4話 検証:錬金術!
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錬金術――
その起源は古代エジプトや古代ギリシャに遡るほど長い歴史を持つ技術。
その目的は様々で卑金属を金属に変えたり、不老不死の薬を作るといったようなものがある。
よく聞くのは鉄を金に変えるとか、賢者の石を創るだとかといった感じの割とファンタジーな感じの技術である。
しかしそのような取り組みは成功しておらず、その過程で見つかった化学薬品などの方が現代では活躍しているぐらいだ。
つまり錬金術と言うのは本当の意味で成功された記録は残っていない技術なのである。
それがスキルとなって目の前に現れれば夢を抱いてしまうのもしょうがないこと。もしかしたらこれから本物の錬金術が見れるのかもしれないのだから。
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坂井さんに案内されていろんな機器の隙間を抜けたどり着いたのは学校の理科室のような部屋、の様にセッティングされたこの大部屋の一角だった。
そのスペースを取り囲むようにカメラだったり、よくテレビの音声さんが使っているようなマイクだったり、アンテナっぽいものだったりが置かれている。例えるならニュースtかが読まれるようなスタジオって感じかな?
そのすべてが向けられている場所に案内されて座るように促される。
「龍希さんはここに座って実験を行ってください。ちなみに白衣と防護メガネはこちらにありますので着用をお願いします」
「いや、あの、なんで学校の理科室風なんですか?白衣とか防護メガネとかも完全に理科の実験ですよね?」
「まあ雰囲気作りですよ。この方がこちらとしてもやる気がでますので」
「……じゃあなんで坂井さんはスマホを構えているんですか?」
「龍希さんの白衣姿をとるためですが?」
「あ、それいいわね。私も一枚撮らせてね」
それに続くように機材の操作をしていた面々もスマホを取り出してそのカメラをこっちに向けてくる。
「皆さんも何やってんるんですか!?コスプレ撮影会じゃないですよ!?」
『ご安心くださいマスター。ここは私のお任せを』
「アインっ!」
『マスターの写真は私がチェックしたします。検閲に引っかかった写真はその場で削除しますので気を付けください。私用のパソコンにデータが送られるようにしても無駄ですよ。電子の領域であれば私のスペックに不可能はありません』
そこじゃない!ボクが禁止してほしかったのは写真を撮ることそのものなのに!
ちなみにさっきアインに言われて目を逸らした人はどんな写真を撮る気がったんですかね?
結局押し切られて白衣を着て実験をすることになった。
防護メガネの方は、アインの方が頑丈だし形態変化すれば問題ないとのことで、見た目そっくりに防護メガネに変形したアインとを付けている。
「それでは最初にスキルの習得をしましょうか。こちらが合図をしてから始めてください。合図後であればタイミングはいつでも構いませんので」
「分かりました」
アインの収納からスキル結晶:錬金術を取り出す。
見た目はダンジョン結晶に近いけれど、むこうが正八面体なのに対してこっちは完全な球体だ。うっすらと光っていて全体的に白銀色な感じ。
『マスター使い方は覚えていますか?』
「うん。確か手に持ってこれを使いたいって思えばいいんだっけ?」
『その通りです。習得できたときは感覚で自分が新しいスキルを手に入れたと分かるものなので、その感覚がくれば終了です』
アインからの注意を聞きながら待っていると、坂井さんからの合図が出る。
時間をかけてもしょうがないので、さっそく使ってみる事にする。
スキル結晶を手に持って『これを使う』と強く意識する。
すると、スキル結晶が上の方から徐々に光の粒となって消えていき、その粒子がボクの中に入ってくる。同時にボクの中で何かが変わっていくような感覚がある。
そして間もなくその感覚も収まる。
「……多分終わりました」
「体の異常はありませんか?」
「はい、大丈夫です」
「記録終了。次の検証に移るのでそちらの準備と今の観察のまとめをしてください」
坂井さんは周りの研究員さんたちに指示を飛ばすと、こちらに歩いてくる。
「お疲れ様でした龍希さん。もう一度聞きますが、体調に変化はありませんか?些細なことでも何かあったらおっしゃってくださいね」
「スキル結晶が入ってきたときはちょっと変な感覚がありましたけど、いまはそれも収まりましたし問題ないですよ。そうだ、アイン。スキルの鑑定お願いね。この後使うんだけど使い方が分からないから」
『諾です。
マスターの鑑定結果より新スキル<錬金術>の詳細鑑定を表示します』
