1話 横浜ダンジョン
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ここから4章に入ります!
「ルビー!そっちの敵任せた!」
「……(分かったわ!)」
四方八方から迫ってくる魚型の魔物の半分をルビーに任せて、自分はもう半分の敵に意識を向ける。
水中行動になってしまうのでかなり動きは制限されるけど、最近はそれにも慣れてきていつもよりもちょっと早く動くようにして調整をしている。
「アイン、出力調整10%で全部魔力にまわして!」
『諾です。数が多いですが大丈夫ですか?』
「大丈夫っ!」
拳に魔力を溜めて魚たちが十分近づいてから普通なら当たらない距離だけど殴る。
意味ののない攻撃に見えるかもしれないけど、もちろんそんなことはない。
水中だからよく見える。
突き出した拳から衝撃波が発生して魚たちを蹴散らしていく。それでも全部を倒すことは出来なかったので、それを連続で繰り返す。
「そりゃあああ!!」
殴る度に衝撃波が発生し魚たちが光になって消滅していく。
それを少し続ければ、あっという間に魚たちはすべていなくなってしまった。目の前の空間には既に何も残っていない。
戦闘の邪魔にならない様にドロップアイテムが出現した瞬間にアインが全部回収していたからだ。
「ルビーの方は……もう終わってるみたいだね」
後ろを振り向いてみると、そこにいたのはルビーだけでさっきまでいた魚型魔物の群れはどこにもいなくなっていた。そっちもアインが回収していたみたいだ。
「……(いまさらここら辺にいる魔物程度に苦戦はしないわよ。それよりもこの後はどうする?まだ探索を続ける?)」
「そうだなぁ……もう結構な時間だし今日は切り上げようか!」
レンズに表示されている時間を確認すると、既に16時を回っている。買い取りや家に帰るまでにも時間が掛かるため、夕食に間に合うように帰るにはこれぐらいの時間がちょうどいいのだ。
ルビーにそう声をかけて、水面に上昇する。
「ぷはぁ!」と水面に出て周囲を見回すと周りにあるのは水ばかり。
「アイン。陸地ってどっちにある?」
『お待ち下さい……正面向かって左にあります』
アインの案内に従い左の方を見ると、遠くの方に黒い影が見える。
「ああ、結構遠くに来ちゃってたんだね」
『マスターが深追いするからでしょう?ボート出すのでちょっと水面が揺れますよ』
その言葉と共に目の前にゴムボートが現れる。
それに這い上がるようにして乗り込むと同時に水中からピンク色の物体が浮かび上がってくる。
「……(ちょっと遅れたわ。底の方にちょっと面倒なのがいて手間取ったわ)」
もちろん浮かんできたのはルビーである。勢いそのままにぴょんとボートに乗り込んでる。後ろにはドロップアイテムだと思われる凍らせられた魚の切り身っぽいのがついてきている。ちなみに赤身。それもすぐにアインが収納する。
「そんな魔物いたの?気が付かなかったよ」
「……(姿を隠すのが上手いやつだったみたいね。でも<超直感>は常に使っておきなさいって言ってるでしょう?)」
「長時間使ってるとあのスキルって疲れるんだよね……分かったよ。ちゃんと発動するから」
ルビーからのジト目に耐え切れず、すぐに<超直感>と発動する。
すると周辺の情報が一気に入ってきて負担がかかるけど、もう慣れたもので重要なもの以外は極力無視するようする。
もし何かがあっても、それこそ<超直感>が働くから問題ないのだ。
ボクがスキルを使ったのを確認すると、ルビーは船尾の方に行き魔法を発動させる。ボートから水を噴射して推進力にして進む。
すると距離があったように見えた陸地にあっという間に到着する。
浜辺にボートを上げてアインが収納するのを見届けて、先に見えている扉に向かって歩いていく。
そして扉に触れると、頭の中に声が聞こえてくる。
『先に進まれますか?戻られますか?』
「戻ります」
そう答えると扉が薄っすらと輝きを放つ。そしてその光が収まるのを待って扉を開けると目の前に広がったのは見覚えのある横浜ダンジョン第1階層の光景だった。
ボクは普通にダンジョンを攻略したことがなかった。
最初の緑光ダンジョンではショートカットをして一気に最下層まで行っちゃたし、ユニークダンジョンの時は普通のダンジョンとは色々と勝手が違った。
