10話 秋田ダンジョン攻略完了!
更新します。
現在改稿作業中につき、4話まで終わっております。多少読みやすくなっていると思うので、お時間のある方は是非読んでみてください。
秋田ダンジョンから帰還した攻略部隊、特に斎藤、日高、ルビー、アインの4人は作戦会議をしたテントに集まっていた。
斎藤は上への報告を済ませると、今回の攻略についての資料をまとめるための質問をルビーとアインに行っていた。
本来であれば事務方の仕事であるのだが、今はここにいないことと、いたとしてもこの2人を相手にする関係上自分がやった方がいいとの判断である。
いくつかの質問を重ねていき話はダンジョン内でのドロップアイテムや宝箱の話になる。
「1~19階層までのドロップアイテムや宝箱の中から出てきたアイテム類の詳細のデータは既に頂いているので、今日の20階層でのアイテムの詳細を聞かせていただけないでしょうか?」
『分かりました。それではドロップアイテムと宝箱のアイテムの両方を一気に表示してしまいますね。ドロップアイテムはジェネラルマンティスの物だけですので』
すでに見慣れてしまっているこの光景に苦笑しつつ、空中に投影された映像に目を向ける。そこに書かれているのはもちろん今日持ち帰ってきたアイテム類の鑑定結果だ。
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赤い宝箱(初回ダンジョン攻略報酬)
・鑑定の宝珠
銀色の宝箱(ボスモンスター討伐報酬)
・結界柱
ジェネラルマンティスのドロップアイテム
・曲刀:風切り
<鑑定の宝珠>
鑑定のスキルを1日に10人に付与することが出来る。
使用回数は最大で1000回。
<結界柱>
結界柱を中心とした半径10mに不干渉の結界を張ることが出来る。
<曲刀:風切り>
ジェネラルマンティスからのドロップアイテム。風を切るかのような切れ味を誇り、魔力を込めることでその切れ味はさらに上昇する。
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『このような感じです。何か聞きたいことはありますか?』
「……ふむ。では<鑑定の宝珠>について、鑑定のスキルを最大で1000人まで付与することが出来るというのは本当なのか?」
『間違いありません。1日に10人までという制限はありますが、最大で1000人まで使用することが出来ます』
「その鑑定をというスキルはどういうものなのかしら?」
<鑑定>スキル。
このスキルは文字通り対象物を鑑定することが出来るスキルである。そのものの名称であったり、詳細な効果、使い方などレベルを上げていくことでより深く見ることのできるようになる。
「なるほど。その鑑定スキルが最大で1000人に付与できるということか。これがあればダンジョンに関する研究がかなり進むかもしれないな」
「そうですね。<鑑定の宝珠>にしてもそうですが、他のアイテムについてもかなり有用そうに見えます」
そう言うと日高は投影されたアイテムの名称やその効果を紙にメモし始める。
それが終わると、そのメモを斎藤に渡す。
「ふむ……アイン殿、ありがとうございます。私たちの部隊には、というよりもほとんどの部隊には鑑定のようなスキルを持った者はおりませんので助かります」
『その分報酬を上乗せしてください。それに<鑑定>のスキルは宝珠を使えば取得できますし、私にその仕事が来ることもなくなるでしょうし』
「分かりました。報酬に関してはアイテムの鑑定の分も上乗せさせていただきます」
アインからのアイテムの受け渡しもつつがなく終わり、アインとルビーの遠征は終了となった。
その後細かい報酬の話をまとめたりした結果、龍希たちのもとに帰るのは翌日のこととなった。
ダンジョン攻略をしたその日の夜。
アインとルビーの2人は再び秋田ダンジョンの中に入っていた。その周りには自衛隊の攻略部隊の姿はなく、完全に2人だけである。
現在いる第3階層に来た時、これまでずっと沈黙を保っていた2人が口を開き始める。
「……(それで?優子や斎藤に何も言わずにまたダンジョンに行きたいだなんてどういうことなの?)」
ルビーは自身の頭の上にいるアインに問いかける。
ダンジョン内を歩く眼鏡をかけたスライムというのはなかなかにシュールな光景ではあるが。
『この階層に採取しておきたいアイテムがあったんです。ダンジョンが資源化する前だと採取はできませんでしたが、今ならできます。と言っても明日には私たちも帰ることになるのでその前に、ということです』
「……(そういうことを聞いているんじゃなくて、なんで黙ってきたのかって聞いてんのよ)」