坂井さんと一緒に来ていた日高さんにも見えるように、いつもながらの不思議な技術で空中に鑑定結果が映し出される。
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錬金術:Lv1
錬金術の範疇は金属だけに収まらない。万物すべてが対象となるだろう。しかしそれは扱うものの技量次第である。
錬金術を扱うことが出来るようになる。
<使用可能な技能>
『エレメンタル・アイ』『分解』
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「これはまた……よく分からないなぁ」
『使い方に関しては簡単ですよ。このてのスキルは使いたい技能を意識するだけで使用できるはずです。慣れないうちは言葉にだしていった方がいいですね、使っていればそのうち思うだけで使えるようになるはずですよ』
「ちなみにそれぞれの技能がどんな効果を持つか分かりますか?」
『そこまでは分かりませんね。使ってみるのが手っ取り早いかと』
「分かりました。それでは続けて錬金術スキルそのものの検証に移りましょう。場所は同場所でやりますが、いろいろと準備をしなければなりませんので、また少し待っていてください」
そう言い残すと坂井さんは速足で戻って行ってしまった。
それにしても使える技能は2つ。これはまあレベルが上がっていけば使えるものが増えていくんだろうからいいんだけど。
『分解』のほうは何となくイメージはつくし文字通りの分解だと思うんだけど、『エレメンタル・アイ』の方についてはいまいち分からない。
「日高さん。このエレメンタル・アイっていう技能について何か分かりますか?」
「そうね……さっき錬金術について調べてみたんだけれど、錬金術は火、水、風、土っていう4元素で万物が出来ているっていうことを念頭に置いた技術みたいなの。それでその4元素のことをエレメントなんていうこともあるらしいからそれに関する何か、としか分からないわ。ごめんなさい、あまり役に立てなくて」
「ううん、調べてくれてありがとうございます。ボクなんて今日のこと聞いても全然調べてなかったから助かりました」
にしてもエレメンタルが日高さんの言ったように4元素のことを意味しているとして、アイは眼でいいんだよね?
……元素の眼?なんだそれ?
結局日高さんと一緒に考えても貰ったけどいまいちよく分からなかったので実際に使ってみるしかないという結論になり、二人で雑談をしていると坂井さん声がかかる。
「準備が出来ましたのでそろそろ始めていきましょう。まずは『エレメンタル・アイ』のほうからお願いします。『分解』の方はその後でお願いします」
「分かりました。じゃあ『エレメンタル・アイ』の方から――」
意識を錬金術の方に向ける。
アインの言っていたように心で思っただけだと特に変化がなかったので、まだ口に出して言わないとダメみたいだ。
「――『エレメンタル・アイ』」
すると確かな変化が起こった。
視界にカラフルな色が加わるようになったのだ。具体的には赤と青、それから緑と黄色の4色で彩られている。
こちらの様子を観察している研究員さん達や、その人たちが使っている機材、そこら辺の壁かから何から何までその4色が煙の様に立ち上っているように見える。
「……何だろこれ?」
「龍希ちゃん……眼、大丈夫?」
「え?」
日高さんの言っている意味が分からないでいると、手鏡をボクの顔の前に持ってきてくれる。
するとそこに映ったボクの眼は瞳の部分が視界に映っている4色が代わる代わるに現れ、色が次々に変化するようになっていた。
「なんだコレっ!?」
「龍希ちゃんがスキルを使ったであろうタイミングからそんな感じになったんだけど、何か変化とない?」
「ええと、人とか物からこの4色が出ているように見えるようになりました。これって何ですか?使っているボクでもよく分からないんですけど……」
すると向こうでこの話を聞いていた研究員さんたちがざわざわとし始めた。
何事かを話し始めてしまい、ちょっと時間が掛かりそうなのでボクも周りを観察してみる事にする。
どうやらこの色付きの煙みたいなのは人や物によって大きさが異なっているらしい。
机とか機材とかの物からはほんの少ししか出ていなくて、人だとその倍ぐらいの大きさはある。
自分の手を見てみると、さらにそれらとは比較にならないぐらいの大きさであるのが分かる。
さらに一人ひとり、物によって色の種類というか組み合せが異なっているのも分かった。青色が多い人がいたり、赤色が多かったりとちゃんと見ないと分からないぐらいの差ではあるけれど。
ちなみにボクの色は圧倒的に青色に偏っている。その次に黄色と緑色で赤色はうっすらとしか見えない程度な感じ。
なんの違いなんだろう?
