新聞配達
朝、ベッドから起きた私はカップに少量のコーヒーを注ぎ、毎朝届いた新聞を見てゆっくり身支度をするのがルーティーンだ。最近は物騒なニュースばかりだ。ウィルスは流行るし殺人事件は起きるわでいつ自分がまきこまれるのかわからない。「明日は我が身」とはよく言ったものだ。とある朝、私はいつものように新聞を眺めていた。ふと新聞配達のアルバイト求人の広告が目に入った。「〇〇町での新聞配達員が不足しています。どなたかお手伝いを!資格や学歴は必要ありません!」その広告はなぜか私の興味をひいた。最近運動不足だし朝早くに起きて世の為に働くってのもいいかもな。そう思って私は広告に載っていた番号に電話を掛けた。翌日、普段より朝早くに起き、支給された配達員用の制服に着替える。電話で伝えられた場所に行くと一台の自転車と新聞が入っているであろうかごが置いてあった。「頑張っちゃうか!」久々の自転車に心を躍らせ○○町へと向かった。早朝というのもあったのだろうが○○町は静かな町で自転車を走らせるたびに爽やかな風が頬に当たって気持ちが良かった。順調に仕事を進め、最後の家に着いた。その家は何とも言えない禍々しい雰囲気が漂っていた。気味が悪いしさっさと新聞を置いて帰ろうとした。その時だった。「ありがとうございます。」急に声がしたものでつい声が出てしまった。そこには高校生ぐらいの青年が立っていた。驚いてしまったことを恥じながら「どういたしまして。」と一言かわすと私は自転車のペダルを踏み、○○町を出て行った。その日の夜は不思議な夢を見た。真っ暗な森に閉じ込められた自分を照らす小さな光。光を追うとかすかに「来るな」「辞めろ」と聞こえた。不気味だった。光に追いつく一歩手前で目が覚めた。その日も新聞配達の予定があった。テレビを付けて支度を行っている最中だった。「○○町で首なしの遺体が見つかりました。」そのニュースは私をとても不安にさせた。今から連絡して今日は休ませてもらおうか?と頭によぎったがそんな時間はなかった。私は今日をもってこのアルバイトを辞めようと思った。町に着くとパトカーが数台止められており、住民と警察官が話しているのが見えた。こんな場所早く出ていきたいと思いながら急ぎ足で新聞を配達した。そして最後の家についた。その周りには誰もいなく、そこだけ孤立しているようだった。新聞を置こうとしたがある異変に気付いた。ポストがない。昨日まではあったのにたしかになくなっている。仕方ないからドアの前に置こうとしたその時だった。
「ありがとうございます。」
声がした。昨日の青年だろう。そう思った私は新聞をドアの前に起き、後ろを振り向いた。
「は?」
そこには死んだような眼を持った青年が立っていた。そこまでは普通だった。きっと寝起きなのだろうとわかる。だがそれ以上に首に目がいった。首には素人が縫物をした時のような雑な縫合跡があり、赤くにじんでいた。私は察した。「嫌だ」「怖い」「助けて」頭の中にそんな言葉が浮かんだ―
今日は私の誕生日。16歳を迎えたことでアルバイトの許可が親からおりた。たくさん稼いでほしいもの買うぞ!と思い、バイト先を探した。
「〇〇町での新聞配達員が不足しています。どなたかお手伝いを!資格や学歴は必要ありません!」
私の目に止まった。接客よりも簡単そうだし初めてのバイトにちょうどいいかも!そんな気持ちで載せてある番号に電話した。
翌日、一人の成人男性が首なしの遺体で見つかり、一人の女子高生が行方不明になった。
「〇〇町での新聞配達員が不足しています。どなたかお手伝いを!資格や学歴は必要ありません!」
「あなたもどうですか?」