告げられた本当のゲーム(1)
「私が聞いたところによると8時から始まるそうですよ。」
デビルはテラシルの言葉を思い出す。
「ということは、皆さん、テラシルさんから伯爵邸に関して何も知らされてないということですか?」
デビルがびっくりしたように言った。
「8時からですのね。それならあと5分もたたずに推理クイズは始まりますね。」
アイリスはちらりと広間の奥の壁にかかっている大時計を見る。
つられるように全員が大時計を見た。
「あと3分ですか。では、それまでデビルさんに伯爵邸に関してお話を聞いておきましょう。」
ラレリオルはデビルの方に向き直った。続くようにアネッサが、他の探偵たち、助手たちもデビルを見た。
「そうですね。まずは・・・・・・。」
デビルはテラシルから聞いた話を彼らに聞かせた。
「・・・・・・ということです。」
8時になる1分前にデビルは話終えた。
「そんなことが。なんか、町の人たちの屋敷を見る目もおかしいと思ったのですよね。」
ラレリオルは顎に手をあてて考え込む。
「そういえば、10年前にワントラース伯爵邸が暗殺者に襲われて皆殺しにされたという話を聞いたことがありますわね。そうですの。ここでしたか。」
アイリスは納得したかのような表情をした。
ふと、シオンが大時計を見た。
「あ、皆さん。もうすぐ8時になりますよ。」
シオンの言葉に全員大時計を見た。
━ゴーンゴーン
と8時を告げる音が鳴る。
『ザザッザザッ・・・・・・ワントラース伯爵家へお集まりの皆様こんばんは。本日はこのような推理クイズに参加してくださりありがとうございます。さて、ご挨拶はここまでとして、推理クイズの説明をさせていただきます。』
広間にノイズが聞こえて、続くように男性の低い声が広間に響いた。
「ねぇ、ママ。」
可愛らしい少年が母親の服の裾を引っ張る。
「なんか、お屋敷の灯りがついてる。誰かいるのかな?」
少年は不思議そうに首をかしげた。
母親は顔色を変えて窓に駆け寄ると、そこから見える屋敷に灯りがともっているのを確認すると少年をおいて家から飛び出していった。