「龍希さん。おそらくですがその眼は錬金術思想における4元素を可視化してみることが出来るようになる眼だと思われます。推測になってしまいますが、それぞれの色である赤は火、青は水、緑は風、黄色は土に対応すると思われます」
話し合いを終えていつの間にか近くに来ていた坂井さんがこの技能の説明をしてくれた。
「……それだけ?」
「今のところ分かるのはそれぐらいですね。他にも何か効果があるかもしれませんが、sれに関しては龍希さん自身が何かに気づいてくれないといけませんね」
「確かにそうですね。ボクも使ったばかりでこれ以上のことは分かりませんし、ゆっくり調べていきます」
「それが良いでしょう。焦ってもいい結果は出ませんからね。また何か変化があったら私達にも教えてくださいね。一緒に考えることは出来ますので」
「はい!よろしくお願いします!」
「それでは『エレメンタル・アイ』に関しては後でもう一度詳しく話を聞くとして、次は『分解』を試してみましょうか。ついでにちょっと日高をかりていきますね」
「え、はい」
「急に何なの?」
坂井さんがそう言うと、何人かの研究員さんたちが抱えるぐらいの大きさの段ボール箱をいくつか持ってきて、机の上においてく。
坂井さん本人はちょっと離れた場所で日高さんと何事かを話している。
すべての段ボール箱が置き終わるのと同じぐらいのタイミングで坂井さんと日高さんも戻ってくる。
すると早速箱の中をごそごそすると、一昔前の携帯電話を取り出した。
「とりあえず分解ということなので、いろいろと用意してみました。これのような機械製品系の物から生もの、構造の単純なものとかですね」
ボクも箱の中を覗いてみると、炊飯器とか何かのリモコンとかスーパーで買ってきたそのままのお肉とか野菜とか果物とか、あと単純に金属の球体みたいなのがいくつかと、本当に多種多様に色々と入っている。
「……これは、何というか、本当にいろいろ入ってますね」
「分解というのがどれほどのものに対して有効なのか?どこまで分解されるのか?有機物や無機物、金属や卑金属で差は出るのかなど、調べなくてはいけませんからね」
「……なるほど」
「それから『エレメンタル・アイ』なのですが使いながら『分解』ができるようならそうしてもらってもいいでしょうか?最初か使える技能なのでもしかしたら、何かしらの関連せいがあるかもしれませんので」
「分かりました。それじゃあ早速やってみてもいいですか?」
「はい。すぐに始めてもらって構いません」
「……坂井さんは向うに戻らないんですか?」
「向うでの記録は部下に任せてありますので。今回私は近くで作業の様子を確認することになります」
「分かりました。それじゃあやってみますね」
まずは箱からさっき坂井さんが持っていた携帯電話を分解の対象にすることにする。
「……――『分解』」
携帯電話に手をかざしながらそう唱えた瞬間、携帯を囲むように透明な膜のようなものが現れる。見た目は水でできた球体みたいな感じだけど、指先で触ってみると「ぷにょん」とした感触がかえってくる。大きさはバレーボールぐらいかな?
しかしながら中の携帯には変化が見られない。
「あれ?分解されない?」
「……本当ですね。どういうことでしょうか?」
『これは分解という技能を使うための準備段階ですね。ここからさらに対象を選択してそれを分解したいと思えば正しく反応するはずですよ』
アインに言われた通り、この段階からさらに分解する対象を携帯電話としっかり意識してもう一度……
「『分解』」
すると今度こそ変化が起こった。
それも一瞬の変化で、瞬きするような間で中の携帯電話は姿を消してしまった。そこで視界にさらなる変化が来る。
球体の中に先程の4色の粒子、4元素でいいかな?4元素がぶわっと広がったのだ。
……これってもとに戻るのかな?
いかがでしたでしょうか?
ちょっと設定じみた文章が多くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございます!
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