告げられた本当のゲーム(2)
『集まったくださった皆様に推理クイズの他にも余興をご用意いたしました。その名も脱出ゲーム。脱出ゲームは推理クイズと平行されて行われます。まずは、推理クイズの説明から。今回の推理クイズは10年前、このワントラース伯爵家を襲った犯人を見つけていただきたいのです。もちろん、犯人はこの中にいますし、私もその犯人を知っております。誰が犯人かを当てることができたかたには、特別な景品をご用意しております。そして脱出ゲームですが、これは、推理クイズのヒントを見つけ、犯人を見つけるのと同時にこの屋敷から脱出していただきます。脱出する際のヒントは推理クイズのヒントと同じような形式ですので、どちらがどのゲームのヒントか間違えないでください。そして最後に、タイムリミットは明日の午後にはです。それまでにこの伯爵邸から脱出してください。8時を過ぎますと、屋敷に仕掛けてあります爆弾が10分に1つづつ爆発しますので頑張ってください。それではまた、脱出後にお会いしましょう。』
声はピタリと止まり、固まっていた面々はお互いの顔を見た。
「脱出ゲーム?推理ゲームだけではなかったのか?」
ラレリオルは呆然と空中を見つめる。
「皆さん、招待状には推理クイズの他に何かやると書いていなかったのですか?」
デビルが不審げに尋ねた。
「書いてはあったわね。でも、どうせ嘘でしょと思って深くは考えてなかったわ。」
アイリスが悔しげに下を向く。
「なぁ、そんな風にだらだらしてる時間が惜しくね?あと、1日しかねぇんだよ。とにかく、どっか窓とか、扉とか鍵開いてるところ探すのが先でしょ。」
今まで黙っていたレイがつまらなさげに言う。
「どーせどっか鍵あいてんだよ。」
「そうともかぎらないですよ。」
いつのまにかどこかに行っていたセリカが広間に入ってくる。
「っ!?おい、セリカ、お前どこいってたんだ?」
「どこって、皆さんが食っちゃべってる間に広間のまわりを確認してきました。隣の食堂は扉自体に鍵がかかっているので入れません。他にも、このまわりは、どこの窓も鍵は開いてませんでした。少なくとも玄関の鍵はかかっていると思います。まだそこまでは確認してません。」
セリカははっきりと言う。
「どうするかは、皆さん次第ですが、ここは、全員で協力しましょう!」