ってこと?」
キーラが説得すると、ロキは恐る恐るといった様子で言葉を返す。
「ぼくは同胞じゃないよ。ぼくのお母さんは人間で、角も生まれつき一本しかないんだ」
ロキはそこで自分の生い立ちを竜人たちに話した。そうして星降る森まで逃げてきたのだと説明すると、キーラは不愉快そうに眉根を寄せた。ロキの両親や村の人間に対しての不快感だろう。
「可哀想に。辛かったわね。でもこれからずっとここで生きていくつもりなの?」
「うん。ここならぼくを嫌う人もいないし」
「だけど森に一人なんて寂しいわよ。それならドラグディアへ来たらどう?」
「でもドラグディアでも、角が一本しかないぼくは誰の仲間にも入れてもらえないかもしれない。それが怖いから行かない」
心を閉ざすロキに、キーラもどう説得しようか考えあぐねているようだった。私も喋れないからこういう場面ではあまり力になれない。「ミャーン」としか鳴けないもんな。
「ミャーン」
とりあえず鳴いておいたが、ロキは暗い顔をしたままだ。
私たちがどうにもできずにいると、レオニートがつかつかとこちらに歩いてきて、ロキをいきなり肩に担ぎ上げた。
「わぁ!」
ロキは驚いてレオニートにしがみつく。
レオニートが悪い人でないことは分かっているので、私は焦ることなくのんびりと後ろ足で頭を掻く。
「なっ……、お、下ろしてください……!」
懇願を無視して、レオニートはロキをエレムの背に座らせた。
そしてロキの目を真っすぐに見て言う。
「この森で子供が一人で生きていくのは無理だ。友好的な性格をしているとはいえ、三日月も猫だぞ。お前に付きっきりで世話をしてくれるわけではないし、気まぐれにどこかへ行ってしまうかもしれない」
「でも三日月は優しいし……」
ロキはそこでこちらをチラッと見たが、私はロキを助けるでもなくのんきにポリポリと頭を掻いていたので、途端に不安な顔をした。やっぱり猫は信用できないかも、とでも思ったのかな。
でもそれは正解だ。私も明日の私の気持ちは予測がつかないから、急にロキと離れて一人で散歩したくなるかもしれない。私には責任感とかないし、信頼して頼られてもちゃんと応えられるか分からない。
だからやっぱり、このままレオニートたちと一緒に行った方がいい。
レオニートは続けた。
「三日月がいなければお前などすぐに森で迷い、魔物や幻獣に襲われて死ぬ。それに服だってそれしかないのだろう? その服が今より劣化して着られなくなったらどうする? 裸で生活するのか? この森は暖かいから凍え死ぬことはないだろうが、人らしい生き方ではないぞ。ここには家もベッドもない。斧やナイフといった道具もない。言葉を交わせる相手もいない。そんな場所で獣のように生きていくつもりか?」
レオニートに詰められると、ロキは言い返せずに黙り込んだ。
「外の世界を怖いと思っているのは分かった。だがここには置いていけない。子供を星降る森に放置してきたと知ったら、私は妻から叱られてしまう」
冗談ぽく笑って言うレオニート。柔らかくなった声に反応して、ロキは意外そうに顔を上げる。
「叱られる?」
「そうだ。私の妻は子供が好きだし、私より強いからな」
「そうなの?」
レオニートの妻であるレイラは華奢で優しいけど、ロキはきっと筋肉ムキムキでレオニートより大きな女性を想像しているだろう。
レオニートは穏やかに話を続ける。
「人間と竜人のハーフであるお前が、人間の国にも竜人の国にも馴染めないのではないかと恐怖する気持ちは理解できる。確かにドラグディアでも、角が一本しかないお前を馬鹿にする者がいるかもしれない。全員がお前を受け入れるから安心しろとは言えない」
そこで再び不安そうな顔をするロキの肩に手を置き、レオニートは力強く宣言する。
「だが、少なくとも私は今ロキを受け入れた。だから誰からも好かれないかもしれないという心配はしなくていい。他の誰がロキを拒否しても、私はお前の味方でいよう」
「角が一本のぼくでも……?」
「角の数など、私にとっては問題にならない」
レオニートはおかしそうに言い、ロキは心底びっくりした顔をしている。
「気にならないの? 角が一本でも……」
「ああ、全く」
私にも、ロキの瞳が希望に満ちていくのが分かった。まだ不安は残っているようだけど、それでも表情は目に見えて明るくなる。
自分に自信のないロキに必要なのは優しく意思を聞いてくれる人じゃなく、レオニートみたいに強引に森から連れ出してくれる人だったのかな。
「ドラグディアに行くぞ」
レオニートにそう言われてからロキが返事をするまでに一瞬間があった。
だけど次には勇気を出して強く頷く。
「うん」
レオニートを信じて森の外に出てみようと決意をしたようだ。
この森には綺麗な花も咲いてるし美味しい果物もある。それに美しい泉もあって、たくさん傷ついた心を多少癒すことはできると思う。でも、人につけられた傷は人との交流でしか治せないんじゃないかな。だからレオニートについて行くのはきっと正解だ。
レオニートは自分もエレムの背に跨り、言う。
「私は今、星を拾いに大勢の竜騎士たちとこの森に来ていてな。森の外に野営のテントも張ってあるし、待機している竜騎士もいるから、そこでロキはしばらく休んでいろ。明日になったら一緒に城に帰ろう」
「城? うん、分かった」
ロキは少し首を傾げながら了承する。
「じゃあ行くぞ。飛ぶからしっかり掴まっていろ」
「あ、待って!」
手綱を掴むレオニートに待ったをかけると、ロキは一度エレムの背から降りて私の元に走ってきた。
「三日月、短い間だったけどぼくと一緒にいてくれてありがとう。ぼく、もう一度外に出て頑張ってみるよ」
そして伏せの体勢をしていた私の頬に抱き着き、キスをしてくれた。私のモフモフの頬毛にロキの小さい顔が埋まってしまって何をしてるのかよく分からなかったけど、たぶんね。
「三日月、ぼくのこと忘れないでね。絶対だよ。またいつか会いに来るからね」
「ミゥー」
私が返事をすると、ロキは穏やかにほほ笑んでレオニートのところに戻り、エレムの背に跨る。
「行くぞ。一旦野営地に戻る」
「はい」
レオニートがイサイやキーラ、セドたちに声をかける。みんなすでにそれぞれのドラゴンに乗っていていつでも飛翔できる準備をしていた。
「ロキ、飛ぶぞ」
「うん!」
そしてレオニートが今度はロキに言うと同時に、エレムが翼を広げて地上を離れる。「うわぁぁ」という驚きと興奮と緊張が入り混じった悲鳴を上げながらロキは空へ飛び立っていき、竜騎士たちも後に続く。
結局ロキって、レオニートがドラグディアの王様だって分かってなかったよね。
私はお座りをしてみんなを地上から見送りながら、そんなことを思う。ロキが森を出てくれて安心したような、ちょっぴり寂しいような、でもやっぱり一人に戻って気が楽になったような気持ちだ。
(レオニートが王様だったってことを知って驚くロキの顔は、ちょっと見たかったなぁ)




