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【編集中】現代ダンジョンは食糧庫?~ちびっこ女子高生が行く、現代ファンタジー!~  作者: 風紀いいん
2章 ダンジョンあれやこれや

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8話 その頃の2人は……

お待たせいたしました。

更新します!

 ――とあるダンジョン周辺


 東北にあるお米で有名できりたんぽなどが名物としてあげられる県の山外れ。

 そこは普段の様子からはかけ離れた様子が広がっていた。


 ほとんど人が入らず、地元の人でもなかなか寄り付かない深い山の中には多くの車と人、そして物資が入り乱れている。

 人数はおおよそ50人ほどだろうか。車で何かを運んでいる人、簡易的な建物の設営を行っている人、銃や剣といった武器を整備している人など様々である。


 その中の建物の1つでは会議が開かれていた。

 参加者は4人。うち二人は人間ではないが。


「それでは改めて、この度はご協力を頂いて本当にありがとうございます」


 がたいの良い大男が感謝の念を示し、頭を下げているのは……眼鏡。

 眼鏡をかけた人でもなく、文字通りの机に置かれている眼鏡である。


 傍から見れば男の気が触れたのかと思われるかもしれないが、決してそんなことはないだ。現に物言わぬはずの眼鏡からは返事が返ってきたのだから。


『いえいえ、こちらとしてもそれなりのメリットのあるお話でしたので』


 眼鏡--アインは目の前の男、斎藤からの感謝に答えていた。


「今回はお二人のおかげで想定の数倍はスムーズに事が進んだことも確かです。それにけが人も物資の減りも驚くほどに少なく済んだ」


『まあ、そのあたりの事務仕事や計算は得意ですので。それに怪我を治していたのは私ではなく彼女ですけれどね』


「もちろんです。ルビー殿には何人もの隊員が助けられました。本当にありがとうございます」


 斎藤の視線の先、そこにはルビーの名の通り赤い輝きをその身に帯びる楕円形の球体がそこにはいた。

 ジュエルフェアリースライムのルビーである。


「……(別にそこまでの苦労じゃなかったから構わないわよ。それにしても怪我した連中にはよく言っておいてちょうだい。技術があるのはいいんだけど、ダンジョンの魔物を相手にするには地力が足りてないのよ)」


「……確かにルビー殿に比べればそうでしょうな。できればこれ以降も偶にでいいので訓練を手伝っていただきたいですね」


 言葉が通じないはずのルビーの言葉を何故斎藤が理解できているのかは、もちろんアインの念話の機能である。

 ルビーの言葉を声ではなく頭に直接伝えているのだ。


「……(たまになら大丈夫だと思うわよ。そこら辺の話し合いはアインによろしくね)」


 この場所は龍希たちが住んでいる都内から遠く離れた山外れに出現したダンジョンを囲うように作られた場所である。

 しかし、周囲に龍希の姿はない。

 それもそのはずここに自衛隊と共に来たのはアインとルビーだけなのだ。


 何故、龍希達が別行動をすることになったのかは数日前に遡る。


〇・・・・・・・・・・・・〇


 龍希が錬金術の実験から帰ってきた翌日のこと。

 その日は休日であることと、誰も用事がなかったため偶然柊家の全員が家には揃っていた。

 ちょうど昼食も食べ終え、各々やりたいことをしていた午後のこと。柊家に客人があった。

 それは自衛隊の中でも柊家が、特に龍希がお世話になったことのある日高と斎藤であった。


 これはただ事ではないと思った柊家の大黒柱、柊達郎は妻、柊彩燈と龍希を同席させることに。その際によんでいない水月と朝陽もついてきてしまったが斎藤たちが構わないというので同席させることに。

 

 そこで離された内容をまとめると、龍希にダンジョン攻略に協力して欲しいというお願いしをしに来たとのことだった。


 何故急にそんな事態になってしまったのかと言うと、これまた数日前に話は遡る。

 都内某所で研究されていた魔石道具、研究所では魔法の地球儀と呼ばれている。以前に龍希が星の意志から贈り物として受け取ったそれの研究を進めていくうちに一つのことが分かった。

 それはダンジョンの場所も分かるということ。それも世界中にあるまだ未発見のダンジョン、さらにサブダンジョンも含めてすべてが判明した。

 さらにさらに、一つのダンジョンにクローズアップしてみると、その全階層数、そのダンジョンの難易度の指標も分かることも判明した。


 そして国、いや世界はもう一つの問題を抱えていた。

 それは半年後に迫ったダンジョンからの魔物の放出。これが世界中で同時に起こるなどもはや世界同時多発テロのようなものだ。


 これの対策を立てる上で注目されたのが緑光ダンジョンのドロップアイテムである<ダンジョン操作書>であった。これの情報は瞬く間に世界中に共有されたが、しかし一つのダンジョンだけの情報では確かなことが言えず、せめてもう一つ攻略されたダンジョンが欲しいというのが頭を抱える全ての国家機関の本音だった。


