その37 非情な再会
◇◇◇
船は何事もなくドラード国に向けて進み出した。ラナードは無事だろうか。逸る気持ちを必死に抑えるミイナ。無用な混乱を防ぐため、船員たちには、ミイナの身分のことはまだ伝えていない。行きの船ですっかり船員たちと打ち解けたミイナも、そのほうがずっと気楽だった。
ドラードの港に着くと、ロイは港務所で停泊許可を取るために一足先に舟を降りることに。
「ミイナ。停泊許可が下りるまでしばらくかかるから、その間に船で食事を済ませて着替えておけ。いいか?俺が戻るまで一人で勝手に動くんじゃないぞ?」
「言っておくけど、ここは私の国だからね?ロイさんより詳しいんだから」
「そうだな。だが、用心に越したことはない」
「分かった。大人しくしておくから」
「良い子だ」
小さな子どもにするように、頭をポンッと軽く叩くと、ロイはそのまま船を降りていった。
「おい、今そこで聞いたんだけど、今日は王城前の広場で公開処刑があるらしいぞ。なんでもこの国の王子とか言ってたな」
「なんだって王子様がそんなことに?」
「さあなあ。でもそのせいで皆が広場の前に集まってるらしい。俺達も行ってみるか?」
「よせよ。人の死ぬとこなんかみて何が楽しいんだ。飯が不味くならぁ」
ミイナは積荷を下ろして戻ってきた船員に思わず掴みかかった。
「今の話、本当ですか!」
「ん?あー、子どもに聞かせるような話じゃ無かったよな。ごめんな」
(そんな……間に合わなかったの……)
ミイナは真っ青な顔で震えている。
「いつ……処刑があるのはいつですか」
「ん?ああ。正午すぎって言ってたな。ガキが見るようなもんじゃねぇからな。広場の周りに近づくんじゃねぇぞ。……って、おい!ちょっと!」
その言葉を聞くなりミイナは駆け出した。船室に戻り、首飾りだけを手に取って船を飛び出す。
王城前大広場での処刑まであと1時間。ここから全力で走れば間に合う。公開処刑なら、きっと国王もその場にいるはず。
(お願い!間に合って……)
◇◇◇
王城前大広場はすでに人で埋め尽くされていた。中央の処刑台には、見る影もなくやつれたラナードが、力なく木の柱に括り付けられている。
「聞いたか?今日は火刑らしいぞ。雨乞いのついでらしい」
「ついでだって?自分の息子だろ?酷いことするねぇ」
「しっ!死にたくなけりゃ、余計なことは口にするもんじゃないよ」
「分かってるよ。どこに親衛隊が紛れてるか分からないからな」
人々はヒソヒソと噂しては、気まずそうに口を噤む。
(クソっ!クソっ!どうして俺がこんな目にっ!)
ラナードは感情のない目で貴賓席に座る老王を睨みつける。
「……始めろ」
処刑人が次々にラナードの足元に藁を敷き詰めていく。燃える松明が投げ入れられようとした瞬間。
「お待ちください!!!」
ミイナの声が高く響いた。
