『……まあ、人が一緒だとちょっと面倒な場所にアイテムがあるのと、情報を与えすぎるのもあまりよくないですからね。こういうのは自分たちで調べていくのが正道というものでしょう』
「……(……まあ、そう言うことにしておくわ)」
アインに上手くはぐらかされたように感じたルビーはそれ以上は追求することはせず、黙ってダンジョンを行く。
アインにナビされて3階層を探索していき、道中で遭遇した魔物は声を上げさせる暇もなく倒してアインが瞬時に収納する。
しばらく進んだところでナビが終了する。
「……(ここが目的地なの?)」
『はい、ここが今回の目的地です』
そこにある光景は先程まで通ってきた森のような場所と何ら変わりないように見える。ルビーはこんなところに何があるのかとない首を傾げる。
『やはり呼吸をしないルビーには分かりませんか?』
そんなことを言われたルビーは「呼吸?」と疑問に思いながらもう一度、周囲を探ってみると、あることに気が付く。
「……(もしかして空気が濃い?)」
『正確には酸素が濃いですね。ここの先にあるとある鉱石の影響でここの酸素濃度は地上の3倍はあります。酸素は人間の活動に不可欠ではありますが、濃すぎれば毒となります。この濃度では活動どころか、数分持ちませんね』
「……(……な~るほど。確かにこれは優子たちは連れてこれないわね。私もほとんど影響はないけれどちょっと違和感はあるもの)」
違和感と言っても呼吸をしないルビーにとってはごく小さなものであるが、体表面に触れる空気がいつもと違うのは分かる。
「……(もしかして私って空気の違和感に弱いのかしら?気を付けないと無味無臭の毒とかにやられそうね)」
『そんなことはないと思いますよ。そもそもスライムに効果のある毒ってほとんどありませんし。それにそういったものの解析は私の領分ですからね。任せておいてください』
「……(スライムってそうなのね。まあいいわ、とりあえずどれを持っていけばいいのかしら?鉱石って言ってたわよね)」
周りにあるのは生い茂った木々ぐらいしかなく、鉱石と言われてもそこら辺に落っこちている小石ぐらいしか見当たらない。
『そうですね……今マーカーで示した部分を5mぐらい掘ってくれますか?その下に埋まっているので』
「……(……地面を掘るとかってローズの役割だと思うんだけど。とりあえずやってみるけれど、注意することとかはある?)」
『特にありません。ルビーの自由に掘ってください』
「……(了解!)」
そう言うとルビーは得意の水魔法を使い空中に水の塊を作り出す。大きさはバランスボールよりも一回り大きいぐらいのサイズだ。
「……(宝石魔法は威力の調整が上手くいかないから使えないし、地道に掘るとしましょうか。『掘削』展開)」
水の塊は形を変えていき、ドリルを模した形をとっていく。
形が出来上がると次に回転を始める。
回転を始めた水ドリルはゆっくりと地面に近づいていき、地面に当たった瞬間――
ドガがガガガガっ!!!!
凄い音を立てて地面を掘り始める。
一か所に止まらずに周囲の地面をゆっくりと移動していき、半径5mぐらいの地面を丸く掘り進めていく。
それをしばらく続けていくと、土の中から大きな石の塊が露出してくる。
アインがそれに鑑定をかけるとレンズにその鑑定結果が表示される。
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エア鉱石:常に酸素を生み出し続ける鉱石。魔力を込める量によって出すことのできる酸素
の量は調整可能。
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「……(これがアインの探していた鉱石なの?)」
『ええ、これが目的の物ですよ』
バレーボール大のエア鉱石が土の完全に露出した段階で、ルビーは水のドリルを消すと穴の中に降りていきアインが収納の中に放り込む。
「……(それにしても、何でこんなものを探しに来たの?これといって必要なものに思えないんだけど)」
『いえいえ、そのうち必要になるんですよ。もう少し先のことでしょうが、ちゃぁんと役に立つ時が来ますので』
「……(あんたがどこまで計算してるのかさっぱり分かんないわね。それならこれだけで足りるの?もっと必要なら掘るけど?)」
『これで十分ですよ。さて、回収も終わったので帰りましょうか』
「……(了解よ)」
一仕事を終えた二人は入ってきたときと同じように誰にも気づかれずにダンジョンから出ていき、自分たちに与えられたテントに戻って行った。
翌朝、秋田ダンジョン周辺に展開していた自衛隊が活動を開始するのと時を同じくしてアインとルビーも柊家への帰還しようとしていた。