 そこで白羽の矢が立ったのが、真っ先にダンジョンを攻略した日本である。


 さすがに世界中の圧力の前では断ることもできずそれを引き受けた日本。

 魔法の地球儀を使い、国内で階層数が少なく、難易度が低い場所を選出した。

 しかし、緑光ダンジョンを始め他のダンジョンからのドロップアイテムにより比較的順調に進んでいたダンジョン攻略であったが、まだ攻略するほどの戦力はなかった。

 もちろん時間をかければそれもできるだろうが、今は時間がない。


 その結果が世界初のダンジョン攻略者であり、既にサブダンジョンを含め2つのダンジョンを攻略している龍希に頼るということであった。


 この話をしている間、斎藤と日高はずっと顔を青くしてやるせないような顔をしていた。

 高校生の子どもにこんなことを頼まなければならない自分への情けなさと、一方でダンジョンに関する情報を一刻も早くてにいれるには龍希に頼ることが最も早いことも理解している。


 この話を聞いた龍希は、この話を受けてもいいと思っていた。

 もともとダンジョンに潜ることが嫌なわけではない。危険な場所だとは理解しているが、それでも魅力的な場所だということも知っている。

 

 しかし、ここで問題になってくるのは龍希ももうすぐ学校が始まってしまうということだった。これまでのダンジョン攻略はなんやかんやで数日で終わってしまっていたが、アインに聞いてみたところ本来であれば短くても1週間はかかると言っていた。


 学校が始まるまではあと1週間もないぐらい。

 でも、この話はボクだけじゃなくて世界中の人にとっても重要な情報が手に入ることになることも話を聞いていて何となく分かった。

 そうであれば、自分の都合何て言っている場合じゃないのかもしれない。


 達郎はこれは学業をおろそかにしてまで自分の娘がやることなのだろうか、しかし多くの人々のためと言われると少し揺らいでしまう。そんな感じでうんうんと頭を悩ませる。

 一方で彩燈は特に慌てるでもなくお茶を飲んで龍希が結論を出すのを待っていた。

 もともとダンジョン入れるようになった時にはダンジョンに入ることを許可している。

とにかくここは本人の話を聞いて見なければと、静観を保っていた。


 そして色々と考えた結果、ダンジョンに行くという返事をしようとしたところアインが思いがけないことを話始めたのだ。


『その話、私とルビーだけが向かう形でも構いませんか?それであれば今すぐにでも行けますが』


 これに反対したのが龍希である。

 確かにルビーの強さもアインの知識量が凄いことも知っている。けれども友人2人を自分の代わりに行かせるというのは嫌であった。


 そこでアインはまず、斎藤たちに攻略することになるダンジョンの詳しい情報を求めた。

 斎藤によると現在得られている情報は、

・全階層数は20階層

・攻略難易度はEランク(前回攻略した緑光ダンジョンはDランクダンジョンであった)

・現れる魔物は3階層までは情報がおおよそ出そろっている。(それ以降の階層に関してはまだ攻略が完全ではない。特に5階層以降はまだ手が付けられないらしい)

 

 こんな所らしい。

 この情報を聞いたうえでアインは、20階層であれば自分とルビーなら1週間かからず攻略が可能であり、Eランクのダンジョンに出てくる魔物なら問題ないとのこと。

 Eランクに出てくる魔物がそれぐらいの強さなのかと言うと、最後のボスモンスターであるダンジョンの守護者をしている魔物でもこの間のサブダンジョンで戦ったでっかい木の魔物レベルだという。


 さらにそれよりもさらに強いユニークダンジョンの最終階層のボスをほぼ一撃でルビーが倒していたことや、マッピングの機能を使えばそこまで時間もかからずに帰ってこれると、いろいろと説得をしたところ龍希も2人を行かせることを了承する。


 その結果、ルビーとアインの2人は斎藤たちについてダンジョンに行き、龍希は自分のことを片付ける別行動をとることになったのだ。

 ローズは強さ的には問題ないが、一緒に戦った経験がないので今回は龍希と一緒に留守番をすることになった。


〇・・・・・・・・・・・・〇


 そのような経緯でアインとルビーがダンジョン攻略を始めてからすでに数日が経過していた。

 この数日でダンジョン攻略はすでに終盤に差し掛かており、もうすぐこのダンジョンの最終階層に到達するとこりまで来ていたのだった。


「それにしてもルビー殿の魔法は凄まじいですな。下層の強力な魔物たちを一撃で屠ってしまうとは」


「……(私は魔法特化の種族だからその分近距離戦には弱いけれどね。鍛えていはいいるけど、どうしても成長は遅くなるし)」

 

