その34 告白
◇◇◇
(どうしよう……)
王宮に部屋を与えられたものの、肝心の情報収集が遅々として進まないことにミイナは焦っていた。何しろどこに行くにもロイがぴったり付いてきて、ミイナを一人にしてくれない。
「はぁ……アイリス王女はどこに行ってしまったの。もう時間がないのに」
アイリスの名前にピクリと反応するロイ。
「もしかして、国を出てあちこち動き回ってたのは、アイリス王女を探していたのか?」
ミイナはロイの問いに一瞬迷って、こくりと頷く。
「なぜ?」
「どうしても、見つけなきゃいけないものがあって、アイリス王女がそれを持ってるはずなの」
「王女が?……海で溺れたときに身につけていたものか?」
「うん……王女様はとっくに死んだかもしれないし、それが見つかる保証なんてどこにも無いんだけど……」
「……アイリス王女は生きてるぞ」
「えっ!?本当!?」
「まぁ、同じ城に住んでるからそのうち会えると思うが」
「会わせて!!!今すぐに!!!」
「今は……無理じゃないか?」
「どうしてよ!」
「うーん……」
(番を見付けたばかりのフィリクスが離さないだろうしなぁ……)
「ロイさんお願いします!アイリス王女に会わせてくれるなら、何でもするから!……もう、時間がないの……」
ミイナに懇願され困り果てるロイ。
「取り敢えず、フィリクスに聞いてくるから」
と安請け合いしてしまうのだった。
◇◇◇
「ミイナがアイリス王女に会いたがっているのか?」
ダイアンは執務室で書類の束から顔を上げた。
「そうなんだ。なんでもアイリス王女の持ってるものに用があるみたいで。詳しいことは話してくれないんだが」
「ふーん?」
ミイナはドラード国の出身と言っていたが、ドラード国でどんな風に育ってきたのか、詳しい話はまだ聞いたことがなかった。ミイナから話を聞くいい機会かもしれないなと思う。
「まずはフィリクスと私で話を聞いてみるか。アイリス王女に会わせるかどうかは、話の内容次第だな」
「ああ、それでいい。助かる」
ホッとした表情を浮かべるロイをじっと見るダイアン。
「なんだよ」
「いや、ずいぶん世話を焼いているみたいだな」
「ああ、まぁ、な」
言葉を濁すロイを興味深げに観察するダイアン。
「まあいい。午後から時間を空けるから連れてきてくれ」
◇◇◇
フィリクスと、ダイアンを前に、緊張した面立ちで座るミイナ。
「ああ、そんなに緊張しなくていい。城での生活に不便は無いかい?」
「……身に余るご配慮を頂いて、感謝してます」
「固いな。で、アイリス王女に会いたがってるって聞いたんだけど、理由を聞いても?元々王女と面識があるとか?」
ミイナは言葉を選ぶ。
「その前に、アイリス王女はなぜアルファンド王宮に?海で事故にあったと聞きましたが」
ミイナの言葉にフィリクスとダイアンは顔を見合わせる。
「ああ、そう言えば話してなかったな。アイリス王女はフィリクスの番なんだ。海で溺れていた彼女をフィリクスが助けて、今王宮で静養している」
(アイリス王女が竜王陛下の番!!!)
思ってもいなかった事実に驚きを隠せないミイナ。
「まだ、ベッドに寝たきりで、声もろくに出せない状態だ。正直今彼女と会わせるのは難しい」
そこまで聞いて、慌てて尋ねる。
「あのっ!竜王陛下がアイリス王女を助けたとき、宝石を身に着けていませんでしたか?」
「宝石?ああ、そのとき彼女が身につけていたものは、ドレス以外は取ってあるが」
「お願いします!その宝石を返してください!」
「返す?ミイナ、君は……」
ミイナは静かに頭を下げた。
「私の名前はミイナ・ドラード。……ドラード国の王女です」
















