5話 雨の日
更新します!
探索者お試し期間の約束は2週間の間だけ。
既に一週間が経過しており、さらに2日が立ったので残りは5日となった今日だけど、本日はダンジョン探索お休みである。
最初の一週間が放課後も休日もずっとダンジョンに行っていたから少しぐらい休みなさいと家族と日高さんに言われてしまったからだ。確かにここのところ学校だったりダンジョンだったりで忙しくしていた気がする。
さらに言うと今日は学校が午前中で終わりになってしまった。
理由は台風が近づいていて、雨がやばいぐらいに強くなってきたから。帰れるうちに帰ってしまいましょうということだ。
だから今日ばっかりはボクも千夏とのおしゃべりもそこそこにとっとと帰ってきた。
窓の外を見るとバケツをひっくり返したような雨が降り続いている。
「アイン~、何か面白いことない?」
『そう言われましてもねぇ。ゲームでもすればいいのでは?もしくは映画でも見てはいかがですか?』
「う~ん、どれも気分じゃないというか何か違うというか」
特にすることもないので今はリビングのソファでゴロゴロしている。
そんなボクのお腹の上ではルビーがタブレットを使ってゲームをしている。二本の触手を器用に使って画面をタッチしている。やっているのは確かオンラインで色々な銃を使ってキル数を競うゲームだっけかな。
最近のマイブームらしくしょっちゅうやっている姿を見かける。
台所にはローズの姿がある。最近は自分の領域と化してきたキッチンで今も何かの料理を作っている。前に漂ってきた匂いで何の料理を作っているのかを当てたら「ネタばれは禁止です~」といって結界を張って匂いを遮断しだした。
だからわざわざ見に行かないと何を作っているのは分からないけど、それをすると増々拗ねそうなのでしないよ?
ちなみにだけど遠目に見ると中華鍋を振っている姿が見えた。これぐらいならいいよね?
あの中華鍋はもともとあったものでは無くボクだダンジョンで儲けたお金で買ったものだ。ちょっと前に中華が食べたくなってテイクアウトで買って来ようとしていたらローズが自分が作ると言い出した時に買ったもの。
最初に作ったのはチャーハンだったけど……美味しかった。今日も楽しみ。
……じゅるり
水月と朝陽も帰ってきているけど今は二階の自分の部屋で勉強をしている。主に水月が朝陽の勉強を見ている感じだけど。もうすぐテストが近いから対策を始めているのだ。赤を取るとお母さんが怒るから……
ボクはいいのか?と言われると……問題なし。テストと言っても二人の通う中学の小テストみたいな感じのやつだからボクには関係ない。
中学生の頃はボクもあれには苦労させられた。二人もせいぜいあの苦しみを味わっておくがよい!……どうせ水月がいれば大丈夫だろうけど。当時はボクも水月にお世話になったし。
そんな感じで今日は家に両親以外の全員がいる。二人はもちろん仕事で雨の状態によってはもしかしたら泊りになるかもしれないとさっき電話で言っていた。
「あ、そうだ!アイン錬金術の練習したいんだけどいいかな?素材はあったよね?」
『大丈夫ですよ。素材は魔石もドロップアイテムの方も問題ありません。日高さんにも私の監督の下でならと許可をもらっているので大丈夫ですよ』
「……なんでアインの監督が条件?」
『マスター1人ではやらかしそうで怖いからではないでしょうか?』
「別にそんなに問題なんて起こしてないのにぃ」
失礼しちゃう話だ!ちょっと得体のしれない物体Xを量産したり、髪の伸びる人形を作っただけなのに。
まあとにかくできるんなら準備をしよう!
