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目が覚めたのは、8時過ぎだった。
「夢……だったのか?」
「夢ってことでよかったんだよね……」
テレビを付けても、川城陽菜が死んだというニュースはやっていなかった。ネットニュースに、川城陽菜が死んだという記事はなかった。
妙にリアルでとても長く、走馬灯のような、僕自身のドキュメンタリー映画のようで、夢なのか理解するのに時間がかかった。
とにかく奇妙で、気持ちの悪い夢だった。
「ああ、よかった……」
安心したというより、安堵だった。
彼は、知らない。
僕の代わりに川城陽菜のかわりに死んだ20代後半の男性がいたという事実を……