表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラス人間、何を語るか  作者: 七寒六温
夢の話をしよう
4/14

4

「まあ、君が川城陽菜さんを殺したってことですね。かわいそうに、かわいそうに……」


「いや、それは違うでしょ?」


「違いませんよ……」

「私は彼女を助けるためにあなたの元に来たんですよ。あなたが死にたいって言ってたか来たのに……」

「あなたが余計なことを願わなければ、私は、あなたではなく、他の方の所に伺っていたのですから」


そうなのだろうか?

彼女のファンは皆、僕のことを恨むだろうか?

仮に川城陽菜が死んだらそれは僕のせいなのか?


そんなの元々彼女が死ぬ運命だっただけでしょ。僕に責任はない……はずだ。



「別に私はいいんですけどね。明日死ぬのがあなたじゃなくて川城陽菜さんになっただけなので、死者の数を減らしたわけではないので、私は叱られることはありません」


「ただ、彼女が死んで悲しむ人はたくさんいる。あなたは嫌嫌ながらも会社に行く」

「そう決めたんなら、これから間違っても、自ら殺ぬなんてしないですよね?」

「そんなことするんだったら、変わってあげてくださいよ。どうせ死ぬならね」

「まあ、しないとは思いますが、仮にあなたが自殺でもした場合は……その時は許しませんからね」

「それでは私はこれで、失礼させていただきます」



「これ、置いとくんでよかったら見てくださいね」

そう言ってペチルは真っ黒いスマホを僕に渡すと、姿を消した。


ペチルが消えると同時に、スマホから動画が流れる。その動画にはニュースの映像。


見たことある女子アナと男性キャスター。2人が深刻な顔をしてニュースを伝える。


「川城陽菜さん死去」というテロップ。

生々しい映像と、アナウンサーの声。


映像は変わり、街の人々がインタビューに答えている様子が……


「若いのに、こんなに早く亡くなるなんて」

「彼女が助かる方法はなかったんでしょうかね」

「ずっと、応援していたので悲しいです」


ああ、これが僕のせいだっていうのか。

いや、これはあくまで、彼女が、死んだ場合の世界線か……

そうだよね、これフェイクニュースだよね。

僕のスマホじゃない、これはペチルが置いていったスマホだ。


殺したわけではないけれど殺したような感触。


死にたいなんて簡単に言うんじゃなかった。


本当は死ぬ覚悟なんてできなかったんだなって……気付かされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