そのためダンジョンに関する基本的な部分が抜けていたのだ。さっきの扉についてもその一つである。
ダンジョンから出て真っすぐにギルドの受付に向かう。
「佐久間さん。戻りました~」
「お疲れ様です龍希さん。今日はちょっと早かったですね」
「先に進んでないですからね。この間持ってきたカニモドキがあったでしょ?あれが思った以上に美味しかったのでそれを中心に狩っていたので」
佐久間さんは初日から横浜ダンジョンでボクの担当をしてくれている受付のお姉さんだ。
「それじゃあ査定お願いします。カニモドキと氷漬けの赤身は持って帰るので、それ以外は買い取りでお願いします」
「畏まりました。それじゃあいつも通り向うで出してくださいね」
「分かりました!」
実は初日に、受付のテーブルに乗りきらないほどの収穫を持って帰ってきてしまい佐久間さんに怒られたのだ。
「今度から向うの買取所で直接出してください!」と言われてしまった。
うん。確かに乗り切らないどころかカウンターが埋まってしまうほどの量を出してしまったのは反省してます。
買取所と呼ばれる倉庫みたいな空間で今日の成果を出す。
「では確認しますね……『ブルークラブ』、『バトルフィッシュ』、『鉄砲魚』、『ソードフィッシュ』それから……これは初見の魔物ですね『ホワイトマグロ』ですか。これに関する情報はありますか?」
「それならルビーが知っていると思います。説明お願いできる?」
「……(分かったわ)」
ルビーが佐久間さんに『ホワイトマグロ』という帰り際にルビーが言っていた姿を隠すのが得意な魔物について説明をしていく。
それにしての『ホワイトマグロ』ってクロマグロの親戚か何かなのかな?
『持って帰るのは『ブルークラブ』と『ホワイトマグロ』のドロップだけでいいのですか?他にもいい素材があったと思いますけど』
「うう~ん。魔石はこの前二人が持って帰ってきた分で十分だし、素材に関してもどうしても必要ってわけじゃないからね。今はどんどん素材を調べてもらった方がよさそうだしね」
「……ありがとうございました。この情報も報酬に上乗せしますね。龍希さん、今から査定をしてくるのでちょっと待っていてくださいね」
「分かりました!」
佐久間さんは奥から数人の人手を呼んでくるとアイテム類の鑑定と査定を行っていく。
その間ボク達は待ち時間になるので受付の近くにあるソファに座って待つ。
その間今回の探索の反省会を3人で行うのが日課になっている。
「……(そうね。今回は初見の敵はほとんどいなかったけど、見たことない動きにちょっと苦戦した感じかしら?)」
「そうなんだよねぇ。階層が下に行くほどトリッキーな動きになっていくから本当に面倒なんだよ。今回の相手だと『ソードフィッシュ』とかがそうだったね」
『動きの解析の時間が掛かるようになってきましたからね。さすがに3度目ともなれば完璧に捉えられますが、初見だとあとちょっとって感じです』
横浜ダンジョンの攻略を始めてから1週間が経って攻略した階層は15階層になった。ここの最終階層は45階層なのでまだまだ先は長いんだけどね。それでも3分の1はマップも含めて完成している。
魔物の情報は完璧ではないけれど、それぞれの階層の8割ぐらいの魔物は網羅していると思う。
反省会を進めていると、佐久間さんに呼ばれる。
査定が終わったみたいだ。
「Fランク魔物の魔石とドロップアイテムが計100個、Eランク魔物の魔石とドロップアイテムが計50個。そのうちお売り頂ける素材の分の買取価格は225,000円になります」
「ありがとうございます!それじゃあまた明日来ますね!」
「はい。またお待ちしてます。お疲れさまでした」
買取所で売らない分の素材も受け取って帰路に着く。
お金は現金で受け取るのではなく、専用に創った口座にその日のうちに振り込まれるようになっている。
ギルドを出て駅まで歩いて行こうとすると、見覚えのある車がギルドの前に止まっている。
「あれ?もしかして日高さん?」
「探索お疲れ様。龍希ちゃん。ちょうど近くに用事があったからついでに送っていこうと思って待ってたのよ」
「わぁ!ありがとうございます!助かります!」
車に揺られながら明日はどうしようかなどと4人で話していた。
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