お腹の上に乗っかっていたルビーを下ろしてテーブルの上にシートを敷く。その上に魔石だったり最近の探索で得たドロップアイテムを並べていく。
「さて、何を組み合わせようかな?」
今テーブルの上に並べられている素材は
――――――――――――――――――――
魔石:Fランク30個 Eランク10個
ドロップアイテム:『ブルークラブ』のハサミ×10、『ソードフィッシュ』の鱗×30、『シーホース』の毒珊瑚×5、『マナシャコガイ』の真珠×3、『水牛』のサーロイン
――――――――――――――――――――
といった具合である。
ブルークラブのハサミは見た目完全に蟹ばさみであるが本体が大きいため当然ハサミも大きい。大体ボクの顔ぐらいはあるかもしれない。ソードフィッシュは切れ味の鋭い魚で鱗もその特性を持っている。シーホースの毒珊瑚は毒のある珊瑚。真珠は手のひらと同じぐらいの大きさがある。水牛は水中にいた牛の魔物。うん、水牛ってそういう意味じゃないって思った。
「さてさてどれから手を付けようか……」
『先日は合成をひたすらやったので今回は造形の方をやってみましょう。後はそれぞれの特性をちょっと弄ってみましょうか』
「それじゃあやり易そうな鱗からにしようかな」
ちょっと枚数が多いので『錬金球』を大きめに展開する。『錬金球』は錬金術を使うときに出てくるぷよぷよした球体のあれ。命名は坂井さんたち研究者組。
これは結構大きさの応用が効いて、レベルが上がるほど大きく展開できるようになった。今では人がすっぽり入るぐらいには大きくできるようになった。
今はそこまでの大きさはいらないので半径30㎝ぐらいで展開する。
その中に鱗をドバっと入れる。鱗一枚一枚の大きさが掌サイズなのでそれだけでいっぱいになる。水の中を光を反射する鱗が漂っていてなかなか綺麗だ。
「それと――『エレメンタル・アイ』!」
錬金術スキルに含まれる技能の一つである『エレメンタル・アイ』を使用する。すると辺りの景色が赤、青、黄色、緑の4色で彩られる。
「……やっぱり魚の素材だけあって青系統なんだね」
『エレメントは環境に左右されますからね。横浜ダンジョンの素材は大抵が青、水系に偏っているでしょう』
「なるほど。それじゃあ早速やってみようかな」
今回するのは対象の形を変化させること。これは錬金術を練習しているうちに新しく手に入れた技能である『造形自在』を使う。
―――――――――――――――――――
『造形自在』:
対象の造形を自在に変化させることが出来る。直接触れての造形も可能だがイメージすることでも可能である。抵抗の強い素材ほど多くの魔力を消費する。
――――――――――――――――――――
錬金球の中に直接手を突っ込んで弄ることもできるし、頭の中で「こんな感じにしたい」みたいなイメージをするとその通りに形が変わっていく。魔力を込めれば固い金属でもまるで粘土みたいに捏ねることが出来る。
「じゃあまずは薄くて壊れやすいみたいだから全部一個にしちゃおう!」
鱗を全て一個にまとまるようにイメージをする。
すると漂っていた鱗たちは勝手に集まっていき一つの塊になっていく。細かいところは手でやった方がいいけど、大雑把な成形ならイメージの方が断然楽だ。
『ある程度は強度も上がったようですがこれだとまだ弱いですね。性質を強化してみましょうか。やり方は分かりますね?』
「多分大丈夫かな?やってみるね」
錬金術の練習をしている過程で技能以外でも色々とできることが分かってきた。今やろうとしている性質の強化もその一つだ。
素材の性質を強化するようなイメージをしながら魔力を注いでいく。すると鱗に見えたエレメントの色が少しずつ濃くなっていく。
『――……そろそろいいでしょう。十分な強度に達しました』
「おーけー。それじゃあ加工しようと思うんだけど、どうしようかな?切れ味がいいやつだったからナイフとか短剣とか武器がいいかな?」
『もともとの性質を利用することを考えれば武器にする方向性はいいと思いますよ』
「じゃああんまり量も多くないしナイフでいいかな?アインちょっと調べてくれない?デザインがいまいち掴めないから」
『諾です。ネットでナイフを検索、素材の量と実用性などを考えて選別、候補を表示します』
すぐにレンズにはネットから拾ってきたであろういくつかのデザインが表示される。視線に応じて次の候補にスクロールまでしてくれる便利仕様。本当にアインを使っているとダメになりそうかも。
いくつかのデザインを見比べて1つに決める。それを見ながら頭の中にイメージを作ってそれを錬金球の中に魔力と一緒に伝えていく。
すると鱗の塊はもごもごと動き始め、その形を徐々に変えていく。
それからいくらか時間が経ち完成する。
出来上がったのは刃渡り25センチぐらいの片刃のナイフ。刃とは反対側にはギザギザのノコギリみたいなのがついている。要するにサバイバルナイフだ。理由は格好良かったから。
『いい感じですね。素材の特性からその切れ味もちゃんと引き継がれていますね。いいナイフです』
「よっし!何とかできたぁ。ちょっと歪な所もあるけど結構上手くできたかな?……それにしても作ったはいいけどこれ、どうしよう?」
そもそもボクの戦闘スタイルは拳に魔力を纏わせて戦うことが基本となっている。別に武器を使いたくない訳じゃないけどちょっと違和感がある。
『折角ですからマスターが使っては?』
「う~ん、武器かぁ~。どうせ自分の体で戦った方が強いんだよね。とりあえず仕舞っておこうか。収納お願いね」
『諾です』
さて、この調子で他の素材も片っ端からやってみよう。
いかがでしたでしょうか?
面白い、続きが読みたいと思ってくださったらブックマーク登録お願いします!
また感想の方も募集しています、どしどし送ってください!
それでは次回お会いしましょう!