 ルビーの言葉を聞きながら「謙遜にもほどがある」と感じていた。何もルビーはダンジョンの魔物を全て魔法で倒して回っていたわけではない。むしろ、魔法を使っての戦闘よりも近接戦闘の方が多いぐらいだ。

 しかも、その悉くを圧勝という結果で収めている。


 ここの攻略部隊も2人の護衛、というかボスモンスターももとまでなるべく力を温存させるために付き添っていたはずなのに下に行くにつれて、確実に足手まといになっていることを実感していた。


 2人の戦い方は基本的にアインが敵の情報を分析し、ルビーがそれを受けて攻撃をするというもの。 

 ルビーの攻撃力もさることながら、アインの情報分析力も凄まじいものであった。ダンジョンに入るとすぐに今いる階層の情報を収集しだし、あっという間にマップを完成させる。

 そこから出現する魔物の情報を分析し、弱点まで割り出して効率的に魔物を倒していく。

 まるで携帯できるスーパーコンピュータのようであった。


「それにしても報酬の件、本当にあれでいいの?」


 アインに声をかけたのはこの部屋にいたもう一人、日高である。


『はい。私たちの倒した魔石の全て、これで十分です。マスターにはこれから必要になるでしょうから少しでも数は多いほうがいい。今回の話は私たちにとっても渡りに船だったんです』


「どうして龍希ちゃんに魔石が……?」


『先日マスターが新たに手にしたスキル、錬金術には魔石を使う技が多いんです。とは言ってもこの間のユニークダンジョンで手に入れた魔石はもう残っていませんでしたからね』


 ルビーと魔法の使い方や、戦い方などの談義をしていた斎藤もこの話が気になるのか、顔をこちらに向ける。


「ということはあの後も色々試したの?」


『いえ、単純にスキルの分析が終了したからです。あのスキルのことについてはおおよそ分かったので、魔石が欲しくなった感じです』


「それって……アインさんならどんなスキルでもその使い方とかも解析できちゃうってこと?」


 もしそうであるならば凄いことだ。あの日から世界中の人々にスキルというものと、ステータスというものが芽生えた。 

 しかし、スキルの方には使い方の分からないものも中には存在し、かといって迂闊に使うこともできないような名前の物もあったりする。


『それは難しいですね。これは私にマスター登録したからできたことですし、誰にでもできるわけではありません』


 アインは少し申し訳ないと思いつつも本当のことを言わなかった。

 アインの鑑定があればほとんどのスキルの使い方やその効果などは知ることが出来る。しかし、それを話してしまった場合かなりの時間がそれのために拘束されてしまうことになるだろうと思ったので言わなかったのだ。

 ただでさえあまり龍希から離れるのは嫌なのに、今回は目的があったからしかたがないとはいえ、そうでなかったら長時間離れるのはごめん被る。


『しかし、そういったことが出来るスキルや道具は存在しますよ。ダンジョンから出てくることもあるかもしれませんが、もしかしたらすでに初期スキルとして持っている人がいるかもしれませんね。そちらの方も調べてみるのがいいと思いますよ』


「……なるほど。ありがとうアインさん。検討してみるわ!」


 ひとまず話がまとまり、続けてこのダンジョン最後のボスモンスター討伐の話題になる。

 現状、ボスのいる部屋の一歩手前までは来ているので後はそこを攻略すればこのダンジョンも攻略が完了する。


『戦力的に連れて行けるのは斎藤さんと、日高さん。それに攻略部隊の数人ですかね。そのメンバーならボスモンスターが相手でも善戦できるでしょう』


「逆に他のメンバーだと厳しい戦いになる、か……国内で最もダンジョンに出入りしてる我々でもこのざまとはな」


『そもそも半年で全てのダンジョンを攻略するというのは無理な話です。最も難易度の低いダンジョンに集中すれば可能でしょうが、それでもそこまでの強さを得るのは半年でもぎりぎりというところです。まあ、星の意思がそんな無茶を言うのも何らかの理由があるとは思うのですが、さすがに分かりかねます』


 それだけダンジョンの魔物は強力なのだ。

 しかし人にもステータスやスキルといった武器がある。それを駆使すれば倒せないことはないのだが、問題なのは時間がないことだ。


 その後も話を詰めていき、いよいよ明日ダンジョンの攻略の最終段階に入ることになった。



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