来るときにはヘリコプターを使ってきたので家をでた翌日にはここに到着することが出来ていたのだで、帰りも同じ手段を使うことになっている。
ヘリに乗るために近くにある自衛隊基地に向かう。
小型トラックに揺られながら、車内には運転席に座っている日高と助手席に座るルビー、そして日高が掛けているアインの姿があった。
「この調子なら夕方前には龍希ちゃんたちの家に着くと思うわ」
「……(それにしても今の日本にはどれぐらいのダンジョンが出現しているの?今回みたいなことが頻繁にあるのはさすがに勘弁してほしいんだけど?)」
「今のところ確認できているだけでも50は超えているわね。魔石道具を使って詳細に調べていけばまだ増えていくはずよ。でもこれ以上あなた達にダンジョン攻略をお願いすることはないと思うから安心して」
日本のダンジョンはあまり面積の大きくないこともあって、海外の大国ほどは数は確認されていない。しかし、大体1県に1つは最低でも確認されており、場所によっては複数確認されている場所もある。
「ただ不思議なのが、どうも人口が多い場所にダンジョンが出現するような傾向があるのよね。まあ、秋田ダンジョンみたいに人里離れた場所に現れることももちろんあるんだけれどね。アインさんは何か分かる?」
『そうですね……ではヒントとして「地脈」や「龍脈」と例の魔石道具で検索してみてください。それでちょっとは進展があると思いますよ』
「……あんまり期待しての質問じゃなかったんだけど、ほとんど答えになりそうな答えが返ってきてびっくりだわ。本当に何でも知ってるのねぇ」
先ほどの質問、確かにアインであれば何らかの推測でも聞けるかとは思っていたけれどさっきも言った通り対して期待はしていなかった。
いくらアインと言えど、こんなざっくりとした質問に答えられるとは思っていなかったからだ。
「とりあえず有用な情報をありがとう。調査しているところに伝えておくわ」
『何でもという訳ではないですよ。しかし、そんなに出現していたのですね。その数はサブダンジョンも含めた数なのですか?』
「いいえ。サブダンジョンの数も含めたらもっとあるはずよ。ただ、オリジナルダンジョンはともかく、サブダンジョンはまだ出現をするでしょう?どこに出現するのかまだ分からなくてどうしても対応が後手に回るのよ。まあ、最初の頃にダンジョンに入った民間人が帰ってこなかったこともあって無断で侵入する人はほとんどいないからそれが救いだけれど」
そうは言いつつも日高の顔には疲労がにじみ出ていた。
秋田ダンジョンへの遠征の前、日高達自衛隊のダンジョン攻略部隊は各地に出現し始めたサブダンジョンの管理の業務にあたっていた。
あちこちに出現するサブダンジョンに勝手に人が侵入できない様に封鎖をしたり、そのダンジョンの情報を集めるために探索をしたりとかなり忙しい日々を送っていた。
民間人からの通報もあり出現すれば半日以内には封鎖は何とかできるのだが、それでも人手が本当に足りない。
『民間人がダンジョンに入れるように法律や組織を整備すると以前におっしゃっていましたがそっちはどうなってるんですか?手が足りないのならやはり民間から手を借りるしかないかと思いますが?』
「そっちはまだ準備中よ。でも龍希ちゃんがサブダンジョン攻略で持ち帰ってくれた<ステータスカード発行装置>がかなり役に立ちそうよ。それに今回の探索で見つかった<鑑定の宝珠>もいいわね。あれらのおかげで話がぐんと進むはずよ」
政府が民間人によるダンジョンの攻略を許可するために組織する組合、暫定的に『ギルド』と呼ばれているがこれを作るためにはいくつか必要なものがある。
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・ダンジョンを攻略する人『探索者』のための身分証(許可証)
・ダンジョンから持ち帰ったものを査定するための人員
・ドロップアイテムを買い取る場合の適正な価格
・ダンジョン周辺の安全対策
・レベルの上がったダンジョン探索者による事件の防止
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これらの他にの細かく詰めていけばたくさんの条件があるが、大まかに現状必須であるのはこれらと言えるであろう。そのうちのいくつかを解決するための<ステータスカード発行装置>や<鑑定の宝珠>が役に立つのだ。
『ギルド』そして『探索者』が世の中に登場するのはもうすぐそこまで来ていたのだった。
いかがでしたでしょうか?
アインはなぜエア鉱石を確保したのでしょうか?今後の展開に期待したいところです